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豚と氷柩

凍れ(`・ω・´)凍れ

この話でプロローグは終了デス!

それでは豚王の最後と新たの時代の幕開けの瞬間をご覧アレ!


「こ…小娘…だと?」


「ぶひ?小娘を小娘と言って何が悪い?

なんじゃ、お主そんなペッタンコな胸で一人前の大人の女性のつもりだったのかえ?

しかしの~。くひ、ふむ口は悪いが、よく見るとその野暮ったいメガネがなければなかなか可愛いではないかぁ。

そちの後ろに立っている銀髪のおなごも、少し無表情ではあるが顔は悪く無いのう。

ふむふむ、隣国と魔王を倒し功績を立てた暁にはわしの側室にしてやろう。


ほれ、わかったら行くじゃ。さっさと魔王を倒してくるのじゃ。ぶひ」



側室…?おなご…?大人の女性…?アルゼントを毒牙に…?ぶひ…?

―――小娘…?


「小娘…こむすめ…コムスメ?」


いつの間にか背後にいたはずのアルゼントが数十メートルほど背後に離れている。


「ほれ、小娘!何をブツブツ言っておる!さっさと行かぬか!『絶海の孤島』

大体のう、高貴なるわしを豚呼ばわりするなど女性としての教育がなっておらん証拠だぞえ『今出現セリ』

魔王を倒しに行く傍ら、女性としての慎みを学ぶのだな『絶対たる暗雲を纏いて』

ほれ、わかったらさっさと行かぬか。いつまでもわしの前にボウッと立っておるでない!小娘が!『世界を包まん』」


豚は気がついていなかった、王の盾となるべき兵士達がガタガタと震えていることに…。祈りの体勢で手を組んでいた巫女がそのままの体勢で気絶していることに。

いつの間にか、銀色の少女がいなくなっていることに。


「ぶひ?なんじゃ…、少し肌寒いではないか?」


そして、ようやく気がつく。

氷付いた様に体が動かなくなっていることに。兵士たちが青ざめた表情のまま氷の彫像になっているが見える。

そして、唯一蒼い髪をした少女が氷付いた時の中を歩みながら、ゆっくりと近づいてくることに。


「ぶ、ぶぶぶぶ!な、なんじゃあ!何が起こっておるのじゃ?」


パリッ…パリッ…パリッ

白く薄い霜を踏みしめ、体中から冷気を発しながら少女は歩みを止めない。

ここに来て、豚は初めて命の危険を感じたのだった。


「おおおおおおおおおおおおおお、おぬしがぁぁ、こ、コレをやったのかああああ」


「ええ…。僕はね何があろうとも僕を小娘といった人間を許さないことにしてるんです」


見たことも聞いたこともない魔法が部屋を白く染めていく姿は、とても綺麗であり、そしてどうしようもないほど冷たかった。

初めて感じる恐怖とゆっくりと体を蝕んでいく冷気が言葉を震わせる。


「こ、ここれだけのの力が、あ、あるのだ…。こ…この力を、わが、王国のために…」


「所詮僕らにとって、ここは異世界ですから。

勝手に召喚された上に、魔王を倒せ…?隣国を滅ぼせ…?世界を救え…?」


少女の体から吹き出すのは誰よりも冷たい怒気。灼熱の炎よりも鋭く熱い氷炎の怒り…。

そして、改めて気がつく。

歩きながら、いつの間にかメガネを外した少女の素顔に。


「巫山戯るな…。勝手に僕らを攫い、勝手にそちらの都合を押し付ける」


絶世の美女ではない。警告の美女でも無い。

そこにあるのは見るものを圧倒させるような彫像の美。人在らざるもの…、神が彫りし氷の彫像。

人が触れることすらおこがましい。


「服従の魔法をかけ傀儡とし、意識を変革し駒とする…。」


全ての汚れを廃したような…、純白の美が其処にはあった。


「そんなお前らの驕りを受け入れるわけがない…。そしてなにより…」


しかし、豚の思考にはその素顔を見た感慨はない。

豚にとっては、彼女の素顔は純白の死神にしか見えなかった。漆黒の悪魔より冷たく、包み込む暗雲よりも薄く怜悧な殺意。


「お、お主の力が、あ、あれば世界征服も夢ではない!な、何を望むのだ?魔王を倒し世界を征服した暁にはなんでもやろう!

か、金か!ち、地位か。それなら貴族の座を、いや、魔導大臣の座をやろう!


と、土地でもいいぞ!隣国のベルガメットは金の出る産地とも言われている!お主が望むならそこをやろう!

それとも男か?わしにはよくわからんが、おなごというものは細身の鼻の高い男性が好みなのじゃ?!国中のイケメンという奴らをお主にやるぞ!

勿論わしもその列に加わってやる!

s、それでも足らんというならお主に城をやろう!いや国を!」



穢れ無き純粋な殺意は、深い闇の如き憎悪よりも時に恐ろしいものとなる。

心にもない言葉を並べながらも、豚は今それを知り。そして後悔した…。


悪魔であれば、物欲を捨てて命を拾うことができたかもしれない。しかし、全てを裁く天使は…。何も望むまい。

望むのは、己の命だけであろうから…。


それでも豚は叫ぶ…、己の全てを捨てる覚悟で…―――。


「……お前に世界の半分をやろう!!!」


捨てきれない残りの半分が海ではなく陸地であったのは勿論だろう…。

流れ出す冷や汗は凍りつき、体中を汗のように滑り落ちていく。いつの間にか首から上以外が動かなくなっていた事に今更ながら気がつきながら。

それでもまだ、命乞いの言葉を叫ぼうとして…。豚は寒さのあまり声が出なくなったことを知った…。


「―――――――――!!!」


呼吸ができなくなり、顔を真っ赤にしながら醜く体をゆする豚、その眼前にたった純白の死神は屠殺前の哀れな豚に最後の言葉を投げかける。


「金も国も名誉も世界もいらない。僕が今欲しいのはお前の命だけだ。

…僕わね…、僕に向けて小娘っていった奴は例外なく痛い目を見させることにしてるんだ…。


だって、僕は…―――男だから―――」


城にある礼拝堂の女神像。その女神の微笑みによく似た表情を網膜に焼き付けて…、豚は鼓動を止めた。


最後に感じたのは純白の死神の白魚の様な手が、そっと首筋に触れた暖かい感触。最後に聞こえたのは形の良い熟れた林檎の様な唇が紡ぐ終わりの呪文。




―――『氷月泉ラプソーン








その日、豚聖王国ミートファリアは終を迎えた。

…たったひとりの魔法使いの手によって。


王国の壊滅こそがバンフェリア大陸の歴史に置いて、氷河期と呼ばれる時代の幕開けとなる狼煙であった…。

彼または彼女が「氷界の魔法使い」と呼ばれるようになったきっかけの魔法、使わせていただきました(`・ω・´)b


勿論いつかは伝説の羽ペンも出てきます!

そして、主人公は最強ですがまだちゃんと書いていない彼女はチートです。某ゲームにおいて生産系ギルドの初代ギルマスとなったちびっこ少女の血を遺憾なく引いておりますので(。-∀-)b


次話はその彼女の視点から書いていきたいと思います。何しろ題名はVRMMOで遊んでいたら異世界に召喚されました。ですから。

彼女も召喚された一人ですから(*´∀`*)b

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