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第一話 転生じゃなくない!?

目を覚ますとそこは森だった。

植物に特別詳しいというわけではないが、見たことのない植物が生えている。

木一つとっても紫がかっていたり、発光していたり、足元に葉が生えて上に行くほど根のようにやせ細っていたりする。

雲を突き破るほどの大きさのトゲトゲしたサボテンみたいなものも遠くに見える。

この分だと迂闊に近付いたら最後からめとられて養分にされる……なんて恐ろしい食人植物がいてもおかしくないと思った。


立ち上がってみる。

どうやら服は着ているらしい。

一言でいえばファンタジーRPGでよく見る感じのありがちな初期衣装デザイン。

着たことのない不思議な肌触りに、これが夢ではないと実感する。


腰元にロングソードを携え、本が落ちている。

これが女神の言っていたチュートリアル本だろうか。


ひとまずざっと状況を理解し、ツッコミを入れようと思う。


「『転生』じゃなくない!?」


定義は大事だ。

『転生』って言ったら普通生まれ変わりのことだから、最初は赤ちゃんから始まるべきだろ?

実際赤ちゃんから始めたかったかは別として、明らかに今俺は大人の身体だからこれは転生じゃないだろ

確かに赤ちゃんからやり直したら色々な部分の描写が面倒だよ?

どうせおいしいところは青年編なんだから、大体2~3伏線張って適当に時間すっ飛ばすだけだよ?

でもだからといって『転生』を掲げるならそこからやらないと言葉の定義が揺らぐだろう?

あまりにもご都合主義が過ぎる!

これだからなろうの異世界転生とかつくやつは信用できなくて嫌いなんだよ!


「うわぁめんどくさいオタク」

そんな女神の声が聞こえた気がしたが幻聴だった。


自分でもわかっている。

そんな定義どうでもいいのだ。

『異世界転生』は既に一般名詞化しており、そのまんまの意味ではなくなっている。

こういうファンタジー世界で人生やり直す、そういうふわふわした願望に名前をつけるためだけのものだ。

でもさぁ、なんかこういうの気持ち悪くない!?


「ふー……吐き出したらちょっとスッキリした」


なんか鏡とかないかな。

大抵こういうのってイケメンに上手かれ変わってるはずだし、ちょっと期待しちゃうぞ。

丁度泉があるじゃないか、覗いて見てみよう


「うーーん」


なんか無個性な感じの普通の顔だった。

確かに言われてみると大体ラノベの主人公って別にイケメンってほどではないよなぁ

二次元だから気にならないだけで。

感情移入が大事だからあんまり派手な感じのデザインにはしないんだろうな。

でもよくよく見ていると最初から俺の顔ってこんな感じだったかもと思える不思議な感覚に陥ってくる。

年齢もいまいち定まらない感じの顔つきだ。

ギリギリ10代後半から20代前半くらいまで通りそう。

元々23歳だった俺は何度か年齢確認を食らうくらいには童顔だったし。

あれ、元々の顔ってどんなだっけ……。

前の人生において鏡なんて3日に1回見ればいい方だったから自分の顔をあまり覚えてないな……

顔面で得した覚えなんてないから写真とかも撮らなかったし。

遺影に困るなとか考えてたっけ。

……葬儀とか行われてるのかな。


いや、待て待て。

折角の異世界転生だ。あんまり湿っぽくなるな。

大体前の人生に未練なんてそんなないだろ。

俺はこれからこの世界でチートスキルを得てハーレムを築いてウハウハな無双を繰り広げるんだから!

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