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キューズヴァンプ  作者: もちみみ
1/5



───『大変だ───!!』



「…さ!宰相、宰相殿、おられるか!!」


「なんだ騒がしい」


「…っ。たった今、伝令より報告が…!!」



「陛下…並びにお妃様、ウィルス王子が…う…ウェストタウン近郊にて、暗殺されました!!」



────ざわっ




「な…なんだと…」



「…暗殺者三名…捕縛の際、自害いたしました…」

















****************************





ラステル王国城内




執務室──





「陛下、昨日のイーストタウンの書類なのですが」



「あぁ、処理しておいた」



「陛下、恒例の晩餐会なのですが」



「…今回も不参加」



「貴族たちから催促の書類が何通も来ておりますよ」



「あー、わかってる。」



「すみません、陛下、あの、今年の…"ウエストタウン"での春の祭典なのですが…」



(…そんなに気を使わなくてもいいのに)


「祭典は通常通りで」



「陛下、以前一度お話がありました、ウィルス侯爵家ご子息エドガー様を、陛下の護衛にとの件ですが」



「あぁ、断ったやつね…」



「はい。それが先日行われた騎士大会で、エドガー様が優勝されまして、

正式に陛下の護衛にと申し出がありました」



騎士大会は、王国で年に一回行われる。

出場者は王国騎士団と、貴族の騎士団。

ただし、出場できるのは入隊5年未満の、若手のみと決められている。


若手にとっては実力を提示できる場であり、功績を残せば昇進などのチャンスに大きく繋がるので、皆こぞって参加するのだ。



「それで明日、別件でいらっしゃる際にその話もしたいとの事です。

こんな適任はいない!と、引いてくださらなくて…。

有力貴族なだけにあまり無下にも出来ないですし」




(あぁ、明日来るんだったなぁ…)



ウィルス侯爵家は武力に特化しており、騎士団は精鋭が揃っている。

それゆえ、武力はウィルス家に頼ることが多い。



(腕は申し分ない。隊への刺激にもなるし、若手への指導もしてもらえる…。確かに適任なんだけど)



ただ、純粋に護衛をなんて思っていないのは明らかで、必要以上に親密にしたくないのが本音だ。



(何よりあの息子のまとわりつくような視線が嫌だ。それが毎日…)



思い出しただけで鳥肌が立ちそうになり、慌てて脳内のエドガーをかき消す。



「今の近衛兵達で十分なんだけどなぁ」




「ありがとうございます。ですが、私個人としては、陛下付きの護衛を一人付けておくのは賛成です。

なので明日、騎士団の中から何人か連れて行きたいのですが」



「構わないわ」



「ただ、エドガー様となると、うちの騎士団では団長とまではいかずとも、隊長クラスであるかと。

しかし、団長や隊長達が抜けるのは厳しいのが現状です」



「そうね、隊が崩れるような事は困るし。

引く気はないみたいだし、適当に誤魔化しても無駄だろうなぁ。

そうなると限られてくるか…」



「…申し訳ございません」



「隊の強化は今後の目標にして、とりあえず明日のメンバーは、指揮官のあなたに任せる」



「はい!全力を尽くします!」












──────






「はぁっ…はぁっ…」



(どこだここ…?)



(あーだめだ…やべ…)



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