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第三十四話 決意

第三十四話 決意


 一体どうすればいいのか。

 ラズワードが去り、ひとまず宿の部屋に戻った僕の頭にはそればかりが巡っていた。

 外を眺めればサイレントウォーカーたちの数が減ってきている。

 もう少し待てば、従業員たちを連れギルドまで移動ができそうだ。


「――!!」


 カーネリアが何かを言っているが、頭が全く受け付けず、雑音として処理されていく。

 僕はベッドに座り込み、壁を見つめた。


「うん、わかっている」


 リスタルの最後の言葉は理解している。

 『北の草原にはいかないで』だ。


 サイレントウォーカーたちの移動先を調べたリスタルが残した言葉だ。

 おそらく彼らが移動し、集結したのが北の草原。


 そして僕一人では対処できないとリスタルは判断したのだ。

 『いかないで』とはそういうことなのだろう。


 一番賢明なのは街を脱出し、他の町に助けを求めることだ。

 他の町から冒険者を集めれば、さすがにあの巨人であっても打倒が可能だろう。


 だが、ほかの町に行くとすれば、十二時間以内にあの巨人を倒すことは不可能になってしまう。


 つまりはいまある手札で、あの正体不明の巨人をなんとかし、北の草原に集まっているだろうサイレントウォーカーの中から、リスタルを見つけ出さないと、彼女は死んでしまうのだ。

 そんなことは不可能だ。僕の力では――。


 彼女を死なせたくはない。

 だけれども、それが最善ではない。


 その事実が、僕の判断を鈍らせていた。


「――!!」


 いまだにカーネリアが何か言っている。

 彼女を見ると、顔を真っ赤にして、何かを訴えている。

 部屋を見ても、異常はない。


 ならばもうしばらくは大丈夫のはずだと僕は、壁を見つめた。


 その時だった。

 頬に強烈な痛みが走り視界が揺れた。


 僕は殴られていた。


「あんた! ラルド! 今はその時じゃないでしょう! 」


 声が聞こえた。

 見ればカーネリアが握りこぶしを振りぬいたまま固まっていた。


「『金緑石の集い』のリーダーはあんたなんでしょ!」


 言葉が突き刺さってくる。

 その通りだ。あの時、僕はディアンからこのパーティの名前を奪った。

 これは、僕が決めなければならない。

 

「あんたが選ばないといけないのよ!」


 そう――選ばないといけない。


 だけれど最善を選ぶべきか、願望を選ぶべきか。

 そんな僕の視界に壊れたガネットが映る。


 選ぶべきは、大切な仲間だった。


「もう、失いたなくない……大切な仲間を――」


 あの悲しみはもう二度と味わいたくなかった。

 あの悲しみの時そばにいてくれた人を僕は救いたかった。


 『北の草原にはいかないで』とリスタルは言った。

 だが、リスタルの言葉でも迷うことはなかった。


 これ以上大切なものを失わないために。


「――ありがとう、カーネリア」

「ふ、ふん、いい顔になったじゃない」


 なぜか顔を赤らめながら、カーネリアはニっと笑った。 

なかなか更新が安定しなくてすみません

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