ネット小説なんてやめちまえ!
ネット小説について思うことを語ろう。
最近、ネットに自分の小説を投稿するのが楽しくなくなった。
理由は簡単だ。
読まれない、の一言に尽きる。
そもそもネット小説とは、膨大な数の作品の中から突出しなければ生き残ることのできない厳しい世界だ。
パッとしない作品はタイトルだけ読んでスルー。
どんなに熱意を込めたって、どんなに設定に凝ったって、目を惹くことができなければ読まれない。
そうして電子の海にうねる大きな波に飲み込まれ、水底へ沈んでいくのだ。
当初、私は自作のファンタジー小説『黒滅のラグナ ─嫌われ者の英雄譚─』のバックアップを保存する場所として「小説家になろう」を活用していた。
それが徐々に読まれたいと思うようになり、あらすじや各話のサブタイトルにも力を注いだ。
一年ほどかけて完成した暁には、ポイントは1000に至っていた。
PVも四桁が当たり前だった。
しかし、過激な性描写があるとして運営に削除されてしまった。
それまで培ってきたポイントも、感想も、レビューも、すべてが無に帰した。
その後、R18作品でも投稿できる「ミッドナイトノベルズ」に作品を移したが、思った以上に読んでもらえない。
作業のあいだ、私はネット小説について様々なことを調べた。
どうにか『黒滅のラグナ』をブレイクさせられないかと、自分なりに足掻いた。
そして、気づいた。
無駄だ。
自分の作品ではブレイクは見込めない。
理由は腐るほどある。
毎日更新ができていない、設定やストーリーが重い、流行に沿っていない……etc.
だが読まれない理由の最たるは、阿東ぼんという存在自体に信用がないことだ。
ネット小説はビジネスと同じだ。
私はここのところそればかりを痛感している。
品物が良ければ黙っていても売れる、というのは嘘だ。
いったい誰がこんなことを言い始めたのか知らないが、もし会うことがあれば一発くらいブン殴っても構わないとさえ思う。
ネット小説には表紙がない。
タイトルと、あらすじと、タグと、本文があるだけだ。
すなわちそれらで関心を買えない場合、その作品の魅力はそこまでということになる。
中身がどれだけすばらしくても、読んでくれる人がいなければ広めてもらえない。
私はそういった作品を〝性格のいいブサイク〟と読んでいる。
逆にタイトルやあらすじは良くても中身が薄っぺらい作品は〝性格の悪いイケメン〟だ。
どちらも〝設定のいいイケメン〟以上に選ばれることはない。
これが現実だ。
また、ネット小説を投稿している人の中には「自分の作品で新たなジャンルを切り拓いてやるぜ!」とか「異世界モノばかりじゃなく、もっといろんな作品が陽の目を浴びるべきだ!」とかと主張する者もいるだろう。
そんな君たちに私は言いたい。
「じゃあ、ネット小説なんてやめちまえ!」
考えてもみてほしい。
異世界モノが、いわゆるなろう系の作品がランキングを占めているのは、そういった作品が好きな読者層がネット小説界隈に集まっているからだ。
時々、「最近は読者の質が下がった」と嘆く人を見かけるが、違うのだ、あなたが想定している読者層はネット小説を読みにこないだけだ。
無料でも素人の書いたよくわからん作品を読むより、お金を出してでもプロの手がかかった作品を読むという選択をしているだけだ。
創作という形で幻想を追う我々がなすべきことは、どうしようもない現実と戦うことなのである。
さて、そろそろネット小説を投稿するのに嫌気がさしてきた頃だろうか?
だが、そんなあなたにも希望がある。
それは、サイトやSNSを通じて他の作家方と仲良くなることだ。
たとえばツイッターでお互いの作品について褒め合えば、それを見た人は興味が湧くだろう。
作者本人の推薦よりも第三者の推薦のほうが魅力的に見えるのは言うまでなく感覚的にわかるはず。
また、ビッグネームを持つ作家様に宣伝してもらえれば、それを大きな信用を得ることになる。
ここで再び〝信用〟という言葉が登場したが、ネット小説がブレイクする理由はこれに集約されると私は考えている。
根拠を述べると、読まれる作品とはテンプレや他人からの褒め言葉(感想・レビュー・PV)などによって読者からの信用を集められるものだからだ。
どこの誰が書いたかもわからない、面白いかどうかもわからない、そんな作品にわざわざ時間を割いてくれる読者は極少数。
信用のない作品(作家)は注目されないのだ。
これを上手くやれないのが、私がネット小説を楽しめない一番の理由と言ってもいい。
私は特別誰かと交流することを楽しめるタチではない。
一人で黙々と作業するのが好きなタイプだ。
流行に鈍感で、むしろ流行に乗ることを毛嫌うひねくれた一面もある。
ステレオタイプの作家、といえばイメージしやすいだろうか(断じて自分を褒めているわけではない)。
他の作家方と交流もしない。
流行にも乗らない。
むしろそんなのわずらわしい。
そんな私はネット小説界隈においては最底辺の弱者であり、人気を獲得するという方面においてはどれだけ小説を書けても意味がない。
ようするに〝ノリの悪いぼっち〟ということだ。
もし、自分もそうかもしれないと心当たりがあるのなら、ネット小説で人気を得ようとするのはやめることをオススメする、強く。
それでも突き進みたいというのであれば、流行に乗った作品を書くか、他の作家方と交流し、読者から信用されるよう努めるのが良い。
健闘を祈る。