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異なる羽。漢字を覚えるときはこうやって分解して覚えたものだ。


今回の里帰りで、私は二つの異なる羽に乗ることとなった。

 一つは羽とは正確には呼べない。風まかせとも言いがたいが、大半は風に左右される。

その風をいかに掴み、目的地まで近づくかの戦いだ。


今回、幸運に、私は一日だけ手伝いに行ったチームの競技フライトに同乗することができた。競技以外のフライトならば、手と足の指を使っても足りないほど乗ってきたが、競技、しかもこの大会のフライトは二度目だ。

久しぶりに乗り込むバスケットは昔と変わらなかった。しかし積まれるものは遥かに進化していた。ノートパソコン、GPS…


 パイロットは私よりも遥かにこの空に熟練している。私はただ、彼の読む風、目的地にたどり着くための風の些細なアドバイス以外、邪魔にならないこと、そして真下を注意することしかできなかった。


私たちを乗せた機体は海に近づいた。パイロットは着陸に冷静だった。私も久しぶりのふるさとの海に見とれていた。

機体は海からそう遠くはない道路に着陸した。パイロットはフライトには終始冷静に、且つ競技にはこれでもか、といわんばかりの熱い勢いで挑んでいた。


その日は天候も風も良く、朝だけでなく午後もフライトが可能だった。午後は地上から先回りして飛んでくるのを待っていたのだが、非常にいいところに目印を落としていった。後日確認したところ、午後のその競技、彼が一位だった。


最終結果を私はまだ知らない。もうじき、インターネットに公開されるだろう。その日を楽しみにしている。彼のはっきりとした「トップテン狙います」を覚えているから。


もう一つの羽、空港から空港へ、途中で飲み物がついてくる羽。ようやく少し慣れてきたが、あの気流の不安定なところを通過する際の機体の揺れ、あれは不安を募らせる。小説に集中していてもちょっとドキッとしてしまう。


羽の落とし穴。空港間の羽の料金を比較的安く手に入れられて安心していたら、もう一つの羽の料金のことを忘れていた。一分百円。およそ一時間のフライトで六千円。学生時代、一分三十円の約三倍である。手持ちがあってよかった。むろん、それは必要経費であることも理解している。


何にせよ、空を飛ぶにはお金がかかるものだということを再確認した。同時に、やっぱり飛ぶっていいな、という思いも再度新たにしたのだった。


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