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第一話 魔法少女に、なっちゃった!?

第一話 魔法少女に、なっちゃった!?



海賊船が海のど真ん中で一隻の小型ボートを発見した。最初に気付いたのはモハメドという青年だった。海賊の一員である。

「船長、不審なボートが一隻、こちらに向かってきてます。積荷はいつくかありますが、船員らしき者は見当たりません。」

双眼鏡で船を凝視しながら、モハメドは隣にいた船長に告げた。船長は銃の手入れをしていた。

「よし、一応用心しながら近付け。漂流船だろうが、軍の連中の罠かもしれん。」




海賊は物語に出てくるような英雄ではない。だが、乱暴者で犯罪者で金を求めるという所は正しい。彼らは常に人質となる獲物、タンカーや商船を探している。船の金品や荷物は基本的に求めない。時間がかかるし、アシが着くからだ。もちろん宝島など探したりはしない。ひとつなぎの大秘宝とか目指したりもしない。海賊はゲスな犯罪者だが無謀では無いのだ。

2013年1月2日、年明けにも関わらず海賊達は精力的に獲物を探していた。

昨今、海賊業事情は変化している。狩場だ。彼ら海賊は元々、アデン湾を中心に活動していたが、数年前からアデン湾の取り締まりは厳しくなった。

現在、モハメド達はアラビア海を中心に活動している。アラビア海は古代から船の行き来が盛んな海であり、現在も数多くのタンカーや通商船が往来している。


そんなこんなで泣く子も黙るソマリアの海賊達は小型ボートを拿捕した。モハメドとアブドゥッラファターハとアフマドは海賊船から出撃した高速艇に乗って小型ボートに上陸した。

「クソ野郎はいねえかー!!」

「木製ボートだぜこれは!!ゴミみてえな船を綺麗な海に捨ててんじゃねー!!撃つぞぉらー!!」

「誰もいねぇ!!誰も乗ってねぇが荷物ならたんまりとあるぜぇ!!」

小舟は川下りしそうな数人乗りの木製ボートだった。アブドゥッラファターハが指差した先にあったのは俵である。俵が九つ、ボート一杯に載せられていた。

「ジャップだ!!俺知ってるぜ、ジャップの船だこれは!!」

アブドゥッラファターハが俵から穀物を取り出した。

「青いぞ!!青色の米だこれは!!ヒャッハー!!カビ生えてやがる!!」

モハメドもアブドゥッラファターハの持つ青色の穀物を見る。確かに海のような不思議な青色の米である。だがカビは生えていない。天然色だ。しかし、何と言うことだろう。青色の米だというのに、限りなく食欲をそそられてくる。

「何だこの米。」

思わず手に取るとモハメドは青色の米を口にしてしまう。

「うめぇ。」

「何だと。俺にも食わせろ。」

そう言ってアフマドも青色の米を食う。

「馬鹿野郎。勝手に荷物を漁るんじゃねぇ。俺たちの仕事は人質を捕まえることだ。」

アブドゥッラファターハが注意した。

「わ、悪かった。悪かったから銃をおろしてくれ。」

「まあいい、無人船だしな。さっさと戻って船長に報告だ。」



「リーダーはなんであんなボロ船を見て来いなんて言ったんだ?」

無人船を後にして、高速艇に積荷を載せたその上に座るアフマドが言った。

「あんなボロ船でも人が乗ってたかもしれないだろ。そしたらこんな海の真ん中までボート一つで来る奴なんかいないだろう。」

アブドゥッラファッターハが答えた。

「成る程な。そしたら元々ボロ船を載せてたデカイ船があるって訳か。それじゃやっぱりリーダーの言うとおり、軍隊に気をつけなきゃいけないわけだ。デカイ船を軍隊が守ってるかもしれないからな。最近はどのデカイ商船も軍隊に守られてやがるからな。」

アフマドが感心したように言った。モハメドもアブドゥッラファターハの知己には驚かされる事が多い。

「でも今回のボロ船に人は乗ってなかったから、ただの漂流船なんだろうな。何処かの間抜けが港に止めておくのを忘れたのさ。」

「ちょっと待て。あれはなんだ。」

モハメドは海賊船を指差した。

それはモハメド達の帰る筈の海賊船である。モハメドは自分の所属する海賊の事も忘れたのだろうか。いや違うのだ。海賊船の後方軍船がみえたのだ。


「べ、米軍だー!!さっきまでいなかったはずなのに。」

「逃げられねえぞ、こんな高速艇じゃあ。」


その後、彼らはあっさり米軍に捕まった。下手に抵抗したら殺されるから賢明な判断と言えよう。

三人はデッキに並ばされた。

「へいソマリア人達‼あの青いライスを食いマシタか?」

米兵が銃を突きつけながら尋ねた。

「く、食ってねぇ。だから助けてくれ。」

アフマドが言った。

「いや、食ったようだな。お前。自分の皮膚を見てみろ。」

「え?な、なんだこれは。」

アフマドの皮膚に青白い斑点がぶつぶつと現れはじめた。

「た助けてくれ」

アフマドの皮膚がどんどん青く染まってゆく。

「ふむ。どうやらこいつは失敗だったようだな。」

アフマドが泡を吹いて倒れた。

「おまえらはどうだ?」

モハメドもまた気分が悪くなってきた。

「うわああああ死にたく無い。」

「ふむ。こいつは成功のようだ。」

モハメドの意識はそこで途切れてしまった。


何か機械の音が聞こえる。人の声も聞こえる。

「瞳孔散大。」

「心肺停止です。馬鹿な、意識があるぞ。」

「頭蓋骨穿孔します。」

モハメドが目を覚ますと、あたりは光に包まれていた。いや、天井のライトが見えているのだ。自分は仰向けに寝転がっていた。慌ただしく動き回る医師達の姿が見える。ここは病院なのだろうか。

「おはよう。気分はどうかね。」

医師の一人がモハメドの顔を覗き込んだ。白人の肥えた老医師だ。

「わからない。何か体がここに無いような…宙に浮いてるみたいに…体が痺れてるみたいだ。

あれから何時間経った?今は誰かの手術をしてるのか?」

「ふむ。きみはもう少し安静にした方が良いね。」

老医師は微笑んだ。

「ちょっとまってくれ。もしかして私の手術をしているのか。私はどうなったんだ。」

「睡眠剤をあげよう。眠りたまえ。」

「麻酔薬注射。」

その時、モハメドは壁際の台を見てしまった。

「なんだあれは。あそこの台に積んである内臓は何だ。私の内臓じゃないのか。さっきから足の感覚も無いんだ。おい聞いているのか。おい。」

「君は幸運だよ。科学の進歩に貢献出来るんだからね。」

「やめろおおおおお!!」



それから3ヶ月。



私の名前は小林いちほ。今日から魔法少女学園の一年生です!

「お姉ちゃん、立派な魔法少女になってね。」

ふたほ が見送ってくれます。ふたほ は4歳年下の妹です。他に家族は父親の宗次郎、おばあちゃんの佳恵がいます。

「大丈夫だって。私って生活力あるから寮生活でも生きていけるよ。」

「だといいんだけどねぇ。」

ふたほは最近ちょっとだけ生意気です。

「じゃあ行って来るよ。夏休みには立派な魔法少女になって帰ってくるからね〜。」


私の住む真保呂島は、世界で唯一魔法少女学園の存在する島だそうです。私もその学園に通う事になりました。私は今日から街のある南部の漁村を離れて北部の都市部で一人で暮らします。


島の住人はみんな魔法の素養があります。かつては魔法の力を巡って世界中で戦争が起きたりしたけど、現在はとっても平和です。

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