第2話:天使の添い寝と堕天使の占い、そして不穏な影
朝日が再び俺の部屋に差し込んできたが、今回は眠りを妨げるものがもう一つあった。
何かを感じる……重くて、柔らかくて、とても熱い。右側が急に「生きた寝袋」に包まれたような感覚だ。
俺は片目を開けた。最初に目に入ったのは、鼻のすぐ下にある真っ黒な髪の塊。二つ目は、白くしなやかな肩。そして三つ目は……俺の脳がクリティカルエラーを起こした。
アマネだ。完全に、真っ裸で。
彼女は幸せそうな笑みを浮かべて眠り、俺の脇に足を乗せ、その……「天使のようなポテンシャル」を全力で押し付けてきていた。黒い翼が二人を包み込み、羽と「道徳的にアウトな決断」の繭を作っている。
「落ち着け、クロナ。深呼吸だ。お前は変態じゃない。まともな悪魔だ。……たぶん」
俺は自分に言い聞かせたが、顔が鍛冶炉の鉄よりも早く熱くなるのを感じた。
昨夜の記憶が蘇る。この羽根付きの詐欺師には一銭の金も、帰る家もなかった。お人好しの俺は、彼女を家に連れて帰り、床にマットレスを敷いて「俺のベッドには近づくな」ときつく言い渡したはずだ。どうやら天使にとって「きつく言い渡す」は「布団の中に入れ、ここは温かいぞ」と翻訳されるらしい。
「おい、羽根付き……起きろ!」
俺は囁いた。
アマネは寝言で小さく唇を鳴らすと、さらに俺の腕にしがみついてきた。首元のハガネイトが怪しく熱を帯びる。
「どけと言っているんだ!」
俺は我慢の限界に達し、持ち前の器用さを活かして、慎重かつ断固として彼女を足で押し出した。
「あいたっ!」
鈍い「ゴン」という音と、床から恨めしそうな悲鳴が聞こえた。
アマネは毛布にくるまったままマットレスの上に転げ落ちた。彼女はすぐに飛び起き、その裸体をさらけ出したまま、ピンク色の瞳で俺を睨みつけた。
「クロナさん!ひдоいです!寒かったんです!私の翼が温もりを求めていたのに……あなたは……あなたは昨日ゴミみたいに私を放り出した!悪魔の連帯感はどこへ行ったんですか!?」
「俺の連帯感は、プライバシーが侵害された時点で終了だ!」
俺は素早く背を向け、Tシャツを引っ張り出した。「服を着ろ。カフェに行くぞ。遅れたら、ホタルに『怠け者の氷像』にされるからな」
三十分後、俺たちは騒がしい街路を歩いていた。街が目覚め、パンの焼ける匂いと排気ガスが混ざり合う。アマネは横で楽しそうに跳ねていた。今日の彼女の翼はやけに元気そうだ。どうやら俺を「充電器」にした効果があったらしい。
ふと、俺は足を止めた。小さな広場のベンチに、九歳くらいの少年が座っていた。サッカーボールが横に転がり、本人は顔を両手で覆っている。その肩は小刻みに震えていた。
「ここで待ってろ」とアマネに告げた。
「おや、クロナさん。あの子をカツアゲするつもりですか?」と彼女はニヤついた。
「黙れ」
俺はベンチに近づき、端に腰を下ろした。少年が顔を上げた。目は赤く、頬には泥がこびりついている。
「何を泣いてるんだ、チャンピオン?」
俺は彼の破れたソックスを眺めながら尋ねた。
「全部……失敗したんだ」と彼はしゃくり上げた。「最後のペナルティキック。外しちゃった。試合に負けたんだ。コーチは頑張ったって言ってくれたけど、わかってる……僕はただのダメ人間だ。何をやってもうまくいかないんだ」
俺は黙り込んだ。胸の奥がチクリと痛んだ。十年前の自分を思い出した。地下室で、記憶もなく、「駒」の刻印を押され、鍛冶師の遺産を失ったあの頃。俺も毎日そう思っていた。
「いいか、小僧」
俺は乱暴に彼の髪をかき回した。「本当のダメ人間と、ただ負けただけの奴の違いがわかるか?」
少年は鼻をすすり、興味深そうに俺を見た。
「本当のダメ人間っていうのは、失敗を恐れてボールに近づくことさえしない奴のことだ。お前が外したのは、蹴ったからだ。良い剣を鍛えるには、何百本もの失敗作を折らなきゃならない。昨日の敗北の灰は、明日を燃やすための最高の石炭だ」
俺は立ち上がり、アビエイターサングラスを直した。
「家に帰って、あと千回練習しろ。次に蹴る時は、世界の運命がかかっているつもりで蹴れ。わかったか?」
少年は、畏怖と感動が混ざったような表情で固まっていた。今の俺は、彼にとってアニメに出てくる謎の師匠か何かに見えたのだろう。
「……うん!わかった!ありがとう、悪魔のおじさん!」
彼はボールを掴むと、家の方へ駆け出していった。
アマネのところへ戻ると、彼女は少し首を傾けて、妙に優しい微笑みを浮かべていた。
「なまけ者で変態なだけじゃないんですね、クロナさん。意外と心があるじゃないですか。悪魔としては失格ですね!」
「なごみの角」がある行き止まりに辿り着いたとき、俺はその場に凍りついた。
「ここ……本当にあのアパートか?」
古びて剥げかけた看板は消えていた。代わりに、エレガントな彫刻が施されたスタイリッシュな木製のプレートが掲げられている。壁は深いコバルトブルーに塗り替えられ、窓はピカピカに輝いていた。一晩で、ホタルはあの廃屋を高級店へと変貌させていたのだ。
中に入ると、埃の匂いは高級な茶葉と氷のような清涼感のある香りに変わっていた。ホールの中心、完璧に磨き上げられたテーブルにホタルが座っていた。彼女は目を閉じ、優雅に磁器のカップを手に持っている。新しいブラウスを着ていたが、今回はボタンが補強されていることに俺は気づいた。
「七分の遅刻よ」目を閉じ合まま、彼女は言った。声は冷ややかだが、昨日のような怒りは感じられない。
俺は思わず彼女に歩み寄った。嬉しさと、自分でペンキを塗らなくて済んだという安堵から、彼女の肩をがっしりと抱きしめた。
「ホタル!これ、最高だよ!ありがとう!お前は本当に……」
「手を離しなさい!」彼女は即座に目を見開き、青白い頬が淡いピンク色に染まるのが見えた。彼女は巧みに俺の腕からすり抜け、俺を突き放した。「あんたのためにやったんじゃないわよ、馬鹿!ここは竜崎家の所有物なの。ゴミ溜めのような外観を放っておくわけにいかないだけよ」
彼女はテーブルの上にある、きれいに積まれた二着の服を指差した。
「制服よ。アマネはウェイトレス。あんたはバーカウンターの中。さっさと着替えなさい、もうすぐ開店よ」
十分後、俺たちは準備を整えて立っていた。アマネは丈の短い白黒のウェイトレス服が犯罪的に似合っており、翼をどうにか背後に折りたたんでいた。俺は黒いベストと白いシャツを身に纏い、驚くほど……しっくりくる感覚を覚えていた。
一時間が過ぎ、二時間が過ぎた。俺たちは待った。アマネは三回もすべてのテーブルを拭き、俺はすべてのグラスを鏡のように磨き上げた。
だが、扉の向こうには誰もいない。墓場のような静寂が漂っていた。
ホタルは古びた魔導書をめくりながら、小馬鹿にするように鼻で笑った。
「まさか、客がすぐに押し寄せてくるとでも思ったの?あんたたちのことなんて誰も知らないわ。この行き止まりにはネズミだって滅多に来ないもの」
「作戦が必要です!」アマネが手のひらを拳で叩いた。「クロナさん、ここで闇カジノを開きましょう!『後光に賭けろ』!先着十名様には無料チップをプレゼント!」
俺は即座に彼女に軽いツッコミを入れた。
「カジノなんて開くか!ここはカフェだ、溜まり場じゃない!」
「じゃあ……」アマネは叩かれた場所をさすりながら続けた。「キャンペーンはどうですか?『コーヒー一杯注文で、二杯目無料』とか」
ホタルは魔導書を大きな音を立てて閉じた。
「愚かね。初日で豆の代金だけで破産するわよ」
彼女は立ち上がり、窓の外の無人の通りを見つめた。
「注目を集めたいなら、他にはないものを利用すべきよ。クロナ、あんたはハガネヤの鍛冶師。アマネ、あんたは堕天使。人間も悪魔も……見世物と唯一無二のものには弱いのよ」
彼女は俺たちを振り返り、その緑の瞳に狡猾な光が宿った。
「無料のコーヒーなんて出さないわ。私たちが作るのは『ハガネヤのコーヒー』よ。クロナ、あんたはハガネイトを使って飲み物を加熱し、魔……じゃなくて悪魔のエネルギーを注入して作りなさい。そしてアマネ……」ホタルは値踏みするように彼女を見た。「あんたは『占う天使』よ。コーヒー一杯につき、一つの運命予言。人間は、素晴らしい未来についての嘘をつかれるのが大好きなの」
「それは……」俺は後頭部を掻いた。「うまくいくかもしれないな」
ホタルの作戦は恐ろしいほど早く的中した。俺たちが「占う天使と悪魔のコーヒー」という手書きの看板を通りに出した途端、静かだった行き止まりが活気づいた。
最初は香りに誘われた好奇心旺盛な悪魔の老婆だった。アマネが真剣な顔で「失くした財布との再会」を予言すると(単にバッグの中にあるのを見つけただけだが)、その老婆は多額のチップを置いていった。昼過ぎには、行列は大通りまで続いていた。
俺はバーカウンターの後ろで回転しそうなほど忙しかった。胸のハガネイトが赤い光を放ち、俺が手鍋を握るたびに、石の熱が直接金属に伝わった。コーヒーはただ沸騰するだけでなく、濃密でダークなエネルギーに満たされ、客たちはその美味しさに目を細めていた。
「三番テーブルのお客様に『黒竜のコーヒー』一丁!」アマネは客の間を飛び回りながら楽しそうに声を張り上げた。彼女の輪っかは今日、シャンデリアの代わりになるほど輝いていた。
夜は唐突に訪れた。最後の客が「信じられないような占いのオーラだ」と呟きながら店を後にした。
俺は疲れ果ててカウンターの椅子に崩れ落ちた。疲労で手が震え、目の前にはまだコーヒー豆が浮かんでいるようだった。静寂を破ったのは羽音だった。
アマネはまだ「占い師」のケープを羽織ったまま、ゆっくりと俺に近づいてきた。彼女の様子も俺と同じくらいひどく、輪っかは少し曇って横にずれていた。彼女は俺の手を取り、熱心に手相を眺める振りをしながら、地獄の底から響くような声で言った。
「おおお……あなたの未来が見えますよ、クロナさん……」
「何だよ?金の山か?」俺は掠れた声で返した。
「いいえ。カウンターにヨダレを垂らすのをやめないと、五分以内に寝不足で死にます。予言料として五百円いただきます!」
「勝手に言ってろ……」俺は力なく手を振ったが、笑みをこぼさずにはいられなかった。「やり遂げたな。本当に大金を稼いじまった」
その瞬間、店内の空気が一変して重くなった。窓ガラスが小さく震える。俺とアマネは同時に店の入り口を振り返った。街灯の光の中に、四つの影が立ち止まっていた。背が高く、ぼろぼろの外套を纏い、腐敗と鋼のオーラを放っている。堕天使の傭兵たちだ。
「あんたの借金取りか?」俺はカウンターの下にある、家から持ってきた重い鍛冶槌を手探りしながら囁いた。
「それとも、ハガネヤの生き残りが喫茶店を開いたと嗅ぎつけたあんたの『ファン』かもね……」アマネは身構え、翼を広げる準備を整えた。
傭兵の一人が手を突き出した。手のひらに闇のエネルギーが凝縮され、破壊的な魔法の球体へと変わっていく。
「この掃き溜めを焼き払え!」彼は咆哮した。
球体が放たれ、俺たちのパノラマウィンドウに向かって飛んできた。ガラスが砕け散る音と火災を覚悟したそのとき……。
チリン!
エメラルド色の光が弾けた。カフェの周囲に、一瞬だけ完璧な半透明のドームが現れた。傭兵の魔法は岩にぶつかる波のように砕け、無害な火花となって散っていった。
二階からゆっくりとホタルが降りてきた。手にはあの魔導書があり、その顔には最高の茶を邪魔されたときのような深い苛立ちが浮かんでいた。
「本気で、そんなゴミ屑でこの場所を壊せると思ったの?」彼女は俺たちを蔑むように一瞥したが、口角には不敵な笑みが浮かんでいた。「ここは私の店よ。そしてここには、私のルールがあるの」
彼女が指を鳴らすとエメラルドのドームが消え、傭兵たちを招き入れた。ホタルは俺とアマネの間に立ち、胸を張った。
「クロナ、コーヒーをもう一杯淹れなさい」敵に背を向けたまま、彼女は冷たく言い放った。「礼儀正しい家の入り方を忘れた客が来たようだから」
俺たち三人——鍛冶師、堕天使、そして悪魔の王女——は、入り口で立ち尽くす四人の傭兵を前に、静かに構えた。
「うるさい、羽根付きの詐欺師」
俺は上着の襟に顔を埋めて毒づいた。「ただ子供が泣くのが嫌いなだけだ。食欲が失せるからな」




