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不注意

不注意


 大会期間中、他県ナンバーの追突事故が多発するという話がある。要は、空に浮かぶ機体をぼーっと見上げて追突されてしまうのだ。


『花鳥風月』第六篇:誕生日ーもうひとつの物語ーで私が命を落としかけた出来事、それは交通事故だった。


たくさんの方々の懸命の手当てと看病で「奇跡の生還」と言われて現在に至るが、その時の記憶は一切ない。あとで作られた記憶のみだ。

 そのため、後で警察から「責任は五対五だ」と言われたことにびっくりした。


あれ?なんか前方不注意とかで逮捕とか聞いたことあるけど、違うの?…幼いなりに考えたが、警察は「前方不注意もだが飛び出しもある」と言った。

 私、飛び出してたの…?


 それ以来、「不注意な子」というレッテルを何となく貼られてしまい、家族、友人、ひいては主人まで「危なっかしい子」という目で私を見ている。

 ちょっと車道側に出ただけで「危ない!」と歩道に引き戻される。とにかく、私は「前後左右不注意」らしい。


里帰り前に何度も気を付けるように念を押され、分かったと返事をして旅立ったが、直後にやらかしてしまった。


行きの飛行機に意気揚々と乗り込み、座席番号を確認して荷物入れに荷物を入れ、安心して座席についた。そう、それが一つ後ろの番号であることに気づかずに…。本来その座席に座る予定の方に声をかけられてはじめて気がついた。赤っ恥にも程がある。行きの飛行機は一切座席を倒さず読書していた。


帰りの飛行機でもやってしまった。定刻を二十分間違えて覚えており、危うく購入していた帰りの飛行機に乗り損なうところだった。一日数便の空港なので、乗り逃したら大変なことになる。混雑する機内をかき分けかき分け乗り込み、これまた顔を真っ赤にしながら荷物を入れた。


幸いなことに交通事故等には遭わなかったが、とにかく自分が「前後左右不注意」であることはよく分かった。しかし、これで私の払っている最大の注意なのだ。より注意しろと言われても、無理だ。これでも、精一杯注意しているんです。


 とはいえ、生きている以上は注意しなくてはならない。「前後左右不注意」であることを肝に命じ、最大限の注意を払って生きていかなくてはいけないのだ。


次回、最終回です。


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