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不死身探偵フェニックス  作者: 猫月猫日猫曜日


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12/12

ようこそ、ブルーバード探偵事務所へ(その1)

〜探偵誕生

青空鳥子は赤ん坊の頃から、父親が建てたビルに住み、屋上を庭代わりにして暮らしている

近くに小鳥の好きな梅林公園がある

小鳥は梅の樹液や花の蜜が大好きだ

鳥子が屋上で聴く音楽を楽しみにしていて、小鳥達が集まってくる

小鳥達は音楽に合わせてさえずる


やがて鳥子は鳥語を憶えてしまう

鳥達が目にした近所の人間達の行動や秘密を知ってしまう

まるで探偵と思った鳥子は、実際に探偵を始める事にした

事務所の名前は[ブルーバード探偵事務所]


〜喫茶店

鳥子の母親はビルの一階で喫茶店を経営していた

鳥子は奥の客席の窓辺に小さな机を置いた 

衝立を置き、ブルーバード探偵事務所の看板を設置した

「よし、今日からここがブルーバード探偵事務所よ」


彼女は自分の名刺を作り、「探偵ブルーバード」と印刷していた

また、snsにも探偵事務所のホームページを作成した


最初の仕事は簡単だった

隣人の飼い猫「ミケ」が行方不明になり、助けを求めてきたのだ


「ミケちゃんの居場所ならすぐにわかるわ」


鳥子は屋上へ出て、小鳥達に向かって話しかけた

「みんな、ミケちゃんを見なかった? 白黒茶の三毛猫よ」


すると一羽の雀が答えた

「知ってるよ! 公園の東側の大きな松の木の下で寝ていた」


鳥子がその場所に行くと、確かにミケが日向ぼっこをしていた


直ぐに電話すると、隣人が小走りにやって来た

「どうやって見つけたの?」と驚く隣人


「企業秘密です♪」と微笑む鳥子


「まさかうちの喫茶店で探偵事務所を開くなんて……」

母・さくらは少し呆れながらも娘の夢を応援していた


喫茶[メープル]の一角に設けられたブルーバード探偵事務所は意外な成功をおさめた

SNSでの宣伝効果もあり、「動物探しのスペシャリスト」という評判が広がっていった


ある日の午後、一人の中年男性が喫茶店に入ってきた

「実は……妻の浮気調査をしてほしいんです」


鳥子は緊張しながらも引き受けた

しかし動物を探すようにはいかない そこで彼女は近所の鳩に助けを求めた

鳩は知能が高く、街の隅々まで目を光らせている

鳩「夜8時以降に北山さん(依頼者の妻)が誰かと会っているのを見たわ」


鳩からの情報をもとに調査を進めると、北山夫人は友人と月に一度慈善活動をしていることが分かった


「夫婦のすれ違いだったんですね」と報告すると依頼者は深く感謝した


「人間関係の問題も解決できるとは驚いたわ!」母は感心した表情で語った


〜奇妙な依頼

探偵依頼は毎日ある訳ではない

鳥子は今日はブルーバード探偵事務所で、snsの依頼確認だ

どんな依頼でも引き受ける訳ではない

情報源の鳥達は鳥目で夜の出来事には疎い

また、屋上にやって来る鳥達の活動範囲外の情報は得られない

今後の課題だ


「あの〜」

鳥子は突然声をかけられて驚いた

衝立の横に白髪のお婆さんが立っていた

鳥子「なんでしょうか?」

お婆さん「探偵さんでしょうか?」

鳥子「はい、そうですよ」

お婆さん「私は誰ですか?」

鳥子「なっ……」

お婆さん「家はどこですか?」

鳥子「ん……」


もしかしたら、認知症なのかな

鳥子はニッコリ笑みを浮かべて

「ようこそ、ブルーバード探偵事務所へ!窓際の椅子にお掛け下さい」

来客用のコーヒーを注文すると、急いで屋上に上がった


鳥子は小鳥達に話しかけた

「一階の喫茶店の角の窓から見えるお婆さんの自宅しらないか?ちょっと見てきてくれる!」

喫茶店の窓を覗きにいって、戻って来た小鳥達が話し始めた

四十雀「あのお婆さん、東の公園で毎日見かけるよ」

メジロ「公園の側の桜の木がある家に、いつも夕方帰っていたよ」


早速、鳥子はお婆さんを連れて東にある公園に向かう

公園の外側の道をグルリとまわっていくと、庭に大きな桜の木がある家があった

門の前に主婦が立っていて、こちらに気づく

主婦「お義母さん!何処に行ってたのよ!いつもの公園に居ないから、びっくりしたわ!」

お婆さん「……」

鳥子「迷子になった様です」

主婦「そうですか!お世話になった様ですね!」

鳥子「お家が分かってホッとしました それでは、確かにお届けしました」

お婆さん「夕飯まだ?」

主婦「もう、お義母さんたらっ」

鳥子「ふふっ」


〜翌日

ブルーバード探偵事務所に中年の男がやって来た

背が高くスポーツマンタイプだ

男「やはり、こちらですね!母が喫茶店に探偵事務所があったと言うんですよ」

鳥子「もしや、昨日の迷子の高齢の方のお子さんですか?」

男「そうです!山田と言います 全く刑事の家族が迷子になるなんて!」

鳥子「最近は多い様です」

男「今日は探偵料金を払いに来ました」

鳥子「ご心配なさらずに…認知症の疑いがある方から料金は頂いておりません」

男「そう言う訳には参りません!また、母がお邪魔してしまうかもしれないし…」

鳥子「それでは、刑事と仰いましたね」

男「それが何か?」

鳥子「事件の手伝いをさせて下さい」

男「変わった事を仰いますね 職業柄と言う事でしょうか 民間人に事件の情報を話すと、捜査情報の漏洩になりますが、民間人も捜査に協力する義務があると言う観点からなら出来るかもしれない」

鳥子「協力します」


鳥子は探偵として、ランクアップしたかった

課題も、夜間は梟、遠方は屋上に来る鳥達の紹介や渡り鳥で何とかなる


〜刑事との初めての協力

数日後、約束通り山田刑事が鳥子のもとを訪れた。彼は制服ではなく私服で、緊張した面持ちだった。


「実は先週から起きている『宝石店強盗』の件で相談したいことがあるんだ」


鳥子は真剣な眼差しで聞いている

喫茶「メープル」の奥で、二人はこっそり話し合った


「犯人は黒い服を着た若い男性二人組!」


鳥子は窓の外を見つめ、「ちょっと待ってください」と言って立ち上がった。


彼女は屋上に出ると、そこにいた鳥達に尋ねた


「この辺りで黒っぽい服を着た若者が、何か変なことをしていなかった?」


ハクセキレイが首を傾げながら応えた

「あの男たちね!青い公園のベンチで何か袋から光る石を取り出して数えていたわ!周りを何度も確認して怖がっていた」


「それは、いつのこと?」


「昨日の夕方よ」


鳥子は急いで刑事のもとに戻った「山田さん!青い公園で昨日の夕方に怪しい動きをした黒い服の二人組がいたらしいです」


「本当か!?」山田刑事は驚いた表情を見せた 「これは重要な情報だ ありがとう、鳥子さん!ところで誰からの情報だい?」

「ネッ友が多いんですよと言うのは表向きの話で、実は鳥の言葉が分かるんです」

山田刑事「そ、それは本当かい?」

鳥子「嘘です」

山田刑事「はっはっは!」


〜ニュース

翌朝、鳥子はテレビのニュースを見て驚いた


《速報:宝石店強盗犯逮捕》


キャスターは誇らしげに続報を伝える

《刑事の機転による逮捕劇でした 特に青い公園での捜査が功を奏したとのこと》


画面には山田刑事が映っていた しかし、その横には別の女性刑事が並んでインタビューを受けている


「私たちは目撃者の証言から、青い公園周辺を重点的に調査していました!防犯カメラ映像から犯人の映像を入手して、防犯カメラリレーにより逃走ルートを追い、犯人の潜伏先を特定しました」と、凛とした態度で語るのは女性刑事の美咲


「実質的に動いたのはあなたですよね」と山田刑事にマイクが向けられる

「いえ、チーム全員の成果です」


「良かった」

鳥子は最初の刑事事件の解決に満足して、特別なコーヒーを淹れた

コーヒーに豆乳とアップルジュースを少量入れると、ジャコウネコのコーヒーと同じ味になる

本物は高価すぎるし、作り方に抵抗がある

モーツァルトの交響曲第40番第1楽章のポップスバージョン[愛よ永遠に]を聴きながら


〜美咲刑事

その日の午後、美咲刑事が単身で喫茶「メープル」に現れた


「探偵ブルーバードさんですね?」彼女の明るい声が店内に響く

「私があなたを見つけたのではありません!山田先輩が情報を提供してくれました」

美咲は真摯な態度で頭を下げた

「あなたが地域の情報を持っていることは聞いています!本物の情報を私達に教えてください」


鳥子は目の前の美咲刑事を見つめた

彼女の瞳に嘘はない


「わかりました!ただし条件があります!今度私にも本物の捜査に参加させてください」


美咲は微笑んだ

「いいでしょう!その条件、飲ませていただきます」


こうして鳥子の探偵人生は思わぬ方向へ進み始めた

認知症老人の迷子から始まり、今や本物の犯罪捜査に足を踏み入れようとしている


次回予告:

鳥子は美咲刑事と共に初の本格捜査に挑む!だが現場で見たものは予想を超える光景だった……!?





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