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第二十五話 合成の法則

第二十五話 合成の法則


 僕とリスタルは壊れたガネットと共に、旅路を進んでいた。


 基本的には商人たちが使う見通しの良い行路を利用し、時折現れる魔物を撃退しながら、順調に流通都市タイズへの行程を踏破していく。


 特に魔物との戦いは気を付けないといけない。

 医者のいない旅で大けがを負ってしまったらそれこそ死につながるかもしれないからだ。


 一応回復スキルが使える棒はあるから最悪の事態に陥る可能性は少ないが、それでもケガには気を付けつつ、僕たちは流通都市タイズに向けて歩みを進めていた。


「とはいえ、この訓練は続くわけなんだね……」

「この間のドラゴンとの戦いを見る限り、まだまだ改善の余地がある」

「うん、身をもって理解している」


 今日の行程を終えた僕はリスタルから訓練を受け、傷だらけになっていた。

 相変わらず二本の真剣を持ったリスタルの攻撃をすべてをよけることは難しい。

 縦の攻撃に対して横に、横の攻撃に対して屈みか、後ろに下がって対応しているのだが、それが一度に二回飛んでくると避ける選択肢が極端に減ってくる。

 あちこち傷だらけで痛い。

 だけどそれだけ攻撃を当てやすいというのならば、僕が使う二刀流にも様々な利点があるはずだ。


「私の二刀流は完璧というわけではないからあまり教えてあげられないのが残念」


 そういうリスタルは少し申し訳なさそうな顔をするが、僕からすれば彼女の動きは山ほど参考にするところがある。

 利き手と逆手の使い方、一度の攻撃でいかに追い詰め、体の力を使い二度目の攻撃につなげるか等々。

 これだけできるリスタルでも二刀流は不完全というのだから、思った以上に二刀流でやっていくのは難しいのだろう。


「でも、ありがとう、リスタル」

「ラルドの力になるのなら」


 そうリスタルは剣を収め、微笑んだ。

 なにが、そんなにうれしそうなのか僕は内心首を傾げた。

 以前から訓練をした後はそんな表情をすることもあったが、最近はよく見る気がする。


「どうしたの?」

「い、いや、なんでもない」


 リスタルが僕の視線に気が付いたのかきれいな瞳をこちらに向けてきていた。

 じっと見ていたのが少し気恥ずかしくなってしまい僕は目をそらした。


「それじゃ次は合成かな」


 ごまかすように僕は石を手に取り、僕は日々の訓練に追加して行うようにした合成魔術の研究を行うことにした。


 ガネットから教えてもらった合成魔術なのだが、様々な宿題を僕に残していった。


 まずは、同じ剣に何度も合成できるのか。

 これは旅立ちの日から毎日合成魔術を用いて検証した結果、可能であった。

 そうとなると、何度も合成する場合、何が起こるのかをいま検証しているところだ。


「これで5回目と」


 手始めにその辺の石を分解して剣に込めていく。

 何度も試しているが特に手ごたえが変わるわけではない。

 初めに付与されたとスキルは【石穿ち】【切れ味強化】【岩石断ち】の3つ、そのあと3回目の時に【鑑定:鉱石】が一つ追加され、その次は変化はなし。

 おそらく同じスキルは付与されたことにはならないだろう。

 実際、僕も、リスタルも、同じスキルが二つ以上入った伝説の剣なんてものは聞いたことがなかった。


「変化は……ん?」


 僕が合成の結果を確認してみると【切れ味強化】が【切れ味強化+】と名前が変化していた。

 僕は試しにスキルを起動させてみる。

 そして僕は手ごろな干し肉を取り出し軽く合成した剣を当ててみた。


 すっと、干し肉は二つに切り分けられた。

 どうやらその名前の通り切れ味がより強力になったのだろう。


「なるほど、同じスキルが付与され続けるとスキルが強力になる場合があるのか、奥が深いなぁ」


 資料がない分、疑問に思ったことは全て試してみないといけない。

 だが、仮定し、実験し、検証するたび新しい発見がある合成術の懐の深さに僕は面白さを感じていた。


「ラルド、そろそろ休まないと、最初の見張りはやっておくから」

「分かった。ありがとうリスタル」

「うん」


 僕は今日のことを手記にまとめ、軽く仮眠をとることにした。


 次の流通都市タイズは様々な物品と情報が行きかう商業都市だ。

 人類未踏域の情報も多少なり手に入るかもしれない。

 もしかすると、ガネットの情報も……。


 その後、三日をかけ僕らは無事流通都市タイズに到着することになる。



大変お待たせして申し訳ありません。

第三章スタートです!

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