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第十九話 本隊襲来

第十九話 本隊襲来


 魔物の大移動における『本隊』の襲来。

 ギルドの記録によると、群れを率いるボスが、取り巻きの魔物たちと大群を成し、町になだれ込んでこようとするらしい。

 また、これがくるということは、長く続いた魔物の大移動も最終段階になったということでもあり、本来ならば最高の盛り上がりと共に片っ端から冒険者たちが魔物を狩まくるのだが、今回は人手が間に合わずそうもいかないようだ。


 『本隊』の襲来に対して、僕たち冒険者のやるべきことは二つ、住民の避難と町の防衛だ。


 特に町の防衛は群れのボスと戦う可能性があり、討伐できれば魔物の群れは統率を失い、町を目指す魔物は激減すると大事な仕事だ。


「リスタル、ガネット、僕たちは防衛に行こう」

「わかっタ。かきいレ時だナ」

「行きましょう」


 ギルド支部内では各パーティがそれぞれどこに向かうか話あっている。

 主に消耗し、戦闘を避けたいグループが住民の避難を、余力のある、もしくは大量討伐の報酬が目当てのグループが町の防衛にあたるようだ。


 僕たちも方針をまとめていると、武器を用意したメジストたちが駆け寄ってきた。


「ラルド! お前たちは防衛か?」

「はい、そうするつもりです」

「なら一緒に行かないか。俺たちも人数が多くないし、集団戦をするなら頭数が多いほうがいいだろう?」

「ぜひ、お願いします」


 僕たちの中で集団戦の経験があるのはリスタルだけだ。

 彼女だけに経験のない僕とガネットの負担を押し付けるのはさすがに大変だろう。

 その点、ベテランの『青紫の水晶』の面々も一緒に来てくれるなら心強い。

 断る理由もないので、僕はありがたくメジストたちと共に本隊の戦いに参加することにした。


「みんな集合! 防衛計画を説明するわよ!」


 イズがよく通る声でギルドにいる町の防衛を希望する冒険者たちに声をかけ、てきぱきとテーブルに地図を用意し始めた。

 僕やメジスト他、防衛チームが彼女のテーブルに集まると、イズは地図に矢印を書き魔物の進行方向を記した。


「例年通りなら群れの進行を受け止めるチーム、群れが足を止めたら側面から攻撃するチームに分かれるけど、今回は魔物の数が約300に対して、こっちが30人、人数が少ないから群れを受け止めるチームを厚くするわ」


 地図に書かれた矢印を防ぐように二本の線が引かれる。


「進行を受け止めるチームを二チームに分けて、崩れる前に交代して持久戦に持ち込む作戦よ。左右には少数の遊撃隊、これは防御を抜けてくる敵を討ち取る係ね」

「念のため聞くがほかの町から冒険者の援護は見込めないのか?」


 メジストが手を上げる。

 確かに魔物の大群が来るのなら、冒険者の頭数が多いに越したことはない。

 メジストの質問にイズは首を横に振った。


「ギルドを通して呼びかけているけど、普通に戦っていたら間に合うかどうか微妙なところよ。だからこの作戦ってわけ」

「なるほどな」


 持久戦で粘り、ほかの町からの冒険者が来るのを待つ。

 確かにこの方法なら長い時間戦線を崩さず戦闘を続けていける。


「もちろん、ボスを見つけたらそいつを討ち取って終わらせてもかまわないわ。ただ、行くのなら戦線を崩さないように交代のチームに声をかけてからいくこと」


 イズの提示した作戦にそれぞれ納得しうなずく。

 その後、イズから手短に、ギルドから報酬を提示された。

 なんと、一匹200Gと素材の高額買取だそうだ。

 それだけ危険な戦いなのだと僕はその額に気を引き締めた。


「―――よし行ってきなさいあんたたち! がっぽり稼いできなさい!!」

「おう!」


 防衛チーム一同、気合の声を上げ、僕たちは防衛戦線へと赴くことにした。


 森と、町の中間地点の防衛線にはすぐについた。

 幸いなことに本隊の発見が早かったからか、まだ少しだけ魔物の群れが到着するまで時間があるようだ。

 程よく拓けた広場に作戦通り総勢30名の冒険者が二チームに分かれる。

 それぞれ武器を構え、臨戦態勢を取っている。


「いいか、敵はなるべく早く倒せ! 特にスキルを使う場合は確実に仕留めろ! 奴らにスキルを覚えられたら面倒だぞ気をつけろ!」

「……分かってる」

「いつものことだろ!」

「もちろんよ」


 僕たちとペアになった『青紫の水晶』の面々は声を掛け合い最後の確認を取っている。

 僕も何か言ったほうがいいのかもしれない。


「みんな、死なないように行こう」

「うム、まかせロ、しっかり守ってやル」

「ラルドこそ、引き際を間違えないように」


 ……なぜだろう、そんなに僕って守られる側の人間に見えるのだろうか。

 ちょっとへこんだが、それはそれで緊張がほぐれた気がする。


「来るぞ!」


 冒険者の誰かが叫ぶ。

 正面に気を向けると、遠くから地鳴りが聞こえてきた。


 少しの間をおいて、奴らは群れをなして森から飛び出してきた。

 まず来たのはウルフ系の魔物たちだ。

 種類はまだら、途中で群れが合流したのだろうか。


「魔術師、撃て!」


 魔物の飛び出しと同時に【魔術師】をロールにしているメンバーが各自の魔術を放ち足止めを行う。

 着弾と轟音、飛び出してきたウルフたちの数体は魔術で力尽き、そのほかの魔物も足が止まる。

 群れの攻勢が弱まったことを確認した僕らはすかさず突撃した。

 それぞれの剣や槍が足を止めた魔物を仕留めていく。

 僕も剣を振るい、こちらを狙うウルフに致命傷を与えた。


 周りを見れば、どうやら初戦の敵はうまく排除できたようだ。

 だが、防衛線は始まったばかり、まだまだこれからだ。


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