第2話 ペパーミント
第2話 ペパーミント
「何だね君は。突然テーブルの上なんかに落ちてきて。」
「え?」
「何だね君は。」
「えっと・・・・・・。」
「何だね君は。」
「あの、だから・・・・・・。」
「なん」
「もうやめてあげたら。」
急に目の前に、2本足で立つ犬が現れ、私に質問攻めをした。
それをさえぎるように言葉を発したのは、同じく2本足のウサギ、だった。
赤い目を輝かせ、犬の前へとでる。
「君は誰?何故ここにいる?・・・・あ、とりあえずテーブルからおりて。」
「あ、ハイ。ごめ・・・スイマセン。」
丸太でつくられたテーブルからおりる。よく見ると、テーブルの上には、たくさんの”虫”―――つまりは”ごちそう”が並べてある上、そのテーブルのまわりを色んな種類の動物達・・・それも2本足で立っているものばかりがかこっていた。
「もう一度聞くけど、君は誰?何故ここにいる?」
さっきのウサギが、大きな目で私を見つめながら言った。ちらりと清潔な歯が4本、口の間からのぞく。
他の動物達も私の答えを待っているようで、すごく見ている。
私は少し緊張しながら一度軽く深呼吸をして、口をひらいた。
「わ、私はマリ・ティーネ。13歳の・・・人間よ。な、なぜか落ちて、それで、ここに。・・・・・・私も、どうなってるか、分か・・・分かんない。」
私がしどろもどろに言うと黒い影が動き、それは私の前へでると、にやりと笑んだ。
「ふぅん、そうなの。」
以外にも甘い声だった。
その甘い声の持ち主は大きく羽根を広げ、もう一度にやりと笑んだのだ。
「私・・・カラスよ。見ての通り。ねっ?・・・じゃあえっと、テリーヌちゃん?落ちてきてしまったものはしょうがないし、えーと・・・何かつまみながら私のグチでも聞いてくれるかしら?」
「・・・・・・え?愚痴?」
「そうよ。ね、ウサギさん!テリーヌちゃん借りてもいいわよね!」
「あ、ああ・・・ま、マドレーヌさんがそう言う・・・なら。」
ウサギが耳を大きく震わせながら、苦笑した。
それから皆にむきなおり、”さあ、騒ごう!”と一声かけてから、チラリとこっちに目をやった。
そして、皆が飲み、食べ始めると、背を向け、やはりまた耳を大きく震わせた。
「ウサギさん!今はマドレーヌじゃなくってよ。今は、ペパーミント、だから!」
一度背を向けていたウサギだったが、もう一度こっちを見て苦笑いをした。
私の隣にいたカラスのペパーミントは満足そうに目を細めた。