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初めての家出は、快活クラブ

作者: 森山 美紀








そういえば、一度家出したことがある。



家出といっても半日家に帰らなかっただけだし、帰ることができなくて母に迎えにきてもらう始末だった。



しょうもないことで母と喧嘩して、ふと、家出してやろうと思い立ったのだ。


母からもらった少ないお年玉の封筒をポッケにねじ込んで携帯も、何も持たずに家を出た。





とりあえず学校の近くまで歩いてみたものの、やることがない上にとてつもなく寒かった。



すぐに引き返して、室内を探した。

(この時すでに家に帰ろうかと思っていた)



歩いても歩いてもスーパーやコンビニしかなくて、途方に暮れていた時。


遠くの方に「快活クラブ」の文字が見えた。

父がそこでたくさん漫画を読んでいると話していたのを思い出した。


これだ!と思い走って快活クラブの中に入る。




愛想の悪い店員が私のことをジロジロと見ていたが、案外普通に入ることができた。


1人でお金を使って遊ぶ場所に行ったことがなかった私は、背徳感を感じながらも興奮していた。



そこで、ドリンクバーのココアとスパゲッティを頬張りながら漫画を読んだ。

パソコンの使い方なんて全くわからなくて、漫画を読むしかなかったのだ。



この時読んだ「砂時計」という漫画が今でも好きだし、私の人生のバイブルだ。



暗くなる時間、店員が私の部屋まできて保護者同伴でないのなら帰れと言った。


仕方なくお会計をしようとしたが足りない。スパゲッティなんて食べたからだった。



お年玉の袋を握りしめた私をみて店員はため息をつき、お店の電話で家に電話した。



母は大慌てで私を迎えにきて、足りないお金を払った後に私の頭をポカっと殴った。



「あんたに漫画喫茶はまだ早い!」



たしかに、隣の部屋からはAVの音が流れていた。




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