表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第1話 落ちる

著作権の侵害はしないでください。

あと、少々の誤字・脱字はあるかもしれません。そこは、穏便にご指摘願います。

なるべく多くの方のアドバイスをお待ちしております。

第1話 落ちる


「テリーヌ!マリ・テリーヌ!」

お母さんの声が遠くできこえた。……私――マリ・テリーヌ、13歳。

今はお母さんから隠れているの。”1人隠れ”っていって、お母さんを困らせるため、私はどこかへ隠れるのよ。

何故って?そりゃ、お母さんが私を見つけようとするから、”かくれんぼ”になって、私、それが楽しいわけ。

それにお母さんだって、私を見つけないではいられないの。

だってね、もう少しで夕食の時間だから。

”食事の時間は皆で食べよう”がうちのルール。だからお母さんは、絶対絶対私を見つけなくてはいけないのよ。

「テリーヌ!……もう、またどこかに隠れてるのね。全く、あの子もなんでこんな事が好きなのか…。こら、テリーヌ!出てらっしゃい!」

「おーい、テリーヌはまだ見つからないのか?」

「あら、パパ。ええまだなのよ。あともう少し…待っておいてね。」

「なるべくはやくしろよ。」

「ええ、それは勿論。」

私、クローゼットの中でくすくす笑った。お父さんの言葉から表情が見えたみたいで面白かったから。

私が笑うと、お母さんの足音がきこえ、クローゼットの前でぴたりととまった。

「テリーヌ……いるわよね?はやく出てらっしゃい。」

「………。」

「テリーヌッ!」

ガシャーンと音がなり、クローゼットが大きくひらいた。

その瞬間、私は…落ちた。悲鳴をあげる間もなく、まっさかさまに落ちたのだ。一瞬のことで私は言葉を失い、なびく髪を見ながらクローゼットの扉が視界にはいった。

遠くで、お母さんの声がする。

「あら、……いない?どこに隠れたのかしら。」

ぼんやりと顔が見え、消えた。それから空白の時間が流れ、気がつくと私は直立不動の姿勢でテーブルの上に立っていた。


第2話 ペパーミント



「何だね君は。突然テーブルの上なんかに落ちてきて。」

「え?」

「何だね君は。」

「えっと・・・・・・。」

「何だね君は。」

「あの、だから・・・・・・。」

「なん」

「もうやめてあげたら。」

急に目の前に、2本足で立つ犬が現れ、私に質問攻めをした。

それをさえぎるように言葉を発したのは、同じく2本足のウサギ、だった。

赤い目を輝かせ、犬の前へとでる。

「君は誰?何故ここにいる?・・・・あ、とりあえずテーブルからおりて。」

「あ、ハイ。ごめ・・・スイマセン。」

丸太でつくられたテーブルからおりる。よく見ると、テーブルの上には、たくさんの”虫”―――つまりは”ごちそう”が並べてある上、そのテーブルのまわりを色んな種類の動物達・・・それも2本足で立っているものばかりがかこっていた。

「もう一度聞くけど、君は誰?何故ここにいる?」

さっきのウサギが、大きな目で私を見つめながら言った。ちらりと清潔な歯が4本、口の間からのぞく。

他の動物達も私の答えを待っているようで、すごく見ている。

私は少し緊張しながら一度軽く深呼吸をして、口をひらいた。

「わ、私はマリ・テリーネ。13歳の・・・人間よ。な、なぜか落ちて、それで、ここに。・・・・・・私も、どうなってるか、分か・・・分かんない。」

私がしどろもどろに言うと黒い影が動き、それは私の前へでると、にやりと笑んだ。

「ふぅん、そうなの。」

以外にも甘い声だった。

その甘い声の持ち主は大きく羽根を広げ、もう一度にやりと笑んだのだ。

「私・・・カラスよ。見ての通り。ねっ?・・・じゃあえっと、テリーヌちゃん?落ちてきてしまったものはしょうがないし、えーと・・・何かつまみながら私のグチでも聞いてくれるかしら?」

「・・・・・・え?愚痴?」

「そうよ。ね、ウサギさん!テリーヌちゃん借りてもいいわよね!」

「あ、ああ・・・ま、マドレーヌさんがそう言う・・・なら。」

ウサギが耳を大きく震わせながら、苦笑した。

それから皆にむきなおり、”さあ、騒ごう!”と一声かけてから、チラリとこっちに目をやった。

そして、皆が飲み、食べ始めると、背を向け、やはりまた耳を大きく震わせた。

「ウサギさん!今はマドレーヌじゃなくってよ。今は、ペパーミント、だから!」

一度背を向けていたウサギだったが、もう一度こっちを見て苦笑いをした。

私の隣にいたカラスのペパーミントは満足そうに目を細めた。


第3話 ウサギ


「え、もう一度、言って?」

「だからね、テリーヌちゃん。彼、イイと思わない?」

「・・・・・・彼って、あの・・・カバ・・・・・・?」

「当ったり前よーぉ。超イケてるわよねっ。」

「・・・・はあ。」

私、いつまでこのペパーミントの”ノロケ”を聞かなくちゃいけないの?さっきはカラスの王君・・・だっけ。彼氏の王君の”ノロケ”をし、次は目移りして、汚い食い方をしているカバ・・・。王君もそうだったけど、このカバはもっとそう。

とにかく、キモイの。世間的にいう”ブサイク。”

時々つけるポーズにナルシスト感が漂っててね・・・・。

それから動物独特の匂いがして、すごく臭いんだ。

「何よお。テリーヌちゃん、全然楽しくなさそうねえ。」

だって、ここって汚い上に臭いんですもの。

「あ、何か食べ物とってこようか。」

「結構です。」

「まあまあそう言わず、ちょっと行ってきます。」

「あっ・・・。」

とめる間もなく、ペパーミントはさっそうと波にもまれていった。

あの虫を食べろというのか。あの虫を・・・。

その時、目の端のあのウサギがうつった。・・・笑ってる。

カバと話して、笑ってるし。何話してんのかな。気になる。

うーん、でも、あのカバとならぶと、さすがウサギも美男ってかんじがする。多分ここの中では一番かっこいいんじゃないかあ。ペパーミントも、カバはやめてウサギにすればいいのに。

もんもんと考えていると、ウサギと目が合った。慌ててそらす。

でも、ウサギの歩く音がした。毛のパサパサ、フワフワ、音がまじり、それが床をうちならす。

来てる。せまって、来てる。

そして・・・・・・。

「テリーヌ!マリ・テリーヌちゃん!」

肩に手をおかれた。体は少し動き、心ははねた。

「あのテリーヌちゃんだったかァ。大きくなったなあ。僕のこと、覚えてる?覚えてないよねえ、そりゃそうか。」

「え・・・?あの・・・何・・・?」

「ン?んー・・・。いや、特に、別に何もないんだけど・・・。あ、そういえば落ちたんだったね。うーん、どうしようか。」

「ま、まあおかげ様で・・・?」

「ウン。」

ウサギはにこにこ笑いながら私の肩を繰り返したたいた。

それから、ヒゲを震わせる。

「テリーヌちゃん、家に帰りたいよね?」

「ええ!勿論!だってここは臭くて・・・あ、ごめんなさい。」

「いいよ別に。じゃあ、”もじ”を書いてもらわないとね。」

「文字?」

私、首を少しひねる。ウサギは懐から、1冊の黄色がかったノートをとりだした。

「これにね、この次どうなるか書いて。自分はどうなってほしいか・・・。」

「どうやって書いてもいいの?」

「うん。好きなように、ね。」

「えーと、じゃあ・・・・・・。」

ウサギからノートとペンを受け取ると、さらさらと書き始めた。

”マリ・ティーネはここから出られる。”

滑らかな文字を書き、ウサギに渡す。

「これで良い?」

声を大きくして、言う。ウサギはノートとにらめっこしてから顔を上げ、笑んだ。

「ごめんね。僕、”もじ”読めない。」

「・・・よめないのぉ?」

「ウン。だから、読んで。」

「・・・最初からそう言えばいいのに・・・。」

私、ウサギを見上げる。ウサギは、赤い目をちらちらと毛の間からのぞかせながら私を見ていた。小刻みに耳とヒゲが震えている。

私はため息を1つつき、言葉にした。

「・・・・あのね、”マリ・ティーネはここから出られる”って書いたの。だから、これで良い?って・・・・。」

「ああ、何だ、そう書いたの。それじゃダメ。時刻・・・っていうか、何分くらいで出られるとか、書かなきゃ。そんなんじゃ、”死んでから出る”っていうのも有り得るでしょう。」

「ふうん。」

もう一度ペンをもち、書き足す。そして、ウサギにノートを見せながら

「”マリ・ティーネは10分後にここから出られる。”」

と言った。

「・・・なんで10分後?今からでも・・・。」

「すっごく忘れてたけど、ペパーミントが食べ物をとりにいってくれてたの。だから、1つでも受け取っとかなきゃ悪いと思って。」

「そう・・・それは、まあ頑張って。うん。あ、1つ言っとく。そのノート通り、テリーヌちゃんは出られると思う、よ。」

「ありがとう。」

私が微笑むと、ウサギは右回り・・・去っていった。

すると、肩に重い衝撃。

「お待たせーっ。じゃんっ美味しいモノいっぱいとっちゃった。」

「・・・ありがと・・う・・・?」

ペパーミントが出した皿の上には、セミ・ムカデ・クモ・アリなんかがのっていた。

実際目の当たりにすると気持ち悪くて食べれない・・・。

「私・・・いいよ、1人で食べて。」

「なんだよう、そっけないなあ。・・・あれ?テリーヌちゃん、体が・・・。」

「・・・え?あ、消えてる。」

あれ?もう10分?なんて私が思っていると、ペパーミントは私の手をゆっくり包みこみ、一言言った。

「行く・・・アナタへ幸運を・・・・。」

「えっちょっ。」

私の声はとぎれ、空白の世界に空しく響いた。体は光に包まれ、収縮されたような感覚がして・・・。


最終話 絵本


気がつくと、私はクローゼットの中にいた。

「テリーヌッ!」

大きくクローゼットがひらき、お母さんが前に立ちはだかった。

「夕食の時間ですっ。はやく出てらっしゃい!ホラッ!」

私に手をさしだし、無理にだそうとする。

その時、足の太ももあたりに硬いものがあたった。

「・・・これって、”落ちた私、いたウサギ”・・・だわ。」

「え?何、テリーヌ。見つけたの?」

手に取った、ソレは古ぼけた、小さいころ愛読していた絵本だった。

その本は、ある少女が落ちた先は動物がたくさんいて、その中でも特にウサギが気になるんだ。そしてそのウサギがある日、1冊のノートを少女に渡して。帰るか、帰らないか。

聞かれるんだけど、少女は結局帰ってしまうの。

少女は、ウサギの事はすっかり忘れて遊びまわるんだけど、ウサギはその少女の事が忘れられなくて。

・・・そういう、理不尽な話。

このウサギが可哀そうで可哀そうで、何度も読んでは胸を痛くしたっけな。

絵本にしては暗い話だったけど、この話が一番好きだった・・・。

「・・・テリーヌ?もう良い?夕食なんだけど。」

「うん、もう、いい。」

立ち上がる。

ほんの数時間ほどの、あっちの世界。私が、あの”少女”。

だったら、私が話を変えてしまうこともできるんじゃないの?できるんじゃ・・・。

私は唇を噛み、大きく目を開いた。


あっちの世界・・・今度、いつ行こうかしら?・・・また、ウサギにあえるかな・・・。

短編を一度かいてみようか、と思い、大変でしたが書きました。ウサギは好きな動物なのでだしました。いつか、もっとドラマな小説にならないかなあ。

読んでくれた方は有難うございました。よければこれから、アドバイスでも書いてください^^*

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ