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第八話 冒険者登録

第八話 冒険者登録


 ジェード、リスタルの二人と再会後、僕はメジストの紹介で冒険者登録を行うことにした。

 とはいっても、大げさなことはなく、名前などの必要事項を書いて、ゴーレムのコアを提出し、しばらく待つだけだった。


「はい、これが冒険者証です。無くさないよう気を付けてください」

「ありがとうございます」


 僕は受付の男性から鉄でできたプレートを受け取った 

 プレートには僕の名前、ロール、ランクが記述されている。


 ランクは下から二つ上のF、ロール【探索者エクスプローラー】とすることにした。


 ロールとは基本的にどういったことが得意なのかを簡単に明記したものだ。

 【攻撃者】【守護者】【魔術者】【探索者】の四通りに分かれ、自分の選んだ探索者は遺跡探索や地形調査をメインにするロールだ。

 ちなみに聞いたことによると探索者の人気は最下位らしい。逆に最上位は攻撃者、依頼の内容的にも、伝説の剣の存在的にも人気らしい。


 しかし、僕にとってはそんなことはどうでもよかった。


「これが冒険者証。冒険者証かぁ……!」


 僕は思わず冒険者証を握りしめていた。

 伝説の剣が抜けず、パーティから脱退を命じられ、もう冒険者にはなれないのだと思っていた。


 それがこの手の中にあるのだ。

 これが最初の一歩だ。最初の一歩なんだ。


「おめでとさん、ラルド。歓迎するぜ、これで冒険者だな」

「ありがとうございます。まさか本当になれるだなんて」

「だからいったろ。あと依頼の完了報告してしまおうぜ」


 メジストはついてこいと僕を促し、先ほどのカウンターとは別のカウンターに移動する。

 カウンターではギルド員の制服を着た女性が興味が浮かびでた表情でたたずんでいた。


「いらっしゃい、メジスト。ほほう、この人がストーンゴーレムを倒したっていう」

「ああ、そうだ。紹介するぜラルド、彼女はイズ。このギルドにおいて金勘定最強の女だ」

「……どんな紹介よ。引っぱたくわよ」


 そんなこんなで二、三彼女とやり取りをした後、メジストは僕に振り返って紹介を始めた。


「そんでもって、ここが依頼の受注や、完了を報告するカウンターだ。

 本当は受注をしたやつが全部やるんだが、今回は内容が内容だからな。

 ラルドお前さんが完了手続きをやっていいぜ」

「依頼を譲るってことですか? えっと、本当にいいんですか?」

「おうよ。というかストーンゴーレムを倒してないのに報告するわけにいかないからな」


 周りを見ると彼らのパーティメンバーもうんうんとうなずいている。

 例の魔術師の女性の方は「まったくもー」となぜかドヤ顔だった。


 幼いころに遊んでいた幼馴染がよくそんな表情をしていたなと、ふと懐かしくなったが、今はそんなことよりも報酬の話をまとめたほうがいいだろう。

 いかに彼らがいいといっても全部もらうのはさすがに気が引ける。


「そういうことでしたら、報酬は半々にしませんか? いろいろ教えてもらってますし。メジストたちもいろいろ費用かかってますよね」

「あー……ハハハ、そうしてもらえると助かるわ。晩飯奢るぜ」

「わかりました。そういうことで」


 そのあと僕はメジストたちにカウンターの使い方を教えてもらいながら、報酬を受け取った。

 半分に分けても、二千Gはある。食事一回約三十Gなので、僕一人なら一か月は暮らすことができそうだ。


「こんなに」

「もともとストーンゴーレムはパーティ全員で戦うことを推奨する敵だからな。一人だと多いだろう」

「ゴーレムのコアはどうする? このまま買取なら上乗せしておくわよ」


 カウンターの向こうから、イズが先ほど渡したゴーレムのコアカウンターに乗せながら声をかけてきた。

 上乗せ額は二千ゴールドらしい。確かにすごいおいしい話だが……。


「コアの買取はなしでお願いします」


 ゴーレムのコアは合成魔術の材料にできるかもしれないので返してもらうことにした。


「分かるぜェ、ラルド。やっぱ初めて仕留めた魔物の素材ってのはとっておきたくなるもんな!」


 僕の選択に大剣使いのヤモンがうんうんとうなずいた。おそらく彼が首からかけているキバのネックレスが彼にとって初めて仕留めた魔物の素材なのだろう。

 僕としてはそういうわけではないのだが、でも確かに言いたいことはわかる。すっごくわかる。


 そうなると合成以外にも、別の使い方を考えてみてもいいかもしれない。


「とても分かります」

「お、いいじゃねぇか。気に入ったぜ。今度行きつけの加工屋紹介してやるよ」

「本当ですか、それはぜひお願いします」 

「食事、頼んじゃいますよ~」


 ヤモンとあれこれ話をしている間に、『青紫の水晶』の面々はテーブルを確保し、食事を始める態勢に入っていた。

 僕たちもテーブルに着き、今日の出来事を肴に食事を楽しむことにした。



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