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-3 日常

≪2031年8月24日≫


 路地裏には4つの影が走っていた


それはお面をかぶった人物を追う3人の青年という構図だ






*****






「待てよこのガキ!」


いかしたバッタヒーローのお面を被った僕を追いかけている3人組の中から、髪染めに失敗したような茶髪の人が叫ぶ


「こういう時、追いかけてくるのが女性だったら幾分か気分が良いのかなぁ」


僕はそれを無視し思った事を口に出す


「なに訳分からんこと言ってんだ!」


「ちょっ、2人とも、待て、足、速…」


茶髪の後ろからメガネがよく似合う青年とただのデブが何か言ってくる


どうでもいいけど、デブが死にそうだ


「訳がわからない? あなた達は女の子3人に追いかけられるという夢のようなシチュエーションの良さが分からないのかい?」


「お前ホントに何言ってんだ!?」


「もう…だめ…ほんと……死…」


「そうか。…どうやらあなた達と僕とは、分かりあえそうにないね」


「つべこべ言ってねぇで俺の『女子高生彼女の手作り風・ミートスパゲッティ』を返せこのクソガキ! 結構なお値段なんだぞそれ!!」


茶髪が僕が大事に持ってる袋を指さす


「うるさいな! これは僕の地面の肥料になった肉まんの代わりだ!!」


「肥料になったって、お前が勝手に落としただけじゃねぇか!」


「はぁ!? 勝手にじゃないし!! あんた(茶髪)がぶつかってきたから落したんでしょがぁ! そのせいで僕の全財産はたいて買った肉まんがご臨終だよどうしてくれるんだコノヤロ―!!」


僕は振り向いて叫ぶ


その時一番後ろのデブが倒れるのが目にはいった


「てかテメーの全財産120円かよ!」


「ボンビーなんだよ!! 言わせんな恥ずかしい」


デブが倒れた事を茶髪とメガネは気づかない


「お前のお財布事情なんて知るかよ!」


「なんだと…? そうかい、あんたらも『他人の事なんて知るかよ!! 自分さえよければいいんだよバーカ!!』な奴らなんだな。はぁ悲しい世の中になっちゃったな~もう!! やってられないですわ!」


「んなこと思ってねぇし、キレて人の食べ物くすねて逃走しているお前の方がたち悪いわ!!」


茶髪がもっともなことを言う


「…フッ」


「返すことがないからって鼻で笑うんじゃねぇよ!!」


メガネはツッコミがうまいなぁ。


もしかして将来の夢は漫才師?


「そうだ。あなた達に1つ、いいことを教えてあげよう…」


そろそろ教えてあげた方がいいよね。うん


「なんだよ!!」


「1人いなくない?」


僕の言葉で茶髪とメガネは一瞬黙り、後ろを振り向き


「「…………あのデブ何処行ったぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!??」」


叫んだ


「待って。君達友達じゃないの?」


あのデブってお前…


「おい! デブはどこに行ったんだ!?」


「わからない! まさか、途中でケーキ屋さんとか見つけてそちらの方にフラフラと…!」


「いや、もしかしたら奴の落とした肉まんをこっそり拾い食いして腹を下したのかも…!」


「クソッ! ありえる話しだ!」


「なんてこった! こうしちゃいられねぇ!」


「デブは俺が探す! だから、茶髪はあのガキを捕まえてくれ!!」


「…わかった! デブは頼んだぞ。メガネ!!」


そう言いながらメガネは見事なターンを繰り出し元来た道を戻りだす


「君らあとでデブに謝りなよ?」


「うるせぇ!! 1人でもぜってぇ捕まえてやっからなこのお面!!」


「『お面』? …あぁ、お面してるからか」


この人ら『メガネ』といい『デブ』といい、ニックネームをつけるの下手なんだな


まぁ、どうでもいいか!!


「てかお前、なんでお面してんだ!?」


「僕の顔、可愛すぎるから…」


「キモイ事言うなぶっ殺すぞ」


「辛辣ぅ!」





10分後…





「追いつめたぞこのガキ…」


とうとう袋小路、行き止まりに突き当たった


「フム、では僕の壁ジャンプを見せてあげよう」


まぁでも、これくらいの壁なら飛び越えられるな


「ハァ!? まだ逃げんのかよ! いいかげん『女子高生彼女の手作り風・ミートスパゲッティ』を返せ!! 2700円なんだぞそれ!!」


「ここまで僕を追い詰めた奴は君で168人目だ…」


「お前追いつめられすぎだろ!? 普段から何してんだ!?」


「どれ、貴様に面白い話をしてやろうか」


「話し聞けよ! ほんと自由だなお前!」


僕は茶髪を無視して、走ってる時に気付いた事を言う


「『女子高生彼女の手作り風・ミートスパゲッティ』は…手作りじゃなくね?」


「…ッ!!」


その時、茶髪は固まった


「そんで君、まず彼女いなくね?」


そして僕の次の言葉で膝から崩れ落ちた


「…そ、そんなことわかってたさ…。コンビニでおっさんの店員に電子レンジでチンしてもらった時からそんな事には気づいていたさ!!」


茶髪が熱く語りだす


「でも、仕方ないじゃないか…俺には1度も彼女ができな」





そこから35分ぐらい熱く愚痴られた





「そうだよな! いくら中二病だからってボッチはつらいよな!!僕だってたまには彼女がほし」


そして僕も茶髪の熱に当てられ熱くなり、男同士で語り合った…





二時間後…





そこにはメガネとデブも交えて4人で路上で熱く語り合う僕の姿が!!


「お面も苦労してるな。てかもうその親友2人と縁切れよ…」


「これがなかなかの腐れ縁で切れそうにないのだよ…」


「そうだよ! 別に恋愛対象が幼稚園児でもいいだろ! いい加減にしろ!!」


「メガネの話はなんかずれてんだよなぁ」


このあと、そろそろ時間がヤバいとのことで解散になることに…


「いや~、そういえば、お前名前なんていうん?」


「え? 僕? そんなことより茶髪たちはなんて名前?」


「俺か? 俺は『茶髪』でいいよ」


「なぜに?」


「そっちの方がしっくりくる」


「あ~。なるほど」


茶髪の1番の特徴はその茶髪だもんね


「納得するんだね」


デブは汗を拭きながら言う


なんだかんだいってデブが一番の常識人だった


「まぁ納得するさ」


「ちなみに俺もまんま『メガネ』でいいからな」


「俺も『デブ』でいいよ」


だがデブよ、お前はそれで本当にいいのかい?


「で、お前の名前だよ」


「俺ら流だと・・・『お面』?」


「なんかやっぱりぱっとしないねぇその呼び名」


お~いお面! 野球しようぜー


うん。やっぱなんか違うな


「でもそれ以外の特徴ないし」


「あぁ、お前からお面をとったらただのガキだな」


「さっきからガキガキとうるさいな~。僕は19歳だぞ?」


僕がそういうと、3人は鳩がショットガンを食らったような顔をした


「ハァ!!? おまっ、その声と身長で俺たちより年上かよ!?」


「ひどい!! 結構気にしてたりしてなかったりしてたのに!!」


「してなかったりするんじゃねぇか」


「う、うらやましい…」


「うらやましいってなんぞっ!?」




閑話休題




「で、結局俺たちはお前をなんて呼べばいいんだ?」


「そだね~。・・・茶髪が『茶髪』だったら」


僕は少し考えた。まぁ、僕の1番の特徴は考えるまでもないかな


「? だったら?」





「僕は、『狂人』だなぁ」



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