表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/20

第16話 ギルドへの報告/隣国へ

 治療院で目を覚ましたリアン達は、クロハに別れを告げ、ダンジョンへと向かっていた。


「な、なんか今のダンジョンに入るのは怖いね……」

「そうだな〜。あんなモンスター達がまだいるのかと思うとな〜」


 イリンとミュリンが会話をしながら歩いている。

 その前を、リアンが歩いている。


 ダンジョンの前には、騎士服を着た兵隊が左右に立ち、警備を行っている。


「【多種多様の集まり(ワイドバラエティ)】です」

「現在、一階層の探索は三十分に制限されております。それに注意して、お入りください」

「はい。ありがとうございます」


 兵隊の人との受付を終えたリアン。

 二人の元に戻り、三人でダンジョン内に入って行った。


 ☆ ♡ ☆


 ダンジョンから帰ってきた三人は、ギルドへやって来ていた。


「イシュさん」

「ん? あっ、リアンさん! お帰りなさい!」

「ただいま」

「イシュちゃ〜〜〜〜ん!」

「ほいストップ〜」

「うげぇ!?」


 掲示板の前に立っていた受付嬢のイシュに、勢いよく抱き着こうとするイリンを、ミュリンが首根っこを掴みそれを制止した。


「な、何すんのよぉ〜!」

「お前はいつもイシュちゃんに抱きつくだろ。あれ、結構痛そうだからな?」

「え!? イシュちゃんごめんね!?」

「あ、あは、あはは……」


 イシュは苦笑いするしかできなかった。


「それで、本日は?」

「あ、えっとね。さっきダンジョンに行ってきたんだ」

「ダンジョンに?」

「うん。ハイルの事、何か少しでも分からないかなって。それでね、一階層を時間ギリギリまで探索したんだけど、こんなのを見つけたの」


 リアンがカバンから何かを取り出す。


「拝見します」


 リアンが取り出した物を、イシュが丁寧に受け取る。


「これは……爪、ですか? ウルフ系統のモンスターの」

「やっぱりそう思うよね。私達もそうだと思うんだ。私達を襲ってきたのもダークサンダーウルフだったし」

「最後に襲ってきたモンスターも、ウルフ系統でした?」

「う〜ん……それがよく分からないのよね。姿が見えなかったから」

「なるほど……これは、最後に襲われた場所で?」

「ううん。また別の場所。特に襲われたりとかはしてない場所だったよ」


 ちなみに、リアン達が爪を見つけたのは、デルビーズがダークサンダーウルフとトライデントランサータウロスを召喚した場所だった。


「なるほど……詳しくは鑑定してみないと分かりませんが……おそらくはウルフ系統のモンスターで間違いないと思います」

「鑑定、お願いしてもいいかな……?」

「もちろんです! 鑑定はギルドに勤める者の役目ですから! お任せください!」

「ありがとう。じゃあ、お願いします」

「はい! 何か依頼を受けていきますか?」

「ううん。今日はもう帰るよ」

「了解です! では、鑑定が済み次第、ご連絡しますね!」

「うん。ありがとう。それじゃあそろそろ行くね」

「はい!」

「今度ご飯奢るね〜♪」


 リアンが歩き出すと、ミュリンがイリンの首根っこを引っ張りながら後についていく。


「イシュちゃん、またな!」

「イシュちゃ〜〜ん……! またね〜……!」


 イシュは、三人に優しく手を振って見送る。

 三人がギルドを出ていった後、イシュは受け取った爪を見て──、


「う〜ん……ウルフ系統のモンスターの爪にしては、黒光りし過ぎな気もするんだよね……」


 と、思っていた。


「まぁ、全ては鑑定をすれば分かります! 持てる全てを使って鑑定しますよ〜! 腕が鳴りますね〜! 頑張るぞ〜! えいえいおー!」



 イシュは一人で自分に気合を入れていた。


「イシュ〜。ちょっといい!」

「あ、は〜い! すぐ行きま〜す!」



 イシュは先輩に呼ばれ、爪をポケットに入れて走っていった。


 ☆ ♡ ☆


 三人は、パーティーの拠点にしている一軒家へと帰ってきた。

 玄関を開け、中に入ると、一足の見慣れない靴が置かれていた。


「誰か来てんのか?」


 ミュリンが警戒したような口調で呟く。その呟きにリアンとイリンは息を呑んだ。


 三人が警戒をしながら、恐る恐る中に入っていくと、リビングにガイルと話す一人の男性がいた。

 その男性を見た瞬間、三人はホッと胸を撫で下ろした。


「なんだ、デルズか」

「もう、ビックリさせないでくださいよ〜!」

「デルズさん、いらっしゃい」

「皆さん。お邪魔しております」


 そこにいたのは、金髪の男性。

 中性的な顔立ちで、優しそうな目をしている。


 彼の名前は『デルズ』。


 リアン達【多種多様の集まり(ワイドバラエティ)】とは長い付き合いで、国王であるデリアの伝言やら何やらを伝える為に、度々訪れている。


 デルズは、国王直属の秘書官だった。

 デリアから受けた任を、密かにこなし、国の安寧を保っている。


「何に驚かれたのですか?」

「玄関に見慣れない靴があったから、もしかして侵入者かと思ってな」

「あ〜なるほど。いや〜すみません。最近仕事で靴を酷使しまして。ボロボロになってしまったので買い替えたばっかりなんですよ」

「そうだったのか」

「はい」

「今日は何かあって?」


 リアンが尋ねる。


「はい。仕事から戻ってきたら、国王様からハイル様が行方不明になったと伺いまして……ハイル様に限ってそんな事はないだろうと思い、ここに来たのですが、ガイルさんから報告を聞き、本当なんだと、今しがたショックを再度受けていたところです……」


 デルズが暗い顔を浮かべながら答える。

 それを受け、三人も顔を暗くして俯く。


「イリン、デルズにお茶を出してやれ」

「あ、う、うん……」


 暗い空気を破ったのは、ガイルだった。

 ガイルは椅子に座っており、偉そうにイリンに命令をした。

 イリンは、それを受け、慌ててキッチンに向かう。


 それを見て、リアンとミュリンは嫌な顔をしていた。


「イリンさん、私、自分でやりますよ」


 と、言うデルズだったが──、


「いいんだよ、デルズ。こういうのは女がやることだ。客人に茶や菓子を出す。そしてもてなす。それが女の仕事だろ? 女は家にいて、男に尽くす。それだけしときゃいいんだよ。女の冒険者とかマジでいらんだろ」

「が、ガイルさん……しょ、少々言いすぎですよ……」

「あ? いいんだよ。俺はこのパーティーのリーダーだぜ? 発言権や決定権は俺にある。そして、俺の意に逆らう事は許されないんだよ」

「「…………………」」


 偉そうに語るガイルに、リアンとミュリンは、歯を食いしばり手を握りしめていた。


「お、お待たせしました……」


 そこに、イリンがお茶の入ったコップを持ってくる。


「ありがとうございます、イリンさん」

「ったく、遅ぇんだよ」

「………………」


 机を挟み、椅子に座り向かい合うガイルとデルズ。

 デルズはイリンにお礼を言い、ガイルは舌打ちを一つして苦言を呈した。


 その苦言に、イリンは顔を少しだけ顰めた。


「んでよ〜──」

「あはは! なんですかそれ!」


 ガイルとデルズは、楽しそうに話している。


 そんな二人の様子を見て、イリンは何かを考えていた。


 イリンは、リアンとミュリンの方に戻る。考え事をしながら。


「イリン? どうしたの?」

「何考えてんだ?」

「あ、いえ。なんでも……」

「「ん?」」


 イリンは誤魔化した。が、実際は何かを考えていた。


(あの雰囲気……どこかで感じた事が……あっ)


 イリンは何かを思い出した。


(この二人の雰囲気、ガイルさんが謎の人と話してる時と似てるんだ……)


 イリンはガイルが、デルビーズと話しているのを聞いていた。

 よって、会話の雰囲気を覚えていた。

 それがどうしてか、ガイルとデルズの会話をしている雰囲気が似ているのだ。


 デルズとデルビーズは別人なのに。


(それに、 “声” も違うから、おんなじな訳ないのに……)


 この後、イリン達はほとんどガイルとは会話をしないまま、再びダンジョンへ向かったり、ギルドへ向かったりした。

 そして、ハイルが目を覚ます二日前になった。


 ☆ ♡ ☆


 いつも通りダンジョンを探索し、ギルドへ寄ってきたリアン達は、家へと戻ってきていた。

 そこには、デルズがガイルと話をしていた。


「またいんのかよ」

「ミュリン。そういう事言わない」

「だってよ〜。ここんとこ毎日だぜ? 家になんの用があってそんなに来んだよ」

「ミュリンの言う通りですね。毎日毎日飽きもせず。そんなに話すことあるんですかね?」

「まぁ、それは私も思ってたけどね」

「「でしょ〜!」」


 三人は、キッチンで話をしていた。

 ちなみに、ガイルとデルズはガイルの部屋で話をしている。


「お三方」

「「「っ!?」」」


 話をしていると、キッチンにデルズがやって来た。


「「「ビックリしたー……」」」

「すみません。驚かせるつもりはなかったんですが……」

「まぁ、別にいいけどさ。んで? なんか用?」


 ミュリンが代表して尋ねる。


「はい。国王様からお三方にご依頼がございまして。それをお伝えに参りました」

「「「国王様が!?」」」

「はい。ハイル様の探索やS級モンスターの調査の協力を、隣国のロリスタンス王国に依頼しておりまして、そのご返事が本日届いたようなのです。もちろん、協力すると」

「それと私達への依頼と、どんな関係が……?」


 リアンが尋ねる。


「はい。隣国から協力してくださる方々をお三方に案内してほしいのです。馬車でこちらにやって来るのは分かっているのですが、このショタリシアス王国はとにかく広い。慣れた御者と言えど道を間違えたら数日、いや、数週間はたどり着けない。我が国、ショタリシアスはそんな場所です。なので、お三方にはロリスタンスに迎えに行っていただきたいのです」


 リアン、イリンの二人は納得しているようで、デルズの話をしっかりと聞いている。


「馬車の用意はできておりますので、準備が済み次第、出発していただければと」

「分かりました。少しだけ、時間をください」

「はい」

「それって、ガイルさんは……?」

「ガイルさんは同行いたしません。療養が必要なので」

「そうですか。分かりました(よかった〜……)」

「それでは、準備ができ次第、お声がけください。私はガイルさんの部屋におりますので」

「「はい」」


 そう言ってデルズは、二階にあるガイルの部屋へと戻っていった。


「さて。さっきから一言も喋ってないミュリンはどうしますか?」


 リアンがため息をつきながら、隣国のロリスタンスと言うワードが出てから一言も喋ってないミュリンに尋ねる。


 ミュリンは、頬が痙攣しているかのようにピクピクと動いていた。

 表情は苦虫でも噛み潰したかのようなものだった。


「まぁ、ミュリンからしたら行きたくないですよね。幼馴染みのヒメリ様がいる所になんて」

「腐れ縁ですからね〜」

「は……はは……ははは……はははは……」


 ミュリンは、苦笑いを浮かべる事しかできなかった。

 次話で三人が隣国へと向かいます!


 ミュリンと幼馴染みで腐れ縁のヒメリとは一体?


 新キャラが多数登場する次話を、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ