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初執筆・初投稿です。
宜しくお願い致します。
「はい、確かに。では、有り難う御座いました。」
配達屋から荷物を受け取り、久留間 将兵は自室へと入る。届いた段ボール箱を開けディスクケースを取り出す。中にはキャラと背景が描かれ、タイトルが載ったディスクが1枚入っている。
“Free Style Fantasia”
1年半前に大手ゲーム会社からβ版が発表、先行抽選会・先行プレイが行われ6ヵ月前に終了。その時のフィードバックと製品版への最終調整で沈黙していたVRMMOだ。
既に製品版のCMは流れてはいるが、それより前にβ経験者の将兵にはメッセージにて事前連絡があり、β経験者限定の拡張ディスクが届いたのである。
先行プレイ終了から今まで長い間があるのにはこのゲームの性質に理由がある。
「Free Style」、このゲームにおいてこの言葉の意味は他のVRMMOよりも幅広いものである。開始時の種族選択・スキル選定は元より初期ステータスの配分、条件を満たせば武器や防具の形から武器を用いたアーツ・魔力を用いた魔法等のエフェクト・発動したときの形に至るまでカスタマイズ出来るのだ。
それが発見された当時はその為のリソースをどこから捻出しているのか、ゲーム業界を中心に大きな話題になったが結局解明できた人は表立っては出てこず、今では当時と比べると話題としては下火になっている。
そんなわけで製品版を間近に控えたこの日、説明書を片手にVR機の本体にディスクを読み込ませ有線で繋がれたヘッドギアからインストールを行う。
「いやぁ、ホンマ長かったなぁ…βの頃覚えとる人居るんかいな。言うても、ディスク届いたら思い出すか。」
インストールを終えた将兵は当時の事に思いを馳せた。
他のファンタジー物と変わらない世界観、現実と変わらないレベルのコミュニケーションを取れるNPC…そしてリソースが話題になる原因になった発見。
「そう言えば、アレは俺が原因やったんかいなぁ…。」
将兵は魔法使いが好きだった。そしてこのβプレイ前に錬金術を題材にした家庭用ゲームをプレイしていた。基本的にソロなので、父方の一族が武術を営んでいる現実の事情を踏まえた棒術。折角なので基本に忠実すぎる見た目の魔法も弄ってみようと考えた。
この要素が絡んだ結果、β最前線プレイヤーでも見たことのない杖扱いの棒を振り回す魔法使いがこれまた見たこともない魔法(ただし魔法名は既存の物)をブッパする絵面が出来上がったのである。
これを検証クランが質疑応答・実験の結果、システムとしての存在と自由度の高さをある程度立証し普及させたのである。
「カスタマイズ込みのガチPvPもネタカスタム披露会もおもろかったよなぁ…」
普及後は当然ゲーム内でもお祭りとなり、プレイヤー達は様々なカスタムを用いてこのβプレイを楽しんだと言う。
かつてのお祭りを思いだし笑顔だった将兵は学生としての本分を済ませて眠りにつくのだった。
感想・改善点の書き込みがあれば嬉しいですねぇ…。
リアルの都合で返信・活用が出来るかは謎ですが…。