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No.4 焦がれる心

冬には欠かせないあるものの気持ちです。

 先人曰く。

 俺達の一生は、恋に始まり、恋に終わるらしい。

 そして今、俺はその短い生涯を終えようとしている。


 彼女と出会った時、俺は何とも思わなかった。何せ初対面なのだ。それで何かを感じろと言う方が無茶だろう。

 だから俺は、どうしてそんな彼女と付き合うことになったのか、よく分からなかった。


 でも、少しずつ時が経って。

 俺は彼女が、好きになっていった。


 彼女といると、身体が火照って仕方なかった。俗に言う、耳まで真っ赤、というやつだ。熱くて熱くてどうしようもない。ひんやりとした彼女の手が、とても気持ち良かった。

 彼女が俺を必要としてくれて。俺が彼女を必要としていて。

 そうか、これが、恋。

 何にも代えがたい幸せな時間。

 ……長くは続かなかったけど。


 文字通り、彼女に捨てられた俺は、暗くて冷たい部屋の中で。

 冷めていく体温に、俺はもうすぐ死ぬんだな、と実感する。

『恋に始まり、恋に終わる、か……』

かすれた声でひとりごつ。

 『……それは違うぞ、お若いの』

俺のものではない、老人の声がした。

『わしらの一生は、旅のようなものじゃ。一期一会の素晴らしい旅じゃった……』

恍惚。老人は、そんな感情を抱いているに違いない。老いるほど長い人生を歩めた者は、やはり違った考えを持てるらしい。

 きっと俺みたいにまだ温かいうちに捨てられた者は、こう思っているはずだ。

 もっと、君と一緒にいたかった。

 もっと、君を温めたかった。

 もっと、君に恋をしていたかった。

 今更どうにかすることなんて出来ないけど。

 次に生まれ変わるなら、もっと長い時間、誰かと一緒にいたい。何度でも何度でも、誰かを温めたい。そんな夢のような願望を抱いて。

 俺の身体は、発熱を止める。

今回はカイロの気持ちを考えてみました。非科学的ですねすみません。

最近は何度も使えるエコカイロというものが売っているらしいですね。彼がそういうカイロに生まれ変われると良いです。

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