半日の終わり、襲い来る刺客
誤字脱字、意味不明な表現ありますがご了承ください。
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ク「前書き早々、いきなりなんだけど。前回出てきたFP―45リベレーターの解説をしたいと思うさね」
仙「ん?何それ?そんなの出てきたっけ・・・?」
ク「それは仙人が前回ほとんど出番がなかったから知らないだけさね、まぁ仙人は覚える必要ないから帰っても構わないさね」
仙「ちょっと待て、それは無いだろ!?」
ク「ミニマム脳みそはすっこんでろ!頭吹き飛ばされたいさね!?」
仙「・・・俺ってそういうキャラ設定なのね・・・。」
ク「さて、FP‐45リベレーターの解説だけど、あれは第二次世界大戦当時にアメリカが枢軸国にいたレジスタンス運動を支援する目的のために作られた銃さね。」
仙「ん~、俺はそんな銃聞いたことないな~。」
ク「だから解説してるんでしょう?」
仙「・・・はい」
ク「さっき私は銃と言ったけど、あれは弾丸を発射できるだけの鉄の塊と言ったところさね」
仙「それが銃がじゃないの!?」
ク「ところが有効射程や命中精度がそこいらのエアガンよりも酷いさね・・・20メートル届かない銃って本当に銃さね?」
仙「・・・」
ク「おまけにマガジンは無く、一発撃ってすぐリロード、そのリロードも銃口から棒で突いて空薬莢を取り出して・・・と、ともかく劣悪の極みといった銃さね」
仙「何でそんな銃ができたんだ?」
ク「うゅ?さっきも言ったとおり、あくまでレジスタンス支援だから性能は追求しなかったんだと思うさね、それに・・・」
仙「ん?」
ク「それにこの銃は質より量!といった感じで、性能無視で量産しまくって、11週間で100万丁も作りやがったさね。そんなんで下手に性能求めたら、暴発が関の山さね。このチートじみた生産スピードでこの性能なら納得・・さね?」
仙「かな?」
ク「まぁ私からは以上さね。これ以上は説明面倒くさいし、何より前書きでここまで書くと、本編見るのダルイと思うさね。もっと詳しく調べたいなら自分で調べることさね~。」
仙「中途半端に解説終わらす気かよ・・・」
ク「なんかこんな劣悪な銃で撃たれたと思うと、ムカムカしてきたさね」
仙「ん?」
ク「何でもないさね。じゃぁ本編も見てね~」
仙「お前今回出番あったか?」
幅が狭く、人と人とがすれ違うのがやっとという路地裏、おまけにゴミ箱やらエアコンの室外機やらで、ただでさえ狭い道幅が更に狭くなっている。
そんな狭い道をジュースの入った袋を持った少年が一人、懸命に駆け抜けて行く。
「はあはあはあ、一体どうなってんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
トランプ勝負で完敗し、罰ゲーム的な感じでジュースを買いにいかされた鬼灯 仙人。
ジュースを買って学校へ戻る途中、キャンディを口に銜えたバカでかい銃を持った少女に出会い、なんか訳のわからないまま追われている状況にある。
これもトランプに負けた罰ゲームで、一種のドッキリじゃね?的な感じで最初は思ってたのだが、見ず知らずの他人がそんな事するはずもないし、何よりドッキリで車や自販機をぶっ壊したりはしない。
頭の整理がまだできていないが、ここで止まったら確実に昇天することだけは分かる。
「何逃げてんのよ!?意味分かんない!」
そういう少女は何のためらいもなく、バレットM82をぶっ放す。放たれた弾丸は周りの物をすべて破壊する。
「意味分かんねえのはお前の方だぁぁ!街中でそんなもん撃ってんじゃねぇぇ!?っどわぁぁぁぁ!!」
仙人の目の前にあった、室外機が木端微塵に吹き飛ぶ。
「ひぃぃぃぃぃ。」
仙人は右へ左へ方向を変えながら、路地裏を疾走する。
「こんな狭い場所では撃ち辛いわね・・・。」
舌打ち混じりに少女は仙人を追っていく。
「お~うおうおう、派手にやってんな~。これじゃぁ葉月の連中も人目の処理に追いつかない訳だ~。」
仙人と少女の追いかけっこをビルの屋上からウランは楽しそうに見下ろしている。
「さてと。」
ウランはふわふわと、仙人の走っていった方向に飛んでいった。
「ちょこまか動いてんじゃないわよ!当たらないでしょう!」
「当たんねえように逃げてんだろがぁぁぁ!」
仙人は角を曲がる際に、ゴミ箱を蹴り飛ばしてまき散らした。
仙人はそれでも懸命に逃げる。
少女は走りながらリロードを行い、角を曲がった。
そのため前をあまり見ていなかったのか、目の前に転がっているゴミ箱に気付かず、激突し、そのまま一回転してしまう。
「うぇっ!?っちょ!!!」
コロコロと転がる少女は指をトリガーに掛けっ放しにしていたため、転んだ拍子に徹甲弾が轟音を響かせながら、あちらこちらへ飛散する。
「う~、こっそり始末しろって言われてるのに~。」
少女は寝転んだまま頬をぷく~と膨らませる。
「はぁはぁはぁ、うぉっ!?ウラン!!」
「よぉ~。こんな狭っ苦しい所でランニングとは精が出るね~。」
突如、仙人の横にふわふわと飛んできたウラン。
ウランはどこからともなく取り出したタバコをふかしながら、リュックサックから小太刀を取り出し、仙人に渡す。
「ほれ仙人、お前のバックに入れっぱなしだった小太刀だ。これで戦えるだろ。」
仙人は走りながら、小太刀を受け取る。
「お前!こんな小太刀でどうやってあの化け物を倒すんだよ!?」
「別に倒せとは言ってねえだろ。戦えると言ってるんだ。」
仙人は路地裏から、通りにでた。
普段なら車が行きかっているはずなのに今日は一台も車が走っていない。
仙人は道路を横断し、向かいの方へ走る。
仙人はポケットから携帯電話を取り出し、電話をかけようとする。
それを見たウランは軽く溜息をつく。
「・・・仙人、言っとくが警察に電話しても無駄だぜ・・・いや、携帯そのものが使えないと思うぞ。」
「なっ!?」
仙人が携帯に目をやると、携帯の画面が真っ黒になっていた。
「一体どういうことだよウラン!?」
仙人は道路を横断し、木々が生い茂った、道なき道を突っ走る。
「ここいら一帯には人払いの結界が張られている。つまり、一種の聖域となってんだわ。外部からの介入は普通の人間には無理だな。携帯なんてつながるわけもない。」
「け、結界・・・。」
そもそも妖力といった科学では解明できないような力をもった体質のおかげで命を狙われている。科学で解明できない力を使って人払いを行ったとなっても、もはや不思議ではない。
異常こそが正常。
仙人は改めて認識したのかもしれない。
仙人は後ろを確認すると、少女が銃を構えているのが見えた。
「やっば!」
仙人はすぐさま木の後ろに隠れ、しゃがみ込む。
「あれれ、隠れちゃった・・・。」
少女は片手でバレットを構える。
「おい、ウラン!何か打開策はないのか!?」
「打開策ね~。小太刀で戦えば?」
「だからそんなもんで、っ!?ノォォォォォォォォォ!!!!!!」
仙人が盾にしていた大きな桜の木が突然・・・破裂した。
その桜の木だけではない、周りにある全ての木が次々と穴が空いた直後、爆発し破裂する。
辺り一帯は桜が舞い散り、一面ピンク色になる。
「桜吹雪がとても綺麗ね~・・・。ねえ、いい加減本気だしてくれないかなクリル君?君が燐を倒したその実力、私にも見せて欲しいんだけどな~。」
仙人は匍匐前進をしながら、その場から退却する。
しかし仙人の目の前の地面に大きな穴が空いた。
「・・・舐めてるの?」
少女は仙人に銃を構えながら歩いてくる。
仙人が這いずりながら逃げようとするが、またも顔面すれすれの地面に着弾する。
その際、土が飛びはね、仙人の目に直撃する。
「ぐあぁぁぁぁ!!」
仙人は両目を押さえながら痛みに悶える。
「しょうがねぇ、少しばっか力貸してやる。」
見かねたウランはリュックサックから、手榴弾を取り出し、安全ピンを抜き少女に投げつけた。
「なっ!?」
少女はとっさに回避運動をとったが、爆発と同時に広範囲に鉄片をばらまかれては、回避のしようがない。
爆発と同時に少女は吹き飛ばされた。
「仙人、一旦退くぞ!」
「前と同様、これくらいじゃ死なないのね・・・。」
目をこすって土を取り除き、起き上がる仙人。
仙人は茂みの更に奥へ走っていく。
ウランはリュックサックを漁りながら、手榴弾を2本取り出す。
「さ~て、どこまで逃げられるかな。」
「・・・これ以上逃げて回っても仕方ない。俺も腹を括るさ。」
仙人は軽く息を吐き、ゆっくりと小太刀を抜刀した。
「ほ~う。」
ウランは楽しそうに口を歪める。
仙人は小太刀を抜刀した瞬間、まるで自分を包むかのように青白い魔方陣が出現し、仙人を纏う。
魔方陣は徐々に形を崩していき、オーラのように仙人の周りに漂う。
「これは!?」
「破邪の小太刀、邪気を取り払う刀だ。」
「邪気を取り払う・・・。」
仙人は小太刀を空にかざし、眺める。
すると不意に、
「見つけたぁ。」
茂みから少女が現れ、銃を構える。
少女は服がボロボロになっており、右頭部は血が流れており、赤黒く半乾きしている。
「百回聞くより、一回実感しろコラァ!」
ウランが唐突に叫び少女に手榴弾を投げる。
「ふん。」
少女は銃を地面に突き立て、それを軸に体を回転させ手榴弾を蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされた手榴弾は空中で爆発し、土煙を巻き上げる。
「うへ~、手榴弾を蹴り飛ばしやがった。」
ウランは感嘆の声をあげる。
「同じ手を何度もくらうほど、私は馬鹿じゃあ・・・っ!?」
少女は自分の首元に突きつけられている小太刀に気付き、振り返ってしまった。
仙人はいつの間にか少女の背後にまわり、小太刀を突き立てていたのだ。
「・・・。」
仙人は無言で、小太刀を横薙ぎに払った。
「ちぃぃぃ!」
少女は瞬時に銃を持ったまま、バク転の要領で回避する。
少女は辛うじて、斬撃を逃れるが、完全に交わしきれた訳ではなく、首から血煙が勢いよく飛び散る。
少女は首元を手で押さえながら、
「あらら、なかなかやるじゃない。これは確実に動脈切れたよ。」
「それでも余裕じゃねえか・・・ったく本当に化け物だな。」
「今の貴方に言われたくはないかな。」
少女はキャンディをペッと吐き捨て、銃を構える。
仙人は小太刀を構え、ウランはリュックから9mmパラベラム弾を使用する短機関銃、H&K MP5を取り出し、少女に構える。銃にはグレネードランチャー装備のおまけつきだ。
仙人は小太刀を構えたまま、少女は片手で狙いをつけたまま微動だにしない。
拮抗状態が生まれる。
「ふふふ、良い殺気。どこからでもかかってらっしゃい。」
「・・・。」
仙人は動かない。
「こないなら・・・こっちからいかせてもうわ!」
少女はバレットM82を仙人に向けて撃った。
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「・・・・なんで邪魔するのしら?ジーク。」
至極無表情な顔をしているが、口調から察するに相当苛立っている少女はジークと呼んだ、身長2m越えで、顔中傷だらけな大男を睨む。
男は少女の構えていた銃身を蹴りあげ、無理やり方向を変えたのだ。
放たれた弾丸は仙人のはるか頭上を飛んでいく。
「・・・ヘル、貴様は何をしている。」
男は静かな口調でヘルと呼んだ少女に尋ねる。
「何って、仕事してるのよ?」
「貴様のターゲットは?」
「クリルよ?それが何か?」
「・・・貴様はふざけているのか?貴様が相手しているのは鬼灯 仙人!クリルではない!」
「え?」
この反応に男は頭を抱えて、首を横に振る。
「いい加減、下調べというものを覚えろ。」
「うぅ・・・。」
「貴様が好き勝手暴れたおかげで、人払いにも限界が来ている。残念だが今日は退くぞ。」
「・・・は~い。」
少女はしぶしぶ頷くと以前、燐が扱っていた呪符と同じようなもを取り出し、それを周りにばらまく。
少女は小太刀を構えている仙人を見て笑みを浮かべ、
「今日は勝手に退かせてもらうわ。せっかく盛り上がってきたところ悪いわね、仙人君。」
少女は銃を背中に背負い、腕を振り下ろす。
「また会いましょう・・・次は皆殺しよ。」
呪符は二人を包みこみ、そして一気に呪符が破裂する。
その瞬間に二人はもう消えていた。
しばらく呆然としていた仙人だが、ふと我にかえる。
「何だったんだ・・・今の・・・。」
仙人は完全に脱力し、へなへなと地面にへたり込んだ。
ウランは周りに飛び散った空薬莢を拾い集めながら、
「四季の刺客さ~。」
「・・・」
ウランは少女が吐き捨てたキャンディを拾い上げ、土を払いのけながら
「でもまさか、こんなに早く襲撃してくるとはね~。小太刀は常に持っといた方が良いな。」
仙人は小太刀を鞘に納める。
すると仙人の周りに漂っていた青白いオーラのようなものは消える。
「お前らはいつもあんな奴らに襲われていたのか?」
ウランはキャンディを口にくわえながら、
「まぁな、今までは火の粉を払いのける程度のもんだったんだが、最近はクリルも弱りきっちまったから、逃げるしかなくなっちまった~。それに・・・」
「ん?」
「いやぁ、なんでもない。ともかく俺は喫茶店に戻るぞ。」
「ふ~ん、じゃぁ俺も帰りますか~・・・ってヤッバ!俺学校に戻らなきゃ!すっかり忘れてた!」
仙人は何らや一人でぶつぶつ言っているウランに
「ウラン、先帰っててくれ、俺はまだやることがある。」
仙人は近くに転がっているジュースの袋を持ち、走って学校に向かっていった。
「まさか、如月のジークが出てくるとは・・・こりゃクリルに言っとくべきか・・・。」
ウランはキャンディの棒をペッと吐き出し、ふわふわと喫茶店に戻って行った。
「どうぞ、ごゆっくり♪」
カチャと音をたてながら、マグカップに入ったコーヒーと温かいココアがテーブルに置かれた。
とある喫茶店には一組だけの男と少女がいた。
コーヒーに砂糖も何もいれずに一口すする男は身長が2mを越えており、顔中に傷がある。
一方両手で包むようにマグカップを持ち、フーフーと息を吹きかけている少女は首元に包帯を巻いており、すぐ横に袋に包まれた大きな細長いモノを置いている。
少女はそ~っとココアを口につけ、熱っ!と叫びながら、ココアをテーブルに置き、テーブルに突っ伏しながら男に話かける。
「ねえジーク?」
「ん?」
ジークと呼ばれた男はコーヒーを丁寧にテーブルに置く。
「私が相手してた仙人って子のことなんだけどさ~。あの子って人間?」
「・・・人間だ。」
それを聞いた少女はゆっくりとした動作で顔だけを上げ、
「ふふふ、首を斬られたのは久しぶりよ。信じられる?あの子、一瞬の隙をついて私の間合いに入ってきたの。魔族の奴らでもなかなかいないわ。」
少女はにこにこした表情で、体を伏せたまま腕だけを動かし、コーヒーに入れるための砂糖とミルクを自分のココアの中に入れ、スプーンでかき混ぜる。
「じゃあジークはクリルって子と戦ってたんでしょう?」
「あぁ。」
男はコーヒーをもう一口すする。
少女はおもしろそうに、
「ってことは~。結局それはどうなっちゃった訳?」
「・・・負けた。」
それを聞いた少女はクスクスと笑う。
「そう、それは重畳。私はまだその子とも相手できるってことね。」
「やる気満々だな。」
「ジークがそう言うんだもの、やる気を起こすなっていう方が無理よ。」
少女はココアを飲み、袋に包まれた大きな細長いモノを掴み立ち上がる。
「ふん。」
男は静かに笑うと、二人は喫茶店から出て行った。