I need time and colordinate
引き続き3話目を見にきていただき感謝する。諸君が楽しむ事を僕は望む。
結局、我が生徒達は王の頼みを受けることにしたようだ。
勿論、最初も彼らの受けるつもりはなかったようだが、魔王によって引き起こされた惨状を聞かされると、生来の性のせいか渋りながらも頼みを受けてしまった。
本来、学生が戦争に参加する、つまり相手種族を殺すことになることは先生が止めなければならない。生徒を教え導くのが、教師というものだろう。
だが、彼女はそうしなかった。なぜか?その理由は考えたくはないが、恐らく異世界という非日常に自分が身を置いたこと、そして、勇者として自分の憧れた存在になった興奮が彼女から正常な判断力を奪ったのだろう。
知性を持った生命体、おそらく人型であろう敵種族を殺す覚悟。それをたかが十数年生きただけのガキに求めるのは酷な話だ。
平和主義を抱えた世界でのうのうと楽をして生きてきた彼ら。紛争のない日本という比較的安全な国で生まれた幸運な子供たちだ。
だからこそ、止めるべきであったのだろう。こちら側の世界に足を踏み入れていい人達ではないのだ。
「では皆様。この水晶で貴方達の適性を計りたいと思います」
この部屋に私達を案内した王国お抱えの女魔法使いの話によると、部屋の中心に鎮座されている水晶に手を掲げる事によって、適性……つまり使える魔法が分かるという。
使える魔法の種類は多岐にわたるらしいが、オーソドックスなものとしては、「火」「水」「風」といったものらしい。
転移系とか幻術系、他にも沢山あるらしいが、中には特定の種族にしか滅多に出ない物もある、とのことだ。
私が知っている魔法は、呪文を用いて守護霊を杖から出したり、死の呪文を使ったりと、呪文とそれを扱う技術があれば才能があれば誰でも使うことが出来るというものだった。勿論創作の中での話である。
「では誰からいきますか?」
彼女が問う。
ゆっくりと手をあげたのは彼女だった。教師として、生徒たちに未知なものを体験させるわけにはいかない、そう思っている……といいが。
恐らく自分の能力を真っ先に知りたいのだろう。
私の能力は、きっとアレなのだろう。まだ不完全な私の罪の証。常について回るアイツの幻影は私が断ち切らねばならない。そのための力なのだから。
そんな思いを抱きながら、私は順番が来るのを待った。
次々と生徒たちの適正が判明していく。
適性の判断材料は、水晶の上に手をのせた時に現れる光だ。個人個人によってシンボルが変わり、それによって適性が分かる、というような仕組みになっている。
例えると、炎の場合だと火の適正、雫の場合だと水、旋風だと風というような具合だ。
まぁ、焦ることはない。私は教師、生徒の事を優先にして考えなければならない……今だけは。
*
結論から言うと私の適性は分からなかった。
シンボルは現れたが、何を示しているのかがわからなかったのだ。
だが、しかし私には分かる。
彼からのお墨付きをもらった程の、彼でさえ受け止めきれない欲を有しているこの私ならば。
我が目的は達成される。
求める力はあと少しで手に入る、が、それはあくまでそれは必要な要素に過ぎない。
まだ足りない。必要なのは時と場所、それだけ。
長年の願いが成就する時は近い。
完全に力が馴染むまでには少しだけ時間がかかる。
その間に、あのガキどもに目的を知られるわけにはいかない。
教師としての役割はもう少しで終わる。
私は教師ではなく唯一つの、悪として進み続ける。
必ずその先に、私の望むものは待っているのだから。
この世界は全て運命によって支配されている。
これは私の持論である。全ての物が、行き着くものは決まっている。ただ一つの行動でさえ、全て初めから決められた運命によって支配されている。
私でも、これに逆らうことはできなかった。
もう一度言おう。
私は力を手に入れた。
世界は美しく保たれ、全てのものに刻まれる。
全ては覚悟を決めるために。
どんなモノでも、光を手に入れるために。
私は昇ろう。
一番最初に覚悟を決めるのは、ほかでもないこの私だ。
今は運命という鎖に絡まれた、奴隷であっても、私はこれを解き放つ。
準備は進んでいる。
必要なのは時と場所である。
覚悟を決めて、私はこれから道を進んで行こう。
次回は水曜の20時。早く戦闘描写を書きたいものである。……まぁ僕にそんな描写力は無いのだが。