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No.2 嫌いな君
あなたの周りに必ずある物です。彼は一体誰でしょう。
どちらかというと、僕は子供が嫌いだ。
ぼくの体はとても脆い。
大人はそれをちゃんと知っていて。
だから優しく扱ってくれる。
でも子供は。
まだ何も知らないから。
僕が壊れやすいことも、僕が君達を傷つけやすいことも。
でもいつの日か、君達は傷ついて気付く。
僕が本当は恐ろしく鋭いことに。
君達は、そんな経験を積み重ねていく。
そうやって、大人になるんだよね。
僕を優しく包み込んでくれた君たちの手は、だんだん大きくなって。
いつからか、だんだん弱々しくなっていくけれど。
僕は君達がどんな姿になっても、側にいたいと思ってる。
だから、一番悲しいのは。
壊れる前に、君達が僕を見捨ててしまうこと。
だったらいっそ、一思いに壊してほしい。
そう思ってる仲間が、君達の周りにたくさんいるんだ。
――ああ、そうか。
つまるところ、僕が嫌いなのは子供ではなくて。
僕を忘れた、人間達なんだ。
今回の主人公はマグカップでした。仕舞ったままのマグカップ、あなたの周りにもありませんか?