25話「ルシャード様とのダンス」
最後にルシャード様とダンスしました。ルシャード様とダンスするのは三年ぶりです。
「やっと君と踊れた」
ルシャード様はキラキラと星のような光を纏っていらした。ルシャード様のはにかんだ笑顔がキュートで胸がドキドキと音を立てる。
「君の父上と伯父(叔父)上たちの視線が痛いな」
父とコアト伯父様とベン叔父様がものすごい形相でこちらを睨んでいる。
「レイモンド様のことがあったので、ピリピリしているのです」
「レイモンド・イエーガー元公爵令息!
僕をあんな浮気者と一緒にしないでほしい!」
彼はむっとしていました。
「私がレイモンド様に蔑ろにされたので、お父様や叔父様は私に近づく男性に、過敏に反応しているのです」
「そうだったのか……!
レイモンド・イエーガー元公爵令息を殴ってやりたい気分だ!」
ルシャード様が美しいお顔を怒りで歪ませる。
「止めて下さい、ルシャード様の手が汚れます」
イエーガー公爵は夜逃げ同然に王都を去り、レイモンド様は鉱山送り、ロビサ様は平民落ち。
ルシャード様の美しい手をレイモンド様の血で染めることはありません。
「レイモンドのそんな策略にも気づかなかったなんて、僕は愚か者だ。恋とは恐ろしいね、妬みで視界に靄がかかり何も見えなくなってしまうのだから」
先程からルシャード様は身を引くとか、恋とか何の事をおっしゃっているのでしょう?
「来週王宮でお茶会を開く、母上と僕だけが参加する小さなお茶会だ。君に聞かせたい話がある。是非参加してほしい」
もしかしてスコルピオーン王国について何か分かったのかしら?
あそこの情勢については以前から気になっていたのです。
毒水すら浄化出来る魔石が取れることでスコルピオーン王国は潤ってきました。その魔石の採掘量に変化が?
「お招きいただき感謝します。必ず参加いたします」
「よかった」
ルシャード様はサファイアの目を細め花が綻ぶように笑った。
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