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世界へ

2ヶ月も投稿を休んでしまった。待っていてくれた方は申し訳ない。この小説を書くのに費やした下書き、通算20話。言い訳じみているが僕なりに頑張った。まだ3話しかかけていないが、楽しんでいただけたら幸いである。


 本当に行くのか、そう何度も彼は問いかけてくる。だが、この気持ちは変わらない。私は、旅に出るのだ。あいつがいない世界など、いても仕方ないだろう。だから、そんな顔をするな。我は必ず戻ってくる。

 それに、私は本来、ただの旅人なのだ。決して貴様らと、共にいるために生きているのではない。もう覚悟は決めている。

 そういうと、彼女は俯いた。違うのだ。悪いのは貴様ではない、私だ。アイツを守りきれなかった私が悪いのだ。

 これは罰。時が経てば、ここへ戻る。貴様達はもういなくなっているかもしれん、だが、絶対にここへ戻るということを約束しよう。

 我が友よ、次は、悲願を果たす。奴は必ず……

 彼は苦い顔をしていたが、最後には笑ってくれた。世界が愛した、凛々しい笑みを浮かべた。


 身体を光が包む。少しずつ体の先が消えていく。ゆっくりと、だが着実に私という存在を此処から移動させる。顔まで、消えかかってきた時、彼らの口が動いた。あぁ、いい奴らだ。最高の友だ。待っていてくれる、それだけで、体が少し軽くなる。


 もう消える。だが、最後に一つだけ。貴様らが送ってくれた言葉を、私も送る。

 


 また、会おう



 誰かから呼ばれる。声を聞いて覚醒する。目の前には、一つの顔。私が急に顔を上げたので、少し近づけば触れそうなくらいに位置にある。


「きゃっ!」


 それに驚いたのか、彼女は身体を後ろにそらす。その勢いで、倒れそうになるがギリギリのところで、私が掬い上げる。

 ポフ、と音を立てて私の胸に、彼女が収まった。

 真っ赤に顔を染め、目を白黒させる彼女を見て、生徒ががヒューヒュー、熱いねぇ!と口々に囃立てる。それにより一層顔を赤くする彼女は、もはや、熟れたリンゴのようになっていた。

 これ以上は精神衛生上危ないだろうと、私の胸の中で、ぶつぶつと何かを言っている彼女を離す。


 彼女は私と同じ、この学校の2年1組を担当する教師である。まぁ、彼女が真正の教師であるのに対し、私は、その役割を与えられただけなのだが……

 この状況を見ればわかる通り、彼女と、また生徒とも、そこそこ良好な関係を築いているのではないかと思う。些か、彼女は私に距離が近すぎると思うのだが、あまり気にはしていない。


「こほん、先生、ホームルームの時間です。目を覚ましたなら、早く始めてください。」


 一つ咳をして、私を起こした理由を話す彼女。まだ、顔の赤みは取れていない。生徒もニヤニヤしている。

 溜息を一つ。

 これが私の役割である以上、やらなければならないか。面倒臭い。

 教壇に立つ。先ほどまでガヤガヤとしていた雰囲気が少しずつ変わってくる。

 全員の注目が集まる。

 やはり、大勢に注目されるのは些か苦手だな。

 私に視線を向けてくる生徒全員に目を合わせ、言葉を発する。

 

「では、今日の連絡事項だが……」

 

 瞬間、私は凍りついた。生徒達は何事か、とこちらを見ている。

 まだ誰も気付かない、その存在に。

 純白に光り輝く円環と幾何学きかがく模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する。

 そして一斉に何か大きな音が聞こえたかのように耳を、頭を覆う。何か聞こえるのだろうか?

 隣を見ると、彼女も同じように頭に手を当てている。

 かくいう私は何も聞こえないが、それから目を離せずにいる。恐怖ではない。歓喜だ。この魔法陣は、あの世界の法則に従っている。ということは……

 自然と口角が上がるのを止められない。生徒の心配を真っ先にするのが教師だが、先に言った通り、私は真正の教師ではない。

 久しぶりだ、こんなにも感情を昂らせたのは!

 ふわりと、前に垂らした髪が動く。髪型はオールバックにしているため、あまり変わらない。


 チラリと横を見る。彼女はまだ、事態の大きさに気付いていない。


 その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。


 自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。咄嗟に彼女が「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。


 数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。

 机の上に乗せられた、いくつかのカバン、スマホなどを残して、私達は、この世界から消えた。生徒達は恐怖に怯え、私は心を踊らせながら……



 このことが、警察が調べても、移動した形跡はなく、集団神隠しとして、世間から注目を集めるのは別の話だ。



 冷たい感触を感じ、目を開ける。


 杜撰な陣で行使された、魔法の副作用のようなものにより痛む頭を片手で押さえ、もう片方で、床に手をつく。その感触は、木造の校舎とは違う、ツルツルとした何か。

 体を確認してみるが、特に変わったところはないようだ。


 周りを見てみると煌びやかな大広間。

 目の前には大きな椅子に腰掛ける男性。その周りには数人の老人達がいる。

 真ん中の玉座らしき場所に座っている男性は、高級そうな西洋風の衣服、それに加え頭には王冠がかぶせられている。

 老人たちから、周りに目を移すと、鈍色の鎧に身を包み腰に西洋剣を携えている騎士らしき人物達が横一列に並んでいる。


 それよりも……


「無事か、みんな」


 生徒に声をかける。すると、こっちは大丈夫です! 同じく! 

 そう、私に声がかけられる。みんな一応無事なようだ。報告するときに聞こえた声が、少し震えているのはしょうがないだろう。急にこのような状況に陥ってしまったのだ。誰しも不安になる。

 不安にならないのは、感情が抜け落ちたようなやつか、こんな突拍子もないことに慣れている人物のどちらかだ。


「先生!大丈夫ですか⁉︎」


 特になにもないので、一つ頷いておく。

 彼女も無事だ。私と同じく、生徒の安否を確認して回っている。

 こちらにも全員いたのだから、彼女の方にもいるはずだ。

 確認が終わり、聞いてみると誰も欠けてはいないそうだ。


「これ、異世界召喚じゃないのか!」


「やっぱりそうかな!俺TUEEEできるのか!」


 いわゆるオタク、と呼ばれる部類にある生徒がこう話していた。ふむ、少しでも、この状況の情報は欲しいな。


「お前達、これがなんなのか分かるのか?」


 そう私は、彼らに声をかけた。


「あっ先生!えっと異世界召喚ってやつです。最近のライトノベルのジャンルで多いんですけど……って先生はラノベ知ってます?」


 ライトノベルか……検索を開始する。


 完了


 ライトノベルは、日本で生まれた言葉で、娯楽小説のジャンルの1つ。英単語のlightとnovelを組み合わせた和製英語。略語としてはラノベ。小説の分類の一つだが、明確な定義はなされていないようだ。活字好き、というより漫画などの娯楽の延長として楽しむものが多い。


 瞬時に検索し、それがなんなのかを知る。検索をしている間は、限りなく停止に近い状態で時間が流れるように()()()()()()


「ああ、その言葉の意味くらいはな。流石にどんな内容なのかは知らんが……」


 完全に知るような情報でもなかったので、そこまでは調べていない。


「異世界に召喚されて世界を救ったり、美少女のハーレムができたり、っていう感じの非現実的な世界観をしているのが多いんだ!」


 目の前の少年は、それはもう目を輝かせて、敬語も忘れるほどに私に「読んでみてよ」と声をかけてくる。


 なんやかんや話して一区切りがついたことを察したのか、冠を被り、尊大に座った男が、こちらをギロリと睨むように見る。

 これが威厳というのか、眼力というのか、一般人物には堪えるような雰囲気だ。


「全員、目が覚めたようだな」


 偉い人、というか確実に王であろう人物が、私たちに何の用なのだろうか。


「あんたら誰だ!」


「元の場所に返してよ!」


 この言葉を皮切りに、生徒達からの文句が爆発する。一気に騒がしくなった広間に声が一つ響く。


「黙れ」


 大きな声は出していない。ただ、普通に声を出しただけ。それでも、その空間は私に支配された。水を打った様な静けさが、皆を包む。例外はない、目の前の男達もである。


「話せ」


 話す許可を与える。すると王らしき者のそばに付いていた人間が、私や生徒の不遜な物言いに怒りの声を上げる。


「貴様ら!王の御前で不敬な……!」


「煩いぞ人間。私が許可を出したのは、そこのやつだけだ」


 やはり王だったか。その人物を指差す。なおも、喚き立てようとするソイツを手で制する王。


「よい。いきなりこのような場に呼び出されれば、自ずとそのような言葉も出てこよう。あまり目くじらを立てるな。」


「し、しかし……」


「よいと、私が言っておるのだ。」


 少し声を低くして王が話す。それだけで、ソイツは引いた。


「すまぬ、私の家臣は少し頭が固くてな」


 いい奴だ。雰囲気で察してしまう。民から慕われるいい王なのだろう。


「私の名はレント・クダマツヤ・ヘルト。このヘルト王国の王だ。」

次回は20時、3話投稿は今週だけである。来週からは土曜に1話となるが了承してほしい。筆が乗った時は2話出すので、もし読んでくれる人は、告知を待っていて欲しい。

この小説に少しでも感情が動いたならば、評価をしていって欲しい。それがさらに多くの人の心を動かすの繋がるだろう。

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