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善の王

この話を見ているならば、1話目を読んでくれた人だろう。感謝する。是非楽しんで行って欲しい。


 王、という創作の中で聞き慣れてはいるが、現実ではほとんど意味のなさない言葉を聞き、生徒は困惑する。いや、生徒だけではない。彼女もだ、分かりやすく目をグルグルさせている。彼女の場合は王、という存在ではなく、聞き慣れないヘルト王国に驚いているのだろうが。


 その様子を見て、王はこちらに声をかける。


「困惑しているようだが。簡潔に言おう。お主らは勇者として我が国ヘルト王国に召喚された。」


「勇者、だって?」


 今話したのは、我がクラスの勇者こと、川口創。180の長身に色白のイケメンで。定期考査では一桁以外とらないという完璧人間である。ちなみに部活はバドミントンをやっており、全国レベルとは言えないものの、そこそこの強さを持っている。個人的にそこそこ好感が持てる生徒だ。


 そして、そこのオタク組と先生。全員で声を合わせて「キタコレッ」って呟くのはやめなさい。川口がちょっといい感じのシリアスやってるから雰囲気壊すな。


「そう、勇者だ。数年前に魔物達の王、魔王が復活した。復活した魔王は軍を率いて、着々と勢力を広げている。我らヘルト王国の民も必死の覚悟で戦いに臨んだのにも関わらず、魔王軍の力には到底及ばない。前回の襲撃はなんとか撃退することに成功したが、次はどうなるか分からない。……よって我らは最後の手段をとった……勇者召喚。異世界から素養のある者をこの世に呼び出す禁忌の術を行う事を決断したのだ」


 さっきの一団は足をペシペシ叩くのをやめなさい。

 そんなに興奮しないでくださいお願いします。今大事な話してんだから……


 完全にいままでのキャラが崩れているが、不可抗力と言うことで許して欲しい。


「素養とは?」


 生徒の一人が問う。


「誰これ構わず見境なしに人間を呼び出すほど、我らも落ちぶれてはいない。ここにいるものは、この場所に来る直前、甲高い音が聞こえたはずだ。」


 確かに聞こえた、という声がチラホラ。周りを見ると誰もが首を縦に振っている。あのとき頭を押さえていたのは、そういうことだったのか。ならばそれが聞こえていない私はどういう事だ?


 首を振らない私を見て、王はお前は違うのかと言うような視線を向けてくる。


 その視線が瞬時に罪悪感の混じった視線に変化した。込められているのは謝罪の意。


 恐らく私には、その勇者とやらの素養がないのだろう。

 つまり私は……


「巻き込まれた……のか」


 心の声と、王が発した言葉が被る。

 そうとしか言えないな。

 だが、特に私は気にしていない。力はあるし、やりたい事もある。そのために準備は欠かさずしてきている。

 この場にいる人からの視線が突き刺さる。それは全て同情。煩わしい。


「帰してやりたいところだが、現状では異世界召喚は一方通行……連れてくることはできるが、帰すことはできぬ。他も同様だ……本当に申し訳ないと思っている……罵ってくれても構わない」


 人間として、できている。まぁ、無関係なものを勝手に喚んだから、一概にはそうは言えぬが……


「ふざけんじゃねえよ!!」


 隣にいる生徒たちが怒りの声を上げる。

 王の両隣に佇んでいた兵士らしき人物達の手が腰の剣へと伸びる。


「それじゃあ俺達はどうなるんだ! 元の世界に親だっているんだぞ! 先生にも……」


「いや、私に親はいない」


 少し看破できないことが聞こえてきたので訂正させていただいたが、なんだお前たち、その空気読めよ的な視線は。事実を言ったまでだ。異分子に親などいてたまるか。


「ゴ、ゴホン。申し訳ないと思っている。だが、我らも必死なのだ」


 拳を握り締め前に一歩踏み出す生徒達。

 たかだか、教師になって数年の男のために何をやっているのだ?

 奥の方を見ると、彼女までもその一団の中に入っている。一番冷静にならなくてはならない教師が何をやっている。


「落ち着いてくれ、皆。私の為に怒ってくれるのは嬉しい。しかし、ここで暴れてもしょうがないだろう?」


「くっ…………先生が、そう言うなら」


 彼らの中での私の発言にはどんな力が宿っているのだろうか。


「勝手だと理解している。この世界へ無理やり連れてきたことに釣り合う見返りも与えられるかも分からぬ。だが、必ず我らはお主らを帰す魔法を見つけてみせる。それまでの間、我らに力を貸してくれ……頼む」


「「レント様!?」」


 もう一概にとかではないな。これは凄く良い王だ。私の知る王様とは全然違う。


「私は一国の王だ!国民を守る義務があるのだ!!そのためにならこの頭などいくらでも下げてやるわ!」


 その場で立ち上がり生徒達の所まで降りた王は、彼らに向かって深々と頭を下げる。一国の王が唯の学生に頭を下げている。


 その異様な光景の中で、冷静になった生徒は諦めたように肩を落としてしまった。


「………先ほどの非礼、誠に申し訳ありませんでした。頭を上げてください王様。俺、いや俺達も取り乱し過ぎました。……話を、聞かせてください。まずはそれからです」


「……温情感謝する」


 王に頭を下げた生徒は、私と後ろにいる生徒のほうを見ながら頷く。

この小説に少しでも感情が動いたならば、評価をしていって欲しい。それがさらに多くの人の心を動かすの繋がるだろう。

3話目は月曜の20時、是非見にきて欲しい。

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