少年兵の目覚め①
目を覚ますと見たこともない真っ白い蛍光灯が見えた。
少しずつ意識がはっきりしてくる。指を動かしてみるとちゃんと感覚があって動いてる。足の指も動かせる。
腕を上げてみると管が刺さってるのが見えるのと一緒に水の入った透明な瓶が見えた。瓶が見えた瞬間、猛烈な喉の渇きを感じて瓶に手を伸ばした。
するとすぐ横から男の声がした。
あたしの顔を覗きこみ、笑いながら話しかけてくるが何を言っているのか分からない。聞いたこともない言葉だった。
水を飲もうとするあたしを寝かせて瓶の横から細く伸びる注ぎ口をあたしの口の中に差し込んだ。
差し込まれた注ぎ口は柔らかく先から水が口の中に流れ込んでくる。
夢中で水を飲んでいるとあっという間に飲み干してしまった。
すると男は部屋の隅に置かれた機械を操作して今あたしが飲み干した瓶に水を注いだ。
機械の上には一抱えほどもある大きな瓶が載っていて中は水で満たされている。水を注ぐ間、時々空気の泡が音を立てて上っていく。
瓶に水がいっぱいになるとまたあたしの側にやってきて飲み口を口に入れてくれた。
あたしが水を飲んでいる間ずっと話しかけてくるがやはり何を言っているか分からない。
2杯目は少し残してしまったが男はまた水を注いでいっぱいにして私の枕元に置いた。
そして男は電話を手に取ると3つほど入力して話を始めた。笑いながらあたしを見て話している。
男が電話をしてから数分ほどすると外から足音が聞こえてくる。走っているらしく慌ただしい。
ドアが開き、また別の男がやってきた。
部屋に飛び込んでくるなり大きな声であたしに何か話しかけるが言葉が分からない。だが男の姿を見てあたしはいろいろな記憶が蘇ってきた。
男は水色のベレー帽に腕章、国連軍だった。それに顔にも見覚えがある。
あの日、あの小屋に踏み込んできた男だ。胸に付けられた国籍マークは白地に赤い丸、間違いない。
あたしは国連軍に捕えられ、あの双子との約束は果たせていないことも思い出した。