俺の妹の彼氏にはいつも美少女がついてくる~その美少女の正体は妹?~
俺には可愛い妹がいる。
可愛い妹も年頃になり、俺の大切な妹に彼氏ができた。
今日は妹が彼氏を連れて来ると言っていた。
俺は学校から早く帰り、妹の帰りを待った。
「ただいま」
「おかえり」
俺は妹を玄関で迎えた。
妹の後ろから男が顔を出した。
まあ、顔はイケメンだから許す。
俺は妹の彼氏をじろじろと見た。
「お兄ちゃん。彼を見るのやめてよ」
「見てない」
「もう、見てるでしょう?」
「見てない」
俺はそう言って彼氏をじろじろと見る。
「お兄ちゃんをそんなに見ないで」
妹の彼氏の後ろから声がした。
「私のお兄ちゃんなんだからね」
そう言って美少女が姿を現した。
可愛い。
俺の妹には負けるが。
「君は?」
「あっお兄さん。俺の妹です」
妹の彼氏は俺にそう言った。
「君にお兄さんって言われたくないんだけど」
「お兄ちゃん。変なこと言わないでよ」
俺の言葉に妹が言う。
何で妹?
普通、妹を連れて来るか?
一人で来るのが怖かったのか?
この男は小心者だな。
「お兄ちゃんが心配だから私がついてきたの。お兄ちゃんがついてきてなんて言ってないからね」
彼女は俺の思っていることが分かるのか?
「お兄ちゃん。私達は部屋に行くから彼の妹ちゃんをよろしくね」
そして妹は部屋へ向かった。
俺が妹の彼氏の妹の世話をするのか?
「私を子供扱いしないでよ。私はずっとお兄ちゃんのお世話をしてきたんだからね」
また彼女は俺の思っていることが分かるかのように言った。
「あっそ。それなら帰っていいよ」
「えっ」
「お兄さんのお世話は俺の妹がするから大丈夫だよ」
「何でそんなこと言うの?」
彼女は泣き出した。
「えっ、あっ、ごめん」
「私のお兄ちゃんは私がいないとダメなのよ。自分じゃ何も決められないのに。最近は私に頼らなくなったの」
「そっか。寂しかったんだね。ヨシヨシ」
俺は泣いている彼女の頭を撫でた。
「俺も君と同じだから分かるよ」
「本当に?」
「うん」
「それならあの二人を別れさせようよ」
「それはダメだと思う」
「どうして?」
「妹の最近の顔を見てて俺は気付いたんだよ」
「何に気付いたの?」
「妹は俺には見せない嬉しそうな顔をするんだ。彼氏と電話をしている時、電話が終わっても一時は笑顔だし、彼氏の話をする時の顔はすごく幸せそうなんだ」
「それは私のお兄ちゃんもそうだけど私は負けないもん」
「君は妹で彼の恋人になることはないんだよ」
「嫌よ。私にはお兄ちゃんが必要なの」
「それなら俺が君のお兄ちゃんになろうか?」
「えっ」
「君はお兄ちゃんという存在が欲しいんだよね?」
「いいの?」
「いいよ。妹が相手してくれなくなったから妹は大歓迎だよ」
「それなら、お兄ちゃん。大好き」
彼女はそう言って俺に抱き付いた。
「抱き付くのはいつもすることなのか?」
「うん。そしてお兄ちゃんは優しいから私の頭を撫でてくれるの」
「分かったよ」
俺は彼女の頭を撫でた。
彼女は嬉しそうに笑った。
それから彼女は妹の彼氏が家に来る度に俺に会いに来た。
「お兄ちゃん。今日のテストで百点とったの」
「そうなんだ。すごいね。ヨシヨシ」
俺は彼女の頭を撫でる。
「ねえお兄ちゃん」
「ん?」
「私はお兄ちゃんの可愛い妹?」
「そうだよ。可愛い妹だよ」
「嬉しい」
彼女は嬉しそうに笑った。
あれ?
この表情はどこかで見たような……。
まっ、いっか。
そんなある日。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「最近、私のお兄ちゃんが変なの」
「変?」
「最近は彼女に会った後に顔を赤くしてるの」
「顔が赤いの?」
「うん」
「それは君にはまだ早い話だけど何も心配はいらないよ」
「でも、顔が赤いのは風邪とかじゃないの?」
「病気じゃないから大丈夫だよ」
「それなら何なの?」
「だから、君にはまだ早いよ」
「また私を子供扱いしないでよ」
「君は俺からしたら子供だよ」
「どうして?」
「君が君のお兄さんの気持ちを分からないからだよ」
「お兄ちゃんは分かるの?」
「俺は分かるよ」
「それなら教えてよ」
「だから君には……」
「でもお兄ちゃんが教えてくれないとお兄ちゃんが本当に分かっているのか確かめられないでしょう?」
彼女は俺の言葉を遮って言った。
「君はズルいね」
「早く」
「分かったよ」
そして俺は彼女の顔に顔を近づけた。
キスができそうな距離だ。
「なっ、何?」
彼女は顔を真っ赤にした。
「君は君のお兄さんと同じように顔を赤くしてるよ」
「えっ」
「これで分かった?」
「分かんない」
「分かるでしょう?」
「分かんない。どうして私のお兄ちゃんと同じように顔が赤くなるの?」
「えっ」
「だって、あなたは私のお兄ちゃんでしょう?」
「そうだよ」
「私は私のお兄ちゃんに対して顔を赤くしたことないよ。それなのにあなたには赤くなったよ。何でなの?」
「俺に聞かれても。俺だって君の気持ちは分からないよ」
「それならもう一度してよ」
「えっ」
「分からないからもう一度してよ」
「君は本当にワガママな妹だよ」
俺はそう言って彼女の顔に顔を近づける。
そして彼女と見つめ合う。
彼女は顔を赤くしている。
俺も顔が赤くなりそうだ。
「お兄ちゃん」
彼女が俺をそう呼んだのに、彼女の顔は妹の顔なんかじゃない。
いつか見たあの嬉しそうに笑う顔も、妹の顔じゃなかったんだ。
あの顔は俺の妹が彼氏の話をしている時の顔と同じだ。
彼女は俺に恋をしているんだ。
そして俺も彼女に恋をしている。
「もう、お兄ちゃんじゃないよ」
「どうして?」
「もう、君のお兄ちゃんにはなれないよ」
「でも、なってくれるって言ったでしょう?」
「そうだよ。でも今はもう無理だよ」
「どうして? 寂しいよ」
「俺は君のお兄ちゃんじゃなくて恋人として君の隣にいたいんだ」
「えっ」
「君も同じ気持ちでしょう?」
「分かんないよ」
「君は今も赤い顔をしてるよ? 本当は分かってるでしょう?」
「分かんないよ。だからあなたが私に教えてよ」
「えっ」
「恋人と何をするの? 恋人と何を話すの? 恋人と一緒にいてどんな気持ちになるの?」
「既に分かってるくせに」
「分かんない」
「仕方ないね。一から一つずつ教えてあげるよ。まずは恋人とすることはこれ」
俺はそう言って彼女にキスをした。
彼女は顔を赤くした。
彼女はちゃんと分かっているんだ。
彼女は子供なんかじゃないんだ。
彼女は妹なんかじゃないんだ。
彼女は俺の恋人なんだ。
読んで頂きありがとうございます。
楽しんで読んで頂けたら幸いです。
明日の作品の予告です。
明日は幼馴染みの彼女を絶対好きにならないし、彼女も好きにはならないと思っている彼のお話です。
何故、彼はそう思っているのかそれは明日の作品を読んで頂くと分かります。
気になった方は明日の朝六時ごろ読みに来て下さい。