第19話 二階層へ/新たな出会い
ダンジョンへと入った一行は、手分けをして捜索、調査を行うことに。
一階層の捜索、調査は済んでいるので二階層に向かった。
「では、我々はこちらに」
ユズィ、モリー、メザリの三人。
「それでは、私達はこちらに」
リアン、イリン、ミュリン、エリィ、ドゥーザの五人。
「じゃあ、私達はこっちへ」
クロハ、ハイル、セシリアの三人。
それぞれが別々の場所へと向かった。
☆ ♡ ☆
「ハル君、歩くスピードとか大丈夫?」
「はい。ちょうどいいです。気を遣ってもらってすみません」
「ううん。気にしないで♪ 私は何よりもハル君を優先したいんだから♡」
「あ、ありがとうございます……」
(クロハさん、前よりも大胆になってる……?)
クロハ達は、ゆっくり目な足取りで二階層を歩いていた。
「セシリアさん」
「はい?」
「さっきはありがとうございました。助言をしていただけてとても助かりました」
「いえ。気にしないでください。ハルさんと一緒に行動するのは楽しかったので。それに……」
「ん?」
セシリアはハルをジッと見つめ──、
「あなたには、ダンジョンを生き延びられる力がありますからね」
「っ!?」
セシリアのその言葉に、ハイルはハッとした。
ダークネスバイトウルフを退けた際、セシリアはなぜか気を失うハイルの側に倒れ、手を握っていた。
それをクロハから聞いた時から、ハイルはずっととある事を考えていた。
(やはり、俺の正体に気がついている……!?)
セシリアがハルがハイルだと言う事に、気がついているのではないかと。
「ハル君に、そんな特別な力が……?」
「え!? あっ……え、えっと……その……」
「ふふ♪ ごめんなさい、冗談です♪ ハルさんはまだ子供です。その可能性を秘めているのではと思ったんです」
「な〜んだ。可能性の話か〜。まぁでも、ハル君ならあり得そうだよね。その内私達が守ってもらう事になるくらいの力を身に着けたりして♪」
「あ、あは、あはは……」
ハイルは愛想笑いをする事しかできなかった。
「ふふ♪」
(セシリア……何を考えているんだ……?)
ハイルは、セシリアを警戒する事にした。
☆ ♡ ☆
「やっぱり、何も手がかりになりそうな物はないですね……」
「そうだね〜……一階層と大体同じって感じだね〜……」
捜索を始めてすでに二時間以上。
三人は、手がかりになりそうな物を何を見つけられずにいた。
「ふぅ〜……」
「ん? あ、ごめんね、ハル君」
「え……?」
「疲れたよね。そろそろ休憩しよっか」
「そうですね。一切休憩を取らずに歩いてしまっていましたからね」
「あ、そ、その……ごめんなさい……」
「ハル君が謝る必要はないんだよ?」
「そうですよ。休憩が必要なのに、それを忘れて歩き続けてしまった私達が悪いんですから」
「そそ。だから、ハル君は何も気にしないで♪」
「は、はい……ありがとうございます……」
二人はそう言ってくれるが、ハイルとしては申し訳なさでいっぱいだった。
子供の体になる前であれば、十時間以上休憩無しで歩き続ける事なんて余裕だった。
しかし、今となってはたった数十分歩くだけで疲れてしまう。
歩くスピード、歩幅を合わせてもらってるにも関わらず、疲れはすぐにやってきてしまう。
(この疲労感は、子供になってしまったことだけが原因ではない気がする……)
ハイルは、疲れやすい原因が別にあるのではないかと考えていた。
そんな中、クロハとセシリアは休憩にもってこいの場所を見つけていた。
「ここで休憩にしよう♪」
「はい! ってえぇ!?」
クロハの弾んだ声が聞こえた為、ハイルは顔を上げる。
すると、そこには湖が広がっていた。
「ま、まさか……」
となると、考えられる事が一つある。
そう、それは──。
「うん! 水浴びをしよう♪」
「ですよね〜……」
水浴びだった。
☆ ♡ ☆
「んしょ……よいしょ……」
ぷるんっ♡ ぷりんっ♡ ぷるるんっ♡
「よいしょ……んっ……」
ぷるるん♡ ぷるんっ♡ ぷりりんっ♡
「ごくっ……!」
現在、ハイルの目の前では、二人の超絶美少女が服を脱いでいた。
服を脱ぎ、ブラジャーを取り、パンツを脱ぐ。
その一連を、二人は全く恥ずかしがったりせずに行っている。
なので、あっという間に二人は一糸纏わぬ生まれたままの姿となってしまった。
「あれ? ハル君? なんでそっぽ向いてるの?」
分かっているのか分かっていないのか、クロハはそんな質問をハイルにぶつけた。
「そ、そんなの、見ないようにするために決まってるじゃないですか〜……!」
「え〜なんで見てくれないの〜! よく一緒にお風呂入ってるじゃ〜ん!」
「そ、それはそうですが……恥ずかしいものは恥ずかしいですし、それに今はセシリアさんもいますし……!」
「セシリアさんは、ハル君に裸見られるの嫌?」
「いえ。全然。むしろ、見て欲しいくらいです♡」
(なんで!?)
「それに、見られるのが嫌だったら、こんな堂々と服を脱ぎませんよ」
「確かに〜! ほ〜らハル君。水浴びするよ。お洋服脱いで脱いで〜」
「あ、ちょ、ちょ……!? 脱がさないでください〜!! 自分で脱げますから〜〜〜〜!!!!」
☆ ♡ ☆
「ぶくぶくぶくぶく……」
鼻まで水に浸かるハイル。
その顔は、拗ねてしまっていた。
「ご、ごめんって……勝手に脱がせて見ちゃったのは悪かったからさ〜……許してよ〜……」
結局、あの後二人に服を脱がされ、しかもクロハは真正面からハルの服を脱がせていた為、ハルの男の部分をバッチリと見てしまった。
それだけなら前にもあったのでよかったのかもしれないが、なんとクロハは、ハルのその部分に手を伸ばし優しく触れてきたのだ。
その瞬間、ハイルの恥ずかしさのボルテージがマックスになり、ハイルは慌てて湖に飛び込んだ。
そして、拗ねてしまった今に至る。
ちなみに、セシリアは後ろから脱がせていた為、ハルのを見れていなかった。
見れなかった事を、セシリアはとても残念がっていた。
「クロハさんだけ、ズルいです……」
「セシリアさんも見たかった? ハル君のおち──」
「言わなくていいですっ!!!」
「ご、ごめんなさい……」
「全くもう……」
沈黙が流れる。
しかし、その沈黙すら三人には心地よくて──。
「ふぅ〜……」
「はぁ〜……」
「ふ〜……」
三人は、ゆっくりと湖で体を休めたのだった。
☆ ♡ ☆
湖で体を清め、ゆっくり休んだ三人は、捜索を再開していた。
今度はハルを無理させないと心に誓ったクロハとセシリアの二人は、ハルと手を繋ぎ歩く事でハルのペースに合わせていた。
右手にクロハ、左手にセシリア。
その光景はまるで、姉二人と歩く弟のようなものだった。
そんな風に三人でゆっくり歩いていると、突然──、
グシャァァァンッッ!!!
「「「っ!?」」」
進行方向にある曲がり道の先から、何かが引き裂かれるような音が聞こえてきた。
セシリアが咄嗟にハルの前に出て、クロハが後ろからハルを抱きしめる。
ハイルは、目の前にセシリアのお尻、そして背中にはクロハのムチムチの太ももが当たり、どうしていいか分からず硬直した。
「先に私が様子を見てきます。何もなければ声をかけますので、それまでここで待機を」
「うん。分かった。気をつけてね」
「はい。ハルさんも待っててくださいね」
「は、はい」
「うん。っ」
セシリアは、ハイルの視線に合わせるように軽く前かがみになり、頭を優しく撫でた。
その際、深い谷間に目を奪われてしまったハイルであった。
そんな視線に気づいているのか気づいていないのかは分からないが、セシリアは音がした曲がり道の方へと向かった。
「え!?」
曲がり道の先から、セシリアの驚く声が聞こえる。
「せ、セシリアさん!? ど、どうしたの!? 大丈夫!?」
心配になり声をかけるクロハ。
そんなクロハに、セシリアは戸惑ったような声で返事をする。
「は、はい。大丈夫なんですが……お二人とも、一旦こちらに来ていただけますか? 害はないと思いますので」
「分かった! 行こう、ハル君」
「はい」
二人は、セシリアのいる曲がり道へと向かった。
曲がり道を曲がり、セシリアの姿を視界に収めた二人。
しかし、二人はすぐに視線を無意識に、セシリアではなく、セシリアの前にいるとある存在に向けた。
「「え!?」」
そこにいたとある存在とは、果たして──、
「「い、犬人族!?」」
両手にスライムを持ち、口いっぱいにスライムを頬張る、犬耳と尻尾を生やした、可愛らしい獣人の女の子だった。
「わふ?」




