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第四十六話 要求

第四十六話 要求


「計画は四週間後、ラルド様にはこの街にある北の教会施設で行う式典に乗り込んでもらいます」

「分かりました」


 リスタルに自分の考えを伝えたのち、部屋に戻ってきたファイと細かい部分の打ち合わせを行った。

 この後リスタルは領主の館に戻ることになり、四週間にわたる準備の後、街の教会で大々的に結婚の式典を行うそうだ。


 そこに僕が乗り込んで、リスタルとディアンの婚姻に異議を唱え、彼女を連れさる――というのがファイのシナリオ。


 それに付け加えて、異議を利用し、剣の性能でディアンをあおり、戦いに持ち込み勝つ、そして領主にリスタルの婚姻を直訴するのが僕のシナリオ。


「――計画は以上です。当日まで内密にしつつ準備をお願いします」

「はい。それと一つお願いが」

「なんでしょうか?」


 始めてファイと剣を合わせた後に出た彼の言葉を思い出す。


 彼は基本的にリスタルの行く末を案じている。

 だとするならば、問題はないはず。なぜならファイも、僕も、ディアンとリスタルを結婚させないという点で目的は同じなのだから。


「当日までの間、可能なら僕に稽古をつけてくれませんか?」

「下手に自信をつけてしまえば、あなたはおそらくあの剣に挑んでしまう。それは確実ではない」

「もし、無謀だとしても、僕が挑むとしたらどうですか」

「……なるほどそういう御覚悟なのですね。仕方ありません、でしたら私からも一つ条件をーー」


 目の前の老人がウルフ系モンスターを思わせるように目つきを鋭くした。

 口元を見ると笑っているが、それはあまりにも好戦的な笑みだった。


「ーー手解きは、私に一太刀入れてからということでラルド殿」


 あまりの圧力に僕は唾を飲み込んだ。

 でも、これは超えないと行けない壁。

 ディアンと僕を見比べてファイは攫うべきと選択した。

 それは僕が弱いからだ。


 そしてファイという強力な人物を有しながらディアンの要求を飲んだ領主はファイとディアンを戦わせても相打ちか、最悪負けることを想定したのだろう。


 だから僕はファイを越えなければ行けない。

 おそらくファイもそれは理解している。

 だから僕の心が折れるまで、全力でくるはずだ。


 それでいい。

 目の前の相手を超えて、自分の進む道を自分で決めるのだ。

 誰に言われるまでもない。

 自分で自分を折らないために。


 もう、剣が抜けなかったなんてくだらない理由で心を腐らせた自分に戻らないために。


「ラルド、頑張って。貴方ならできる」

「ありがとうリスタル」


 リスタルの声に応え、僕はファイを見た。


「分かりました。よろしくお願いします」

「では、場所を変えましょう。こちらへーー」


 


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