18歳の日 vol.2
7月1日、水曜日。まだ日差しは柔らかい。学校が終わり、部長に体調不良の嘘を付くと一目散に家に帰った。なんてったって今日はお姉ちゃんの誕生日。私が家のことを全部やるんだ。
家に帰ってから掃除と洗濯をなんとか済ませると、お姉ちゃんが帰ってきた。真面目なお姉ちゃんは誕生日でも部活をサボらないのは知っていた。お姉ちゃんが玄関を開けるなり私はお姉ちゃんに抱きついた。
「お姉ちゃん!おかえりなさい!」
少し照れているお姉ちゃんはこの上なく可愛かった。
「お誕生日おめでとう!ついにお姉ちゃんも18歳なのかぁ...。」
18歳になったのは嬉しい気もするけど、なんだかお姉ちゃんがどんどん大人になっていくのが寂しいような気もした。
「彩海もあと1ヶ月で16ね。」
そう言ってお姉ちゃんは私の頭を撫でた。ちょっぴり恥ずかしいけれど私はこのかけがえのない瞬間が好きだ。でも今日は甘えてばかりはいられない。お姉ちゃんをソファに連れて行って、ごはんを作ることにした。
私はお姉ちゃん、いや、七海のことが好きだ。もう物心ついた時からずっと。でもこの気持ちは3年前の今日に何倍にも膨れ上がった。そして今も膨れ上がって苦しいままなのかもしれない。
もし気持ちを伝えたら、優しいお姉ちゃんはきっと気を遣って好きと言ってくれるかもしれない。でもそんなものが欲しいわけじゃなかった。私はお姉ちゃんに私のことを好きになってもらって、お姉ちゃんから好きと言ってもらいたかった。私に勇気がないだけかもしれない。結局ずっと言い出せず、私は膨れ上がった気持ちに押しつぶされて苦しいままだ。
本当はもっとお姉ちゃんに触れたかった。お姉ちゃんしか知らない、生まれたままのお姉ちゃんに触れてみたかった。私はもう一歩が未だに踏み出せずにいる。
またそんなことを考えていると涙が出そうになった。でも今日はお姉ちゃんの誕生日だから、楽しんでもらわないと。涙を拭いて、お姉ちゃんを食卓に呼んだ。今日のごはんは私とお姉ちゃんの大好きなハンバーグだった。
2話目です。ちまちま投稿していきます笑。題名と内容が伴ってきましたね。3年前に何があったのか、気になるところです。