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不死身探偵フェニックス  作者: 猫月猫日猫曜日


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10/10

隠し目付走る

相馬走は大学四年生で趣味はマラソンだ

週に数回、夜に地元で走っている

林を抜けようとすると、見知らぬ男が倒れ込み、走と目が合う

「このUSBに国内に潜伏するスパイの名簿が入っている!警官にもスパイがいるから、警視庁まで届けてくれ!コードZと言えば対応してくれる…逃げろ!」


バーーン

銃声が聞こえた

走はUSBを受け取り、慌てて走り出す


通りに出るとタクシーを拾うことができた

安心したのも束の間、タクシーのタイヤが銃撃された

走るは飛び降り、川沿いの狭い通路を走っていく

上着のウインドブレーカーがリバーシブルなのを思い出し、上着の色を変えて駅に向かう

そして、無事に桜田門駅に到着する

警視庁に向かうと、再び怪しい男達に追いかけられる


しかし、今度は敵も歩きだ

走は作戦を思いつく

最初はゆっくり走り敵を引きつけて、皇居を半周回ったところで全力で走り、再び警視庁に向かえばいい

追跡者を振り切り、桜田門に舞い戻ると、別の怪しい男達が監視している様だった

幸い走には気づいていない

走は途中見かけた漫画喫茶で夜を明かす事にした


朝になると変装の為に洋服店で背広を買った

水を使いヘアースタイルも変えた

これなら分からないだろう

通勤者に紛れて警視庁に入る事が出来た

コードZと言うと小部屋に連れて行かれて、担当者にUSBを渡した

帰りは覆面パトカーで自宅まで送ってもらった

後で金一封届くそうだ


後日、最初に倒れていた男がやって来た

「金一封だ」

「大丈夫だったんですね」

「頑丈なのが取り得だ ところで警官に成らないか?」

「謹んでお断りします」

「そうか、気が変わったら電話してくれ!」

名刺を置いて男は帰っていった

名刺には、若嶋津と言う名前と電話番号だけが印刷されていた


数ヶ月後、走は大手企業に内定が決まった

アパートの家賃を滞納しているのでホッとして、寿司屋でガールフレンドに報告した

ほろ酔い気分で帰宅すると、郵便受けに2通の封筒

1通は何と内定取消通知

もう1通は、身に覚えのない特別捜査官採用通知


混乱しながらも名刺の男、若嶋津に電話する

「どういうことか!」と、走は怒りをぶつけた

「外国では秘密を知った者は消される場合もあるんだよ!日本は法治国家だから、合法的対応だよ!特別捜査官は、初任給40万円だぞ」

走の頭には初任給40万円だけが残った


〜警視庁

ここは警視庁特別捜査室 通称隠し目付 拳銃の使用、家宅捜索、潜入捜査、盗聴等の権限が与えられている

会議の内容は、日本に亡命しているアジアの小国の反体制指導者の暗殺阻止だ

計画は交通事故で指導者が死亡した事にして、一人息子が東京マラソンに参加するニュースを流す


そして、暗殺者達を隠し目付総動員で逮捕していく

走は子供のフリをして葬式に出席する様に指示される

後日、何も知らされていない走は、東京マラソンに出場する事になる


〜東京マラソン当日

走はスタート地点で深呼吸を繰り返していた

走は緊張で喉が渇くのを感じた

(なんでボクが……)


「落ち着いて走ればいいのよ」


見知らぬ声に振り向くと、黒髪ショートカットの女性ランナーが微笑んでいた

「コードZ 隠し目付の美咲よ!今日のあなたの『伴走者』です」


フルマラソン42.195キロ コースには複数の暗殺者が潜んでいるという 走はコース周辺で市民に溶け込んでいる影達に光を当てるのが役割だ 美咲は通信機を操作しながら続けた


「コース上の全ポイントに部隊配置済み!あとはあなたが自然に走ること」


ピストルが鳴り、波のように走者たちが動き出した 走は慎重にペースを保ちながらも、周囲の視線を察知していた 見知らぬ外国人集団が一定距離を保って並走している

子供の頃からマラソンが生きがいの走は、10キロ地点で2位グループに肉薄する


〜20キロ地点

給水所で水を取った瞬間、目にミツバチが飛び込もうとしてくる

走は「うわー」と叫ぶと同時に、反射的に横っ跳びする

季節外れのミツバチか!


バーーン

「銃声が聞こえたような!?」


美咲の叫びがイヤホンから響く「狙撃! 奈落橋北岸だ!」


走は橋の向こう側を注視した すると、群衆が避けた隙間から狙撃犯らしき影が見えた その時だった


「コードZ」


誰かが耳元で囁いた 振り向けば変装しているが、よく見れば先日名刺を渡した男—若嶋津が自転車に跨っていた


「今ここで判断しろ!突っ込むか止まるか」


走は迷わずペースを上げた ランナー集団に紛れながら狙撃犯を攪乱する 最終的には橋を渡り切った地点で逮捕劇が展開され、数人の隠し目付が男を捕らえた


ゴールテープを切った時には既に暗くなりかけていた タイムは自己ベスト 汗まみれの顔を上げると、若嶋津が満面の笑みで待っていた

「初任務完了 いや……実は」

若嶋津が封筒を差し出す

「君が走っている所をスパイ達が暗殺しようとしていたのも確かだが」

封筒を開けると、「東京マラソン最優秀市民ランナー賞」との文字


「え? これって……」


「君の記録が本物だからこそ計画が成り立った 隠し目付としてではなく『市民ランナー』として表彰される権利がある」


走は複雑な表情を浮かべた そのときイヤホンから美咲の声

「追加任務です!表彰式後のインタビューで『今年の目標は?』と聞かれたら……」


走は微笑みながら答えた

「世界を目指します」


イヤホンから歓声が聞こえた

「了解! 隠し目付は存在しない事を前提に」


東京の夜空に星が瞬き始めた 走は気づいた—自分はもう普通の市民には戻れないことを ただ一つ確かなのは……

「初任給40万円は確かに魅力的だな」と呟いたその声に若嶋津が肩を叩く

「次回はもっと稼げるぞ!隠し目付に相応しい給料を約束する」


ビルの屋上から見つめる望遠カメラ、カフェの客のカバンの中から覗いているレンズ、それらが全て隠し目付のものだと、走が気付く訳もない

そして、走の背中に停まっていたミツバチが、役目を果たしたかの様に何処かへと飛び去っていった


他の暗殺者はどうしたかって?

[ミツバチ]とか言う[協力者]が、残りの3人を眠らせたそうだ

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