表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/31

27話「ルシャード様との婚約」


「これで全ての手続きは終了ね」


女王陛下が書類の束を整えながら満面の笑顔を浮かべる。


ガゼボから移動した私達は、婚約の手続きのため会議室に来ていた。


女王陛下、ルシャード様、私、王配のギャロン殿下と父も一緒だ。


ギャロン殿下は四年前に見たときよりより老けられたようだ。目の下に濃いくまがあり、顔はげっそりとやせ細っている。


ギャロン殿下の髪が二年前に見たときより、薄くなったような気がするのは気のせいでしょうか?


父はこの一週間で数キロほど痩せていた。私に内緒でレイモンドとの婚約を結んだことを、親族から責められまくったのが堪えたらしい。


「こうやってきちんと書類にしておけば安心ですね。それとなく伝えただけでは、殿方にはご理解いただけないようですから」


女王陛下がギャロン殿下と父を睨めつける。


二人は女王陛下から視線を逸らし、顔を青くし小刻みに震えていた。


「母上、スコルピオーン王国のことをここにいる皆に話してもかまいませんか?」


「そうね、ザックス男爵家、トーマ男爵家、コッホ男爵家、ヴァイル準男爵家の問題も片付いたし、公表してもいいでしょう」


ロビサ様はザックス男爵家の当主に勘当され、トーマ男爵夫人、コッホ男爵夫人、ヴァイル準男爵夫人は離婚された。全員仲良く娼館に売られたらしい。


ザックス男爵家とトーマ男爵家とコッホ男爵家とヴァイル準男爵家は銀行にかなりの額の借金があったらしい。王族から不興を買い、フィルタ侯爵家、シュティーア公爵、クレープス公爵から縁を切られたことが銀行に知られ、銀行からの融資を打ち切られ、借金の返済を迫られた。


四家は知り合いや親戚の家を周り融資を頼んだが、王族、フィルタ侯爵家、シュティーア公爵、クレープス公爵の報復を恐れ、誰も援助しなかった。


借金で首が回らなくなりボロボロになった四家の人間は「お前のせいだ! お前が嫁をちゃんと教育しなかったから!」「あの女を嫁にしろと言ったのは父上です!」家族で罵り合い、責任をなすりつけ合った。


 為す術のなくなった四家の当主は屋敷と家財道具と領地を売り払って借金を返済、爵位を返上し、スコルピオーン王国へ夜逃げ同然で移住しました。

 自らの手で爵位を返上させる……女王陛下の目論見通りに事は進んでいました。

「スコルピオーン王国は魔石が採取される事で有名だ! 魔石の採掘場には一攫千金を夢見て大勢の人間が集まっている! 採掘した魔石は二割自分のものになるらしい! スコルピオーン王国の魔石の埋蔵量は底なしらしい! 我々も大きな鉱脈を掘り当てて大金持ちになるぞ!」

 彼らはそう息巻いて、スコルピオーン王国を目指して旅立ったようです。

 スコルピオーン王国は、確かに四十年前に魔石が取れるようになった事で有名な国です。

 彼の国には一攫千金を夢見て、大勢の人達が訪れました。

 しかし、悪銭身につかずの言葉の通り、楽して手に入れたお金は、無駄なことに使ってしまうようで……。

 運良く鉱脈を掘り当て、大金を手にしても、それを数年で遣ってしまい……前より貧しくなった人もいるようです。

 それに、魔石の埋蔵量が無限……なんてことはあるのでしょうか?

 どんなものにも限りはある気がします。

 彼らが鉱脈を掘り当てるまで、魔石が残っているといいのですが……。

 


読んで下さりありがとうございます!

【☆☆☆☆☆】を押して応援して頂けると嬉しいです! 執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ