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6話「家に帰ると……」三人称・ざまぁ回


家に帰ったレイモンドは、公爵が家具や調度品を査定に出しているところに遭遇。


イエーガー公爵はレイモンドを目にすると、問答無用で杖で殴りつけた。

 

「止めてください!」と叫ぶレイモンドをイエーガー公爵は何度も殴りつけた。


「公爵家の面汚し! 恥晒し!! 貴様のせいで公爵家は終わりだ! フィルタ侯爵家と侯爵夫人の実家のシュティーア公爵家との縁を切られた! この国でこの二家と縁を切られたら商売など成り立たん!!」


怒りが収まらないイエーガー公爵はメイドに生ゴミを持ってこさせそれをレイモンドの頭の上から掛けた。


「フィルタ侯爵家に借りた金を全額耳を揃えて返せと言われた! その上多額の慰謝料を請求された! わしとお前を見捨て妻は離婚届を置いて出て行った!」


「まさか、母上が……!」


母親に見捨てられたと知り、レイモンドはショックを受けた。


「貴様が昨日わしの言いつけを守り学園が終わったあと真っ直ぐ家に帰って来ていればフィルタ侯爵夫人と女王陛下をあんなに怒らせずに済んだのだ!


相手は女三人! いくらでも言い包められた! ほとぼりが冷めた頃フィルタ侯爵に泣きつけば借金の返済期間を猶予してもらえた! 上手く行けば再びアリシアをお前の婚約者に出来たかもしれないのに!」


フィルタ侯爵がいくら人が良くても娘を傷つけたレイモンドと、フィルタ侯爵家を虚仮にしたイエーガー公爵家と縁を結ぶことはない。


レイモンドがアリシアにしたことは卑劣極まりなく、とても許せるものではなかった。


それを泣き落としすればなんとかなると考えているイエーガー公爵も、息子に負けず劣らず考えが甘い。


「なのに貴様は浮気相手と宿屋に泊まり遊んでいた!」


イエーガー公爵はレイモンドの顔を殴りつけた。


「お……俺は悪くありません! 婚約破棄の話し合いがあると知っていたら俺だって帰って来ました! 父上がはっきり言わないから……!」


「やかましい!」


反省の色のないレイモンドをイエーガー公爵は再び杖で打ちすえた。


レイモンドはフィルタ侯爵家を格下の家と見下していた。そこの娘を嫁に貰ってやるとふんぞり返っていた。婚約破棄について話し合いが行われると知っていても帰って来なかっただろう。


イエーガー公爵はレイモンドの首に縄を付けて引きずってでも家に連れ帰るべきだったのだ。


イエーガー公爵もレイモンドが不貞を働いているのを知りながら、レイモンドの行いを咎めなかった。


フィルタ侯爵家から子供たちの婚約について話し合いがしたい、場合によっては婚約を破棄すると言われても、イエーガー公爵はさして気に留めていなかった。


レイモンドが不貞を働いた証拠はない、知らぬ存ぜぬで通して逃げ切れる。万が一証拠を出されたらフィルタ侯爵に土下座すればいい、情にもろいフィルタ侯爵に泣き付けばフィルタは許してくれる。アリシアとレイモンドの婚約関係は維持されると甘く考えていた。


婚約破棄に伴い多額の慰謝料を請求されたのは、二人の浅薄(せんぱく)な考えが招いたことだ。


「借金と慰謝料を支払うためには、屋敷と領地の大部分を売るしかない」


事業に失敗し多額の借金を作っていたところへ、フィルタ侯爵家とシュティーア公爵家から取引を打ち切られ、借金の一括返済を求められた。


その上息子の不貞行為とパワハラと器物損壊の慰謝料を請求され、イエーガー公爵は頭を抱えた。


公爵家には屋敷と家財道具と領地を売り払い、金を作る以外道は残されていなかった。


「わしは残った金で田舎に家を買い静かに暮らす」


「では俺も準備を……」


「馬鹿か貴様は! 貴様のような疫病神はいらん!!」


イエーガー公爵はレイモンドを蹴り飛ばした。


「貴様は隣国のスコルピオーン王国で鉱夫となり死ぬまで働け! 稼いだ金はフィルタ侯爵家へ支払った慰謝料としてわしがいただく!」


「そんな……!」


「いいか忘れるな! 婚約破棄の慰謝料はあくまでもわしが立て替えたにすぎん、炭鉱で働いてわしに返すのだ!」


「あんまりです父上!」


父の言葉にレイモンドは絶望した。


「お前たちこいつを連れていけ」


「「「はいよ、旦那」」」


レイモンドの周りを柄の悪い連中が取り囲む。


「なんだお前らは! 離せ! 俺をどこに連れて行く気だ!」


レイモンドは柄の悪い男に拘束され、猿轡(さるぐつわ)をされ、乱暴に馬車に乗せられた。

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