文化祭1
よろしくお願いします。
5文化祭
「出し物何にしますかー?」
前で委員長が出て話をしだす。黒板にはでかでかと文化祭出し物と書かれていた。俊介たちの学校は文化祭一色に染まっている。
「誰かなんかありませんかー」
俊介は文化祭というものがあまり好きではない。だから、委員長の話は上の空で聞いている。
「おいおい!お前ら、何もないなら俺の言った案で決まるんだぞ?いいのかー?」
一方、離空はこういう行事ごとになると張り切って仕切る方だ。黒板には離空たちの考えた案しか乗っていない。
「もう時間ないので、海藤君たちの案を採用しますねー!」
やる気のないクラスに委員長の声が響いた。
「というわけで、うちのクラスの出し物は執事メイド喫茶で!!決定!!」
「メイド喫茶ぁ?」
昼休みに理数学科の実栗と屋上で文化祭の出し物について話ていた。
「そう!男のロマンだろ!」
「ロマン・・・ねえ?」
そう言う離空に冷ややかな笑みを浮かべる実栗。
「そう言う志摩のクラスは何なんだよ?」
「科学お化け屋敷」
「うわぁ・・・なんか、すごそうだな。」
「うん、近寄りたくないや。」
「えへ。みんなが来るの、待ってるね。」
そんなこんなで時はあっという間に流れた。
皇帝ペンギン対策組織として動く事もほとんどなく、楽しく学園生活を送っていた。文化祭の居残りなどで遅くまで学校に残り、クラスのみんなでわいわいとファミレスなどに寄って帰るなどといった楽しい一か月を過ごした。
そして文化祭当日。開催一時間前の出来事だった。
「大変だ――!!」
突然大声をだした離空に引っ張られ、図書室に連れ込まれる。
「な、なんだよ」
「まあ、いいからこれを見ろよ!!」
焦った様子の離空はそう言って俊介にパソコンの画面を見るように促した。
「な、なんだよ・・・これ。」
俊介のみたパソコンに写されていたのは、皇帝ペンギン@宇宙人のアカウントであった。そのアカウントの先ほどのツイートが上がっていた。その内容とは。
こんにちはおひさしぶりですね。さて文化祭シーズンがやってきましたよ!珍しい科学お化け屋敷という出し物をしている高校!くれぐれも事故には気を付けて?そして、我々も参加し楽しませていただきたいものです。
「科学お化け屋敷って、2-Eの!」
「志摩のクラスなんだよ!それに、参加したいって言ってるんだよ!」
「ここに奴らが来るのか・・・?」
図書室から見える風景は何も知らない生徒が楽しそうに文化祭開催に向けて懸命に最後の準備を行う姿だった。
「とと、とりあえず、志摩に電話!」
離空はケータイを取り出し、連絡をし始めた。俊介にも呼び出し音が聞こえる。スピーカー機能のようだ。
『はいもしもし?』
『志摩!?と、とりあえず何も聞かずにパソコンか周りの奴のスマホ借りてツイッター見て!!』
『は?・・・ちょ、ちょっと待ってよ』
初めは困惑している様子の実栗だったが、離空の声を聴きただ事ではないと思ったのかすぐに対応した。
『はい。何?』
「皇帝ペンギンのアカウント!」
『え!?また何か!?・・・・・・・・嘘・・・』
「ちょっとオレ、南雲呼んでくるわ!」
そういって離空はケータイを置いて勢いよく図書室を飛び出していった。
「志摩、今何でツイッター見てる?」
『自分のパソコンだけど・・・』
「ハッキングして、ツイッターのツイート元がどこにいるかとか割り出せたりしないのか?」
『できないこともないけど、運だのみな部分もあるかな。』
「そうか・・・。ここに奴らが来たとして・・・俺らに何が出来るんだろうな。」
『・・・』
「俺、リーダーなんかやってるけど、もうどうしたらいいのかとかわからないんだ。」
そこにばたばたと音を立てて、椎名と離空が入ってきた。
『飛松さんが残していってくれた研究データ、みんなのケータイについた機能なんだけど、この間このパソコンで暗号解いてたらね?あの全員のケータイにつけた不思議な機能、操り状態にある人の混乱を解くこともできるみたいなの。』
「え」
『だから、きっとなんとかなるよ!』
「・・・でも・・・」
『・・・じゃあ高梨。一つだけ約束して。』
「ん?」
『・・・わたしの事ちゃんと守って。』
「・・・そんなの、当たり前だろ?」
「おい!そろそろ10時だぞ」
『じゃあ私運営あるし、いったん切るね』
「ああ」
ガチャ。ツーツー
「だ、大丈夫かなぁ・・・実栗」
「大丈夫だろ。あいつはなんだかんだ強いんだから。」
「だといいんだけど」
キーンコーンカーンコーン
10時を告げるチャイムの音が校舎中に響き渡る。
『只今より、文化祭を開催いたします。一日目は各クラスによる出し物になります。出し物と展示の紹介をします。・・・・』
文化祭開催を告げる放送部のアナウンスが聞こえる。
その時だった――-。