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第4話:崩落した山の残響

朝は、いつもの淹れたてのお茶の香りでも、茜の意地の悪いからかいでもなく、静寂と共に始まった。それは、見捨てられた寺院や焼け跡にしかないような、絶対的で耳鳴りのするような静寂だった。

クロナは全身に鉛のような重さを感じながら目を開けた。昨日の訓練で体は焼き尽くされていたが、身動きをしようとした瞬間、脳裏にある光景が浮かんだ。温泉のしぶき、赤くなったホタルの顔、そして茜の笑い声。彼は、今にもドアが開き、茜がまた何か突拍子もない提案を携えて部屋に飛び込んでくるのを期待して、思わず笑みをこぼした。

しかし、ドアの向こうは静まり返っていた。

「茜?」

呼びかけた自分の声が、この虚無の中ではひどく他人のようで、あまりに大きく響いた。

彼は急いで服を着、シャツのボタンを留めながら部屋を出た。まだ小さく冷たい不安が胸の中で疼き始めていた。廊下を抜け、リビングに向かう。テーブルにはお茶が置かれていた。それはまだ温かく、かすかな湯気が立ち上っていたが、磁器の縁は欠け、テーブルクロスには、誰かが急に手を引いたかのような暗いシミが広がっていた。

「ホタル!」クロナは彼女の私室へと駆け出した。

入り口で彼女と鉢合わせた。ホタルの様子は……いつもと違っていた。いつもの氷のような冷静さという仮面はそこになかった。髪はわずかに乱れ、その瞳には、クロナが「氷の女王」から決して見ることなどないだろうと思っていた感情が宿っていた。純粋で、混じりけのない動揺だ。

「彼女がいないわ」彼女は短く告げた。その声は震えていた。「城中を捜した。中に争った形跡はない。でも、玄関に……来なさい」

二人は玄関の階段に出た。クロナは、足元の地面が崩れ去るような感覚に襲われ、立ち尽くした。入り口の目の前、灰色の石板の上に、黒く醜い跡が口を開けていた。それは火による跡ではなかった。石は焼かれたのではなく、まるで毒されたようだった。石の構造そのものに刻み込まれた、焦げた羽のような燻るエネルギーが、オゾンと腐敗の臭いを放っていた。

「堕天使の魔法……」ホタルが囁いた。見えない剣の柄を握りしめる彼女の指は、白く強張っていた。「これは彼らの手口よ。汚された恩寵」

クロナはその跡の前に膝から崩れ落ちた。頭の中では、金敷を打つ槌のように、ただ一つの思考が鳴り響いていた。彼は顔を上げ、地平線を見つめた。そこには朝日に照らされ、頂上を無残にも水平に切り取られた山の姿が、はっきりと見えた。

(俺がやったんだ……)彼はそう思い、心臓が跳ねた。(俺は空に向けて撃った。この世界のあらゆる怪物に向けた、信号弾のように。俺は自分の力を誇示し、彼らはその呼び声に応えたんだ)

罪悪感が息の詰まるような波となって彼を襲った。もし彼が格好をつけようとしなければ、あんな狂った力を放出しなければ、茜はここにいただろう。今頃、彼の不器用さを笑っていたはずだ。命あるもの全てを憎む者たちの手に落ちることもなく。

「彼女を見つけなきゃならない。今すぐにだ!」クロナは飛び起き、その瞳には熱に浮かされたような光が宿っていた。

彼は両手を前に突き出し、昨日石を砕いたあの深青色のエネルギーを呼び起こそうとした。目を閉じ、ドラゴンの姿、火災の熱、怒りを呼び起こす……。だが、何も起きなかった。彼の手のひらは力なく震えるだけだった。昨日までは底知れぬ大海のように思えた魔法が、今は干上がった井戸と化していた。

「出ろよ! おい!」彼は唇を血が出るほど噛み締め、唸った。「なぜ……なぜ今なんだ!?」

「落ち着きなさい、クロナ!」ホタルが彼の肩を掴み、揺さぶった。「貴方の魔力回路は昨日の放出で焼き切れているの。回復するまで魔法は使えないわ。今の貴方のパニックは、敵にとって最高のプレゼントよ!」

「彼女が一人で捕まってるんだ! 俺のせいで!」クロナは叫び声を上げ、彼女の手を振り払った。「ホタル、お前には分からないんだ……俺には感じる。彼女はここにいて、怯えていた。俺のせいだ! 山に穴を開けた俺が、全ての原因なんだ!」

ホタルは痛々しいほどの同情を込めて彼を見つめたが、その顔はすぐに鉄の表情に戻った。

「自分を責めるのは後にしなさい。今は捜すわよ。私の魔法なら堕天使の残滓を追跡できる。でも、それも一分ごとに弱まっているわ」

その日は悪夢のようなマラソンとなった。二人は森をくまなく捜索し、切り取られた山の麓を回った。クロナは木の根につまずきながら歩き、その呼吸は重く喘いでいた。無力感が、どんな傷よりも強く彼を苛んだ。伝説のドラゴンの力の宿主であるはずの自分が、今は普通の農民よりも役に立たない存在だった。

昨日崩落した巨大な岩の破片の影に、入り口が見つかった。それは洞窟ではなかった。黒い石で作られた古代の半壊した建造物であり、ずっと山の中に封印されていたものが、クロナの一撃によって露出したかのようだった。高いゴシック様式のアーチ、枯れたツタが巻き付いた柱、そして蝶番から外れ落ちた重厚なオークの扉。

中には湿気と古い血の臭いが漂っていた。クロナはホタルの制止を無視して先頭を歩いた。茜への恐怖が、生存本能を上書きしていた。

長いホールを抜け、巨大な玉座の間へと辿り着いた。沈みゆく太陽の光が狭い銃眼からわずかに差し込み、長く不気味な影を作っていた。

集中しようとするたびに、首元の「ハガニット」の鉱石が脈打った。だが、それは守護の温かい脈動ではなかった。石はまるで彼を嘲笑っているかのようだった。怯える心臓の鼓動に同期して振動し、体に短い痛みの火花を走らせるだけだった。

「ハガニット……」クロナは、石の角が手のひらに食い込むほど強く握りしめ、囁いた。「もし聞こえているなら……お前にひとかけらでもその力があるなら……彼女を見つけるのを助けてくれ。頼む」

夕暮れ時、空は再び鮮やかな紅に染まった。まるで、破滅へと変わった昨日の勝利を思い出させるかのように。彼らは切り取られた山の麓、その最深部へと辿り着いた。ホタルが不意に足を止め、手を上げた。

「ここよ」彼女が息を漏らした。「痕跡が断層の内部へと続いているわ」

大広間の中央、古代の石の玉座の真ん前に、茜が吊るされていた。彼女の手は、鈍い紫色の光を放つ魔法の鎖で縛られていた。彼女は意識を失い、頭は力なく胸元に垂れ、服は数箇所引き裂かれていた。

「茜!」クロナの叫びが壁に反動した。

彼は一歩前へ踏み出したが、部屋のオーラが凝縮し、粘り気のある実体化した闇へと変わるのを感じて、即座に足を止めた。

玉座には、一人の男が無造作に足を組んで座っていた。その黒髪は嵐の中から出てきたかのように乱れている。蒼白な肌は、背後で気だるげに動き、石の塵を掻き落としている漆黒の翼と対照をなしていた。しかし、何よりも恐ろしいのはその瞳だった。狂ったような昂揚感に燃える、鮮やかな赤。

堕天使は、獲物を狙うような、人を馬鹿にした笑みをゆっくりと浮かべた。

「ずっと考えていたんだ」その声は低く、骨まで響くような振動を伴っていた。「この退屈な山の景観を修正しようと考えた偉大なる建築家は、一体誰なのか、とな」

彼はゆっくりと玉座から立ち上がった。クロナは首元のハガニットが限界まで熱を帯びるのを感じた。

「お前を待っていたぞ、ドラゴン」堕天使は首を横に傾け、その翼を大きく広げて光を遮った。「さあ、あの手品をもう一度見せてくれ……それとも、女の前でしか力を出せない口先だけの男か?」

クロナは立ち尽くした。彼の目は見開き、瞳孔は蛇のように細く裂けていた。怒り、罪悪感、そして無力感が猛毒のようなカクテルとなって混ざり合ったが、魔法は依然として沈黙を保ったままだった。彼は今まで見た何よりも強い敵の前に立っていた。彼にあるのは、首元で脈打つ石と、猛烈な殺意だけだった。


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