ガーデナーの少女 4
コラリーさんは一人で喫茶店を経営しているらしい。
今日見ている限り、お客さんはあまりというか全然まったく来ないみたいなのでのんびりと暮らしているのかな?
ある日、庭にハーブの花壇があるのを思い出して見てみるとバジルが枯れていたらしい、去年まではたくさん生えていたのに私が枯らしちゃったのよ、そう言ってやっぱり少し寂しそうに笑う、なんなのだろう?
あたしは気にはなったけど理由は訊けずにいた。
「さて、コラリーさん、後はバジルの育て方を説明します、それでガーデナーとしてのあたしの仕事は終わりですね」
「うーん、みやちゃん、できれば何度かここに通ってくれないかしら? 私だけだとちゃんと育てられるか不安なのよ」
「バジルを育てるのは簡単ですよ、この地区は気候もいいですし、おひとりでも大丈夫だと思いますけど」
「……それでも、必ずちゃんと育てたいの、確実にこの花壇に植えたいの。 お願い、みやちゃん、毎日じゃなくてもいいからうちに来て、それにガーデナーさんは植物の生長を早めることが出来るんでしょ?私、一年も待っていられないの、だからあなたを呼んだのよ」
そう、ガーデナーのスキルは一年草であろうが二年草であろうが数週間で生長させることができる、本当は草花はゆっくり生長を楽しむ方がいいのだけれど。
それにこんな簡単な仕事で報酬を貰うのも……
あたしは少し悩んだがコラリーさんの真剣な顔を見て、そして言った。
「わかりました。鉢から花壇に定植させるまで、数日毎に生長を促しに通いますね」
「ありがとうっ! みやちゃん」
そう言って、ちっちゃなあたしの身体にギュッと抱きついてきたコラリーさんの胸はあたたかかった。
あたしはそのあたたかさに埋もれながらこの人がどんどん好きになっていく。
個人端末にコラリーさんのサインを貰い、今日のお仕事は終了。
大きな仕事ではなかったけれど、仕事をした後の満足感が心地よく、あたしは好きだ。
今後しばらくコラリーさんのためにお仕事ができることも、楽しみ。決してお菓子が楽しみではないよ?
次回、みやちゃん帰宅します。




