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召喚されたら草だった  作者: 徳島
第一章
30/136

第30話 定期診断

 僕たちが異世界へ来て、一ヶ月が過ぎた。



 あれからは変わらず訓練やレベル上げ、水やりに土いじりの日々だ。新しい魔法を習得したり、新しい階層を探索したり、新しい必殺技名を考案したり、と多少の刺激を挟みつつも、特別訓練のようなイレギュラーもなく、単調だが順調に日々は過ぎていった。


 そして今日は定期ステータス診断、これまでの頑張りが試される日がやってきた。前回は特別訓練を終えてすぐだったので3週間ぶりだ。僕は集中力も気合も十分だった。


「行ってくる」


 僕は鑑定を終えた浜君と入れ違いで談話室へ入り、魔道具の前まで進むと水晶に手をおいて気を送った。


「よろしく、お願いします……!!」


 装置が淡い光を放ちだす。僕は理想の自分を強く思い描いた。僕ならやれる! 本当の自分になれる!! 


 やがて水晶が強い光を放ち、鑑定は終了した。



 これが表示された僕のステータスだ。



-------------------------------------------------------------------

【Name】赤石穂積

【Age】17


【Class】草

【LV】8     (+6)


【HP】170/170 (+60)

【MP】 70/70  (+15)


【STR】22 (+12)

【VIT】18 (+9)

【AGL】26 (+10)

【DEX】24 (+11)

【INT】22 (+10)

【MEN】20 (+9)

【LUK】23 (+10)



【スキル】

植物知識     :Lv.3 (+1)

観察       :Lv.2 (+1)

埋没       :Lv.2 (+1)

ストレス耐性   :Lv.3 (+1)

インベントリ   :Lv.3 (+1)

調薬       :Lv.2 (+1) new!

短剣術      :Lv.2 (+2) new!

土魔法      :Lv.1 (+1) new!

算術       :Lv.3

異界語(日本語) :Lv.5

大陸語      :Lv.4



【称号】

渡り人

ゴブリンキラー new!

トレントキラー new!


-------------------------------------------------------------------



「……うん」


 自分のステータスを確認した僕は、自然とうなずいていた。


「アカシ様、見事な成長具合です」


 記録員のローブはそう言って、ステータスを写し始める。


「ありがとうございます。やはり【短剣術】の習得が大きいですね。それに【土魔法】、毎日畑を耕したかいがありました。はい、調薬は5レベルで取得したスキルです。これでなんとか戦闘の頭数くらいにはなれそうです。ええ、とりあえずはこのままレベル10を目指そうかと思います」


 僕は満足感を抱えながら退散した。次の豊成はこうだ。



--------------------------------------------------------------------

【Name】深谷豊成

【Age】17

【Class】芋

【LV】8     (+6)


【HP】170/170 (+60)

【MP】 50/50  (+15)


【STR】26 (+12)

【VIT】20 (+11)

【AGL】17 (+8)

【DEX】28 (+10)

【INT】16 (+7)

【MEN】23 (+10)

【LUK】23 (+11)


集中      :Lv.2 (+1)

迷彩      :Lv.2 (+1)

踏破      :Lv.3 (+2)

ストレス耐性  :Lv.3 (+1)

インベントリ  :Lv.3 (+1)

栽培      :Lv.1 (+1) new!

風魔法     :Lv.1 (+1) new!

盾術      :Lv.1 (+1) new!

算術      :Lv.3

異界語(日本語):Lv.5

大陸語     :Lv.4



【称号】

渡り人

ゴブリンスレイヤー new!

コボルトスレイヤー new!


--------------------------------------------------------------------


「最近、なんとなく野菜や花の声が聞こえる気がするんです。【栽培】スキルのおかげですよ。やっぱり一つ一つに名前つけて可愛がってあげるのが大事なんです」


 興奮気味に家庭菜園を語る豊成の声が、部屋の外まで聞こえる。あいつマジで1株1株に名前を付けて可愛がるのはおろか水やりのときにキスして回ってるからな……。


 僕たちは最近、普通に農民だった。自室に加え空いている個室やダンジョン前の大扉の部屋や、食堂のすみっこや浴場の更衣室やキャンプ地の端や、そしてダンジョン内部にも植木鉢や畑を設置して野菜や草花を育てた。


 特に豊成が完全にハマってしまった。一般的な世話だけでは飽き足らずダンジョン内の畑で無駄に寝ずの番をしてみたり、ベッドに鉢植えを持ち込み添い寝してみたり、農作物の横に穴を掘って殉植してみたり、おおよそ正気の沙汰ではない行為を繰り返した。


 僕は老師に相談してみたがこの世界にもバカに付ける薬はないらしく、住吉さんに頼んで覚えたてのクリーンを掛けてもらったら症状が悪化し天を仰いだ。すごい! まだ()があったなんて!! 住吉さんはショックで3日寝込んだ。


 毎日欠かさず水をやり、雑草を抜き、悪い虫を捨て、悪い虫が「今日もキレイだよ、ジェニファー」と囁き、錬金術で作った栄養剤を撒き、開花や収穫の日を今か今かと待ち望む。

 そんな日々の努力のかいあって農業系スキルも伸び、一端の農夫らしくなってきたところだ。

 

 他にも横沢さんの手伝いをしたり、調薬の訓練を積んだり、新しい青汁を開発したり、めげずにインベントリの特訓を続けたり、(せわ)しない3週間だった。それらの成果がきちんと出たようで、まずは一安心だ。


 レベル8は高くもなく低くもなく、という感じだ。田中君や小屋敷君とこのパーティーはもう2桁レベルに乗って、レベル10で新スキルも獲得している。逆に、ほとんどレベルが上っていない女子も多い。


 スキルの伸びもぼちぼちだ。スキルレベルは3あれば十分仕事になる、ひと月でこれならまずまずだろう。クラスメイトたちは4や5まで上げた者も出てきた。一流ともなればレベル6は必要らしいけど、なかなか遠い目標だ。


 能力値も順調に成長した。僕たちのステータスは10レベルにして一般的なレベル2~30の兵士ほどらしい。さすが勇者様、大盤振る舞いだ。実際、大学や建石君なんかは戦闘訓練で教官役の騎士相手に1本取るようになってきた。1ヶ月では破格の成長速度、だけどそれもここまでだろう。


 この世界はレベル10までは上がりやすく、20までは気合が必要で、30あればベテラン、サルバンさんみたいに40超えると一流だ。

 レベル20まで上げられると一流に引けを取らないステータスになるが、もちろん戦闘経験は段違いだ。そこを埋めるために30レベルは欲しい。そして、サルバンさんはレベル30になるまで20年かかったと言っていた。



 僕らは、そんなに待てない。

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