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一日の終わり、さらなる騒乱の予感

誤字脱字、意味不明な表現がありますがご了承ください。

仙「そういえばクリル、お前家に来る時、荷物っていう荷物を持ち込まなかったな。てかほとんど手ぶらだったし……もしかして服とかは、そのままずっと着ている感じ?」


ク「前書き早々、舌を引っこ抜かれたくなかったら黙ってろさね。私が小太刀を出す時、一体どこから出してると思うさね?リュックや鞄から取り出してるとこ見たことあるさね?服もそれと同じさね」


仙「つまりわたくしの想像のつかない、異次元空間から通販で取り寄せていると……」


ク「う~ん、私は通販というものをした事が無いさね。もとより、パソコンというものも、デンワというものも所持したことが無いさね。時雨さんから、ケイタイデンワってのを受け取ったけど、使い方がいまだにさっぱりさね」


仙「……」


ク「何さね、その目は?見てるだけで、不思議と拳に力が湧いてくるさね」


仙「……」


ク「まぁともかく、現在は服は普通に買ってるさね。妖力まとってる時も多いけど、いかんせん消費も激しいから、仙人から妖力貰わないと下手すりゃ素っ裸さね」


仙「……」


ク「……」


仙「……」


ク「何か言えさね!ゴラァァァァァァァ!!!!」


仙「ブッフォォォォォォォ!!!!」






「……まったくもって散々な一日だった……」

そう言いながらトボトボと歩いているのは鬼灯ほおずき 仙人せんと。普通の人から見ればこれといって特徴のない普通の高校生だ。

仙人は、学校でのトランプ勝負で負けジュース(無論、自分の奢りで)を買いに行かされて、学校に戻る途中、バカでかい銃をもった少女の襲撃を受けた。

日本にいればそんな事などまずあり得ないだろう。

しかもその少女は手榴弾をもろに食らっても、致命傷となるような量の血を噴出ふきだしてもピンピンしているときた。

まるで未来から自分を殺しにやってきた殺人マシーンのようにも思えたが、いろいろあって生き残った仙人。

仙人はその後学校へ戻り、


「遅い、てめえはパシリのやる気あるのか?」

などと学級委員長に罵声と蹴りの嵐を食らい、心身ともにボロボロの状態にされてしまい只今帰宅しているという次第である。


「ここでまた誰か襲ってくるとかないよな・・・?」

仙人は少し不安になるがそんな事もなく自宅についた。

仙人は裏口から家に入り自分の部屋に戻ろうとする。

すると仙人の存在に気付いたウランがふわふわと近づいてきた。


「お~う仙人……お前なんでそんなボロボロなんだ?さっきより悪化してるぞ」

階段の周りでふわふわ飛んでいたウランは、フォークが突き刺さりもう使い物にならなくなったフライパンを持ち、それをぶんぶん振りまわしている。


「いろいろあったんだよ……ったく、あいつあれでも学級委員長か……?」


「ん?」


「いや、何でもない。ちょっとシャワー浴びてくる」

制服のあちらこちらに靴底の跡がついているのを仙人は軽く手で払いながら浴室よくしつへ向かう。


「シャワー軽く浴びて、そのままゲームするか、仕事を手伝うか……迷うところだよな~」

所持金不足で悩む仙人は浴室で制服を脱ぎ、腰にタオルをあてスライド式のドアを勢いよく開ける。

その時仙人は気付かなかったのだ、制服を脱いだ時に隠れてしまった綺麗に畳まれた服、ショートパンツ、下着、ストッキングの存在に。


「うゅ?」


「……え?」

仙人の前に先客がいたらしい、体をゴシゴシ洗っていたクリルは仙人の存在に気付き硬直したままポロっとスポンジを落とす。


「ひっ!?」


「えっ!いやっ、あのぉ……」

オロオロと慌てふためく仙人をよそにクリルは片腕で胸を隠しつつ、ゆっくりと仙人に近づいていき、


「火星まで吹っ飛べさねぇぇぇぇ!!!!」


「ひいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」

ガッシャーン!パリィィィィン!グチョッ!という賑やかな音が響き渡る。


「お~うおぅ、こりゃ香華こうげでも供えておく必要があるかぁ?」

階段の周りにふわふわ飛んでいたウランはフライパンを持ちながら、浴室の方へ目をやった。

「ったく、仙人は一体何考えてるさね!?」

ほおを少し赤らめたクリルは眼帯の位置を調整しながら仙人に問い詰める。

クリルは銀髪をポニーテールに結び、丸いトレイを抱いている。

仙人がシャワーを浴び終えるまで、下の階で仕事をしていたらしい。

一方仙人は、クリルの逆回し蹴りをくらい、シャワー浴びてすぐ自分の部屋に戻りシップを貼っている。

クリルとは対照的に仙人の頬(片方)は青黒く変色している……滑りやすいタイルの上で転ぶことなく正確な一撃を放つクリルの運動能力は相当なものだと思った。


「いや、本当に気付かなかったんです。いろいろ考え事をしていたら、つい前が見えなくなってしまって……」


「だから何考えてたさね?」


「……」


「何か答えろさねゴラァァァァ!!!!」

クリルはトレイを投げ捨て、仙人の首を腕でしっかりと押さえ、絞めつける。


「ちょっ!っく、クリルさん!苦しっ!?しかも変なものが当たっている!小さくて柔らかいモノがぁぁあ!!」


「なっ!?」

クリルは顔を真っ赤にさせ、仙人を解放する。

ゲホゲホと咳込む仙人にプイッとそっぽを向くクリル。


「……ともかく次そんな事したら今日くらいじゃ済まない事を理解しておくさね」


「逆回し蹴りした挙句、小太刀で串刺しにしてまだそれ以上の事があるの!?」

クリルはグルルルと唸り声をあげて、牙をのぞかせながら


「それ以上の事をのぞむなら、また覗けばいいさね」

仙人はブンブンと無言で首を横に振る。


「……ふんっ」

クリルはスッと立ち上がり、ドアに手を掛ける。


「さっさとシップ貼って、下へ来るさね」


「は、はい……」

パタンと音をたて、ドアは閉まった。


「いや~、若いって幸せなもんだね~。あのクリルが真っ赤っ赤だよ~」


「いや、仙人。これ以上の事をまたプレイできるとは、こりゃ覗くしかねえな~。ったく羨ましい限りだ」


「……いつからそこにいたお前ら?」

仙人の部屋のベッドの下、そこからウランと仙人の父親、鬼灯ほおずき 神治しんじが這い出てきたのだ。


「それよりどうする?さっそく実行か?なんならカメラも渡しておくか?」

そう言って神治はエプロンについたほこりを払い、どこからともなくデジタルカメラを取り出す。


「……ウラン、ちょっと葉巻はまき貸してくれ」


「おう?」

仙人はウランが吸っている葉巻を半ば強引に奪い、火のついた部分を神治の眉間に押し付けた。


「ノオォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!」

根性焼きをくらった神治は悲鳴を上げながら、床に倒れながらバタバタ悶える。

仙人は葉巻をウランに返し、


「余計な事してないでとっとと職場に戻れ!」

仙人はのたうちまわっている神治にさらに踏みつけストンピングを放つ。


「ぐふぉっ!?てめっ!仙人やりやがったな!?」

神治は倒れた状態から足払いをかけて、仙人を転ばせる。

そして本格的な殴り合いが始まりだし、


「おもしろくなってきたぁぁぁぁ!」

ウランはそれを見て、リュックから9mmパラベラム弾を使用する短機関銃、H&K MP5を取り出し、雄叫びをあげながら仙人と神治の格闘に乱入する。

狭い部屋で小さな小さな戦争が勃発ぼっぱつした。

「あら?神治さん、今までどこに行っていたの?」

コーヒーとココアの入っていたマグカップをさげながら、鬼灯ほおずき 時雨しぐれが神治へ話しかける。


「う~ん……葉巻というものを味わっていた」

眉間に火傷を負った神治はそう言って、カウンターの席に座る。


「そう♪」

時雨は神治に軟膏剤なんこうざいを手渡す。


「あぁ、ありがとう」

軟膏剤を受け取った神治はそのままテーブルに突っ伏した。


「???二人ともどうしたんですか?グッタリしちゃって……もっと元気だして貰わないと困りますよ♪」

時雨が言うように、神治はテーブルに突っ伏したまま動かず、仙人も奥のテーブルに座ったまま口から半透明で白い塊をふわふわと漂わせている。


「あらあら、本当にどうしたのかしら」


「う~ん、さっきいろいろあってはしゃぎ過ぎたとでも言えばいいのかな」

そう言いながら、ウランは時雨の肩に飛び乗る。


「ところでマダム。さっきから客と思われる人物が一人も見当たらないんだが~……」

時雨は苦笑しながら、


「あはは、この時間帯じかんたいは御客さんはめっきりなのよね~。いつもの事だから気にしないで♪」


「ほ~うほう」


「……仙人邪魔さね。テーブル拭けないさね」

クリルはテーブルに突っ伏している仙人の背中をポンポンと軽く叩く。


「あ~、悪い先に他のテーブル拭いといて」

仙人はぐったりしたまま動こうとしない。


「くぬぬぬぬ……」


「クリルちゃん。もうあがっていいわ♪」


「う?まだ早くないさね?」


「忙しくなったら呼ぶわ♪」


「了解、認識したさね」

クリルはエプロンを脱ぎ、髪留めをはずして首を軽く左右に振る。


「仙人もあがっていいわ♪」


「りょうか~い」

仙人は来ていたエプロンもそのままに、自分の部屋に戻って行った。


「さて、神治さん。薬塗ったら仕事再開ですよ♪」


「あれ?俺に休憩は?」


「う~ん、駄目♪」

「仙人……これは一体どうしたさね?」

クリルは仙人の部屋の惨状に思わず片手を口にあて、壁を指差す。


「あ~、そいつはそこにいる魔王に聞いてくれ」

クリルは小太刀を取り出し、ウランの頭を掴んで顔の前で小太刀を突きつけ、がっしりと抱きつく。


「どひぃぃぃ!?おいクリル!ちょっと待て!俺の話をちゃんと聞け~い!」


「論理的観点をまとめて6文字以内で答えるさね」


「6文字!?そんな」


「チェストォォォォォォ!!」

クリルは容赦なくウランを斬った。

鮮血が仙人の部屋に飛び散る。


「おい!?クリル!」


「悪い事をしたらお仕置きさね。これはどの世界でも共通さね」


「だからって真っ二つにする必要は……」

仙人はあまりの惨状に口をパクパクさせる。


「おぃクリルゥ!?てめえ何しちゃってくれてんの!?絶対殺す気で斬ったよね!?」


「え!?ウラン、お前さっきクリルに真っ二つにされたはずじゃ……」

クリルによって体を真っ二つにされたウランはいつの間にか体がくっついており、飛び散った鮮血も綺麗さっぱり消えていた。


「前にも言ったはずだが、俺は魔王だ。こんな事では俺は死なない。ぬははははははー!」

ウランはタバコを取り出し、それに火をつける。


「……」

仙人は何も言うことができず、ただ呆然としていた.


「ったく、真っ二つに切っても再生するって、まるでミミズさね」


「俺を虫けら扱いしてんじゃねえよ」


「蟲は偉大いだいさね……ってそんな事よりウラン、これを説明するさね。場合によっては焼き鳥になってもらうことを覚悟しておく事さね」


「ひぃぃぃ!クリル!やっぱお前は悪魔だ!悪魔の中の悪魔だ!」


「妖怪さね。そ・ん・な・こ・と・よ・り、これはどういう事さね?何で仙人の部屋の壁が穴だらけになってるさね?」


「いやぁ、仙人と神治がたわむれてたから、ちょっと俺も参加しようかな~と思って、」


「ふむふむ、それでそこのリュックに入っていた実銃をなんのためらいも無くぶっ放ったってことさね?」


「え~…あ~…ん~…ハイ」

クリルはその途端にウランの頭を鷲掴わしづかみにし、仙人に差し出す。


「ほい仙人、壁の弁償べんしょうの穴埋めのために、今日の夕食は焼き鳥さね。下の階行って時雨さんに調理してもらうさね」


「いや、それはさすがにマズイだろ。」


「う~ん、ならフライドチキンさね?」


「いや、たいして変わらないと思うが」


「状況が状況さね。ここに来て、三日も経たないうちにこれは悲惨すぎるさね」


「まぁたしかにこれはマズイが、ともかく謝れば許してもらえるだろ。もっとも弁償は避けられないけどな~」


「くぬぬ……ただでさえ窓ガラス割って大変な事になってんのに、このフクロウは余計な出費を……」

クリルはウランを投げ飛ばす。


「今後、家の中では銃は使わせないさね」


「できればもっとしっかり管理してほしいかな」


「了解、認識したさね」

クリルはウランを蹴り飛ばす。


「ブッフォォォォ!!!」

ウランはサッカーボールのように吹き飛ばされ、ガッシャァァァァンと大きな音をたてながら、テレビをぶっ壊した。


「あ……」


「あぅっ!?」

その夜、クリルは神治と時雨に土下座して謝った。

風呂場のドアの修理、仙人の部屋の壁の修理、同じくテレビの修理もとい買い替え、その他……。

合計30万2千円の損害を出したクリルは、それを月12回払いで給料から差し引く事になった。

そしてなぜか仙人までもが、それを返済するはめになったのであった。

あるビルの15階、2人の男と少女がいた。

男は身長が2mを越えており、顔中に傷がある。

男は腰にM1911 ガバメントを携えており、ソファーに腰をおろしている。

一方少女はピンクの髪をしており、棒付きのキャンディをくわえ、バスルームで湯船につかっていた。


「ねぇジーク~」

少女は遠くにも聞こえるように、大きな声で叫ぶ。


「そんな大きな声を出さなくても聞こえている」

ジークと呼ばれた男は銃を手入れしながら、適当な感じで答える。


「あらそう。聞きたいことはもちろんクリルと仙人って子の事なんだけどね~」


「だろうな。だが情報は教えない。貴様で調べろ」


「う~ジークの意地悪。いいもん私一人で調べて……プクプクプク……」

少女は湯船の中に顔を半分沈める。


「安心しろ、貴様以外手を出せないよう上に申告してある。よっぽどの馬鹿じゃない限り、貴様の獲物に手は出さんだろ」


「そう、ありがと。これで心置きなく戦えるわ」


「まずは相手を調べてからだがな」


「情報集めるのはいまいち苦手なのよ」


「そのための練習も兼ねている」


「そう。分かったわ」

少女はバスルームからあがり、黒のゴスロリを着る。

そして袋に包まれたバレットM82を担ぎ、


「それじゃぁ、情報というものを集めてくるわ」

そう言い残し、ベランダの窓から勢いよく飛び出し、そのまま闇夜に消えていった。


「思いついたらすぐ行動か……元気な事だ」

男は銃の手入れを終え、そのままソファーに横になった。



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