美味しい!
ああ、美味しい!
なんて美味しいのだろう!
いくら食べても飽きない、この至福の味。
若干の臭味はあるものの、それすらも至福の味の前では取るに足らないこと。
ああ、なんで私はこんなに美味しいものを食べることを我慢していたんだろう。
見る度にだらしなく涎を垂らして、浅ましい顔をしていたと思うと……。
でも、それも今日でお終い。
今日からは我慢なんてせず、たくさん食べる! どんどん食べる!
ああ、この至福の時がいつまでも続けばいいのに……。そろそろ、なくなってしまう。骨を残して、私のお腹の中へと消えてしまう。いつも、小食なのに、今の私はドラマの言葉を借りるならば、まさにブラックホール!
もう、残り僅か、そう思うとまた口から涎が垂れてしまう。
もっと、もっと食べたい!
なくなってしまう焦りから、額から汗が垂れる。
どうする、どうする?
そうだ!
今日からは我慢なんてしないって決めたんだ。
だから、無くなったら次のを食べればいいんだ。
〝これ〟は外に行けばたくさん〝いる〟んだ!
家のドアを開ければ、道にはそれこそ、たくさん〝いる〟、遠くの場所ならもっと〝いる〟。
我慢する必要なんてないんだ!
ああ、なんて〝人間〟は美味しいんだろう!