暗号
よろしくお願いします。
6暗号
「うぅ―――――――ん」
皇帝ペンギン対策組織のメンバーは暗号に頭を抱えていた。
「駄目だわ、俺脳みそ筋肉だから」
そう言って離空は暗号を投げた。かと言う俊介ももうお手上げだった。対策組織のみんなも煮詰まっているようだった7.
「こんな時志摩がいてくれたらな」
離空の言った一言で辺りは静かになる。そんな中、たった一人手を動かしている人物がいた。それは椎名だった。
「南雲、お前少しは休めよ。」
しかし、俊介のその言葉に見向きもせず必死でペンを走らせる。
「南雲、おい、南雲!」
「!!・・・何よ」
「お前、少しは休めよ。」
「そうだぞ。体に毒だよ。」
「・・・みんなは悔しくないの?」
「?」
「実栗がいなくなった途端、頭脳が消えたみたいになってるんだよ!?」
「・・・」
「確かに実栗はこの組織の頭脳だった。でもその実栗がいない今、私たちがどうにかしないとダメなんだよ!?」
「そんなのわかってる!!」
「じゃあ、どうして」
「無理なものは無理!わからないものは分からないんだ!!」
「俺はさ、ずっとスポーツ一筋で、高校もサッカーの推薦で入って、大学だってそう考えてる。体力にしか自身のない体力バカ、脳みそ筋肉野郎なんだよ。」
「だから何?」
「あ?」
「だから?だから逃げて良いってことにはならないでしょ!」
「・・・っ」
椎名のその言葉に離空は返す言葉がなくなり、黙ってしまった。
椎名はもう一度暗号に向き直る。
「ねぇ・・・もしかしてこれ・・・」
「ん?」
「どうした?」
椎名の発言に全員が向き直る。
「これ、もしかして武田信玄の暗号なんじゃ?」
「えっ!?あの現国のマニアが言ってた?」
マニアの授業なんて全く聞いていない俊介には理解できなかった。
「私、マニアの話結構好きで聞いてるんだけど、武田信玄の暗号式に当てはめてみてもいいかもしれない。・・・ちょっと待って!」
しばらくの間椎名は紙に向かってペンを走らせた。
「できたよ!これ・・・」
椎名の差し出した紙を全員で覗き込んだ。
デンエクラウコ
れもふなせきあオ
ろやへにそくいレ
わゆほぬたけうト
をよまねちこえア
んらみのつさおク
りむはてしかシ
るめひとすきユ
「えっと・・・これはつまり?」
「暗号をとくと・・・こうなる。『てんこうけいしはんこい』」
「え!?」
その意味を全員が出来なかった。
「意味わかんねーよ。間違えているんじゃないのかよ。」
考え込む椎名の横で俊介の目はある一転に注目した。
「このヒント2は!?」
「!!そうか!・・・文章に濁点を付ければいいんだ!」
で ん こ う け い じ ば ん こ い
「電光掲示板に来いってこと!?」
「それしかない。事の始まりはすべてそこなんだから。」
「でも、いつ?時間は?」
「・・・・・」
その疑問を残したままみんな家にかえることになった。俊介は実栗の様子を見ようと病院へ向かった。
「失礼します」
そう言って部屋に入ると、深く目を閉じたままの実栗が俊介を出迎えた。
「志摩、俺たち・・・お前がいないとダメなのかな。」
そんなことを言いながら志摩のそばの椅子に腰かけた。すると俊介の目に机の上にあるパソコンが目に入った。そのパソコンに近づくとスッと明かりがついた。
「え?」
そこに映し出された文字を見ると、何のことかわからない文字の羅列だった。
「なんだこれ・・・」
そういいながらパソコンのマウスパッドをスッと動かしてみた。そうしたら画面がぱっと切り替わった。
「これって・・・」
画面に映し出されたのは
皇帝ペンギンのアジト 電光掲示板のビル
の文字だった。その文字を見た瞬間俊介の文化祭の実栗との会話がフラッシュバックする。俊介は自分が志摩にツイッターの発信元を探すことを頼んだのだった。俊介は急いで離空と椎名に連絡を入れた。
暗号が醜くなってしまい、申しわけありません。