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ケータイ  作者: そらのうみ
2/10

生活

放課後

俊介が校門のほうへ行こうとすると、小さく璃空に呼ばれた。

「ちょっと、きて!」

「何?」

「いいから!!」

そう言って離空は俊介の手を引き図書館へと連れて行った。そしてパソコンの前に座る。

「いったいなんだよ。」

「さっきツイッターでみたら、世界中で謎の死がたくさん浮上してきているらしいんだ。」

「謎の死!?」

「うん。朝の転落死とか、健康な人の心臓発作とか、行方不明とか、今日だけでかなりの事件が起こってるんだ。」

「・・・・」

「それでこれ見て!」

璃空は画面を指さした。

「なんだこれ!?」

璃空のケータイに映し出されたのはツ○ッターのあるアカウントだった。そこには皇帝ペンギン@宇宙人というアカウント名が書かれていた。

「皇帝ペンギン@宇宙人??」

「うん。これこのユーザーのツイート、よく見たら犯行予告みたいなんだ。」

「犯行予告!?」

俊介は璃空のケータイをのぞくと“健康な人!あなたたちほど心臓発作になりやすいんですよ。とくに23歳の男性の方はお気をつけて!”というツイートがあった。

「これって!」

俊介はそのツイートを指さして言うと璃空は深くうなずいた。

「そうこれとか・・・これ!」

“最近行方不明とかいう物騒な事件が起こっていますよね・・・若い子が狙われるんだと思っている50代のあなた!油断大敵ですよ。お気をつけて。”

「ぜんぶ事件が起こる前とか??」

「さすが海藤君だね。」

その声に驚いて振り返るとそこには実栗の姿があった。

「「志摩さん」」

「そのツイートの裏付けをしてきたけど・・・そのツイートは確かに皇帝ペンギンだということが分かった」

「どういうことだ?」

「これを見て」

実栗はそう言ってクリップで留められた4枚ぐらいの紙を渡した。

「これは?」

「さっき海藤君が言っていた事件の被害者と時間とかの一覧表」

「え!?」

俊介はその紙を見ると一番上に23歳男性、神山涼 心臓発作により死亡、死亡推定時刻は21時45分ごろ

「璃空ツイッターは何時に?」

「20時30分にアップされている。」

そのほかの事件を確認しても同じように事件が起こる1時間前にツイートがアップされていた。

「ほんとにこれが犯行予告だったんだ・・・」

「・・・志摩・・・この資料は?年齢と名前ならともかく、そのほかの情報ってどこで・・?」

俊介はクリップされた紙をさし、実栗に聞いた。

「聞かないほうがいいと思うよ。・・・私はみんなとは少し違うから。」

そう言うと実栗は笑顔を浮かべた。

「・・・?」

「みんなと違うって・・・?」

プルルルルルル

実栗のケータイが鳴り出した。

「はいもしもし?」

実栗が電話を取って電話をする。その間俊介は実栗の資料に目を通す。

「はい・・・そんな・・・」

会話の内容から誰と話しているのか聞き取ろうとしたができなかった。

「あ・・・あの・・・・・・い、いえなんでもありません。すみませんでした。」

実栗はそう言って電話を切った。

「し・・・」

「俊介!!」

実栗を呼ぼうとした俊介をさえぎって璃空が声を上げる。

「どうしたんだよ」

「皇帝ペンギンの新しいツイートが!!」

「なんだって!?」

俊介がケータイをのぞくとこう書かれていた。

“最近、熱くなってきましたね・・・こんな時期には熱中症が気になるでしょう。とくに油断しているのは、ズバリ高校生でしょう!高校生のみなさん気を付けてくださいね”

「それ、何時の投稿だ!?」

「16時30分だ!」

俊介は腕時計を見た。指針は16時45分を差していた。

「行くぞ!」

俊介は勢いよく飛び出した。璃空はそのあとに続いた。

「行くってどこに行くの!?」

実栗の声が響いた。

「分からないけど・・・とりあえずいかないと!!」

「そんなやみくもにいったって意味ないよ!」

「でも・・わかってて何もしないなんてできないよ。」

「たとえ分かっていたとしても、範囲が大きすぎる。分かっているんじゃないの?」

「そうだけど・・・ぼくらは、知っていても何にもできないのか!?」

「・・・・」

「たとえどこで犯罪が起こるのか分からなくても、動かなくちゃ!!」

「その気持ち分からなくはないけど、わたしたちが考えるべきなのはこれからどうやって人を助けて、どのようにしてこれからを進んでいくのか・・・じゃない?」

確かに実栗の言うとおりだった。俊介たちが動いたところでどうなるのか目に見えて分かる。

「・・ごめんちょっと落ち着くよ。」

俊介の言葉に実栗は笑顔でうなずいた。

「高梨君のしようとしたことは正しいよ」

「俊介はすごいよ!僕は動こうともしなかったからねww」

2人にそう言われて俊介は軽く笑って答えた。

「そんなに褒めないでよ。」

その後何がおかしいのか3人で笑いあった。


「ただいま」

「おう、おかえり。」

「親父!?今日はやけに早くないか?」

いつもは仕事で帰りが深夜になる俊介の父が帰ってきているので俊介は驚いた。

「仕事が早くおわってなぁ。」

「お兄ちゃん!おかえりなさい!!待ってたよ!」

「ただいま朱梨(あかり)。」

「お兄ちゃん、今日は遅かったねー。朱梨みたいに部活してないのになんでそんなにおそいのぉ?」

朱梨は高校1年生の俊介の妹だ。テニス部に所属している。

「いや、いろいろあってな。」

「ふぅん。もう朱梨お腹すいたよぉ。パパがお兄ちゃん待つっていうから待ってたんだからねぇ!」

「ごめんな。」

「じゃあ、ごはんにしましょうか。」

「「はーい」」

俊介は家族のこの雰囲気が好きだった。

「あ!母さん。もしかしたらオレ、これから遅くなること多いかもしれない。だから遅くなった時は朱梨と先に飯食べてていいから。」

「あら、俊介も部活始めるの?」

「いや、違うんだけど・・・」

「なぁに?彼女でも出来たわけ?あっやしー。」

「違うよ。ちょっと・・・生徒会の奴に助っ人頼まれちゃってな。」

とっさにでた言い訳だ。口外するなと言われているので家族にも言えない。ここは生徒会書記の南雲を借りようと俊介の頭の中で整理された。

「へぇ―――?」

「分かったわ。でも俊ちゃん。あまり遅くならないようにね。」

「ああ」


誤字脱字ありましたら申し訳ありません!

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