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石の中の玉

あるマンションの入口の前、そこには数十人の武装した者たちがいた。

老若男女様々だが皆、頭に角が生えていたり、背中に羽があったりとどれも奇異な姿をしている。

周辺には、何か細工でもしたのか彼ら以外に誰もいない。

拳銃を片手に、タバコを吸っていた男がマンションの上の方を見上げながら、


「上の階の様子はどうだ?」

と、隣のスキンヘッドの男につぶやく。


「ふわぁ~、知ったことかよ。それより見ろよ、あそこの女…悪かねぇぜ」


「あぁ、確かに悪くねぇ…新入りかぁ?」

男は髭をさすりながらジロジロと視線の先の背中にカラスの羽のような翼が生えている黒髪の女を眺める。


「そういや、女だったな標的は……まだ間に合うか?」


「間に合うかよ…死体に一発ぶち込みたいってんなら話は別だがな。それに見た目は餓鬼がきだぞ?」


屍姦しかんに見た目がガキときた…狂った変態野郎にしかその味はわからねえぜ」


「ちげえねぇ」

男たちは周囲を気にせずゲラゲラと大きな声で笑う。

上の階ではしばらく銃声が響いていたが、やがておさまり辺りは再び静かになる。


「…終わったか?」


「あぁ、そうみてえだな…あとは死体の回収と…ん?」

男はそう言いながら、空を見上げ、目をしかめる。

直後、パリィィン!というガラスを砕く大きな音を立てながら、少女が飛び降りてきた。

ピンクの髪色をして、口にキャンディを咥えた少女、無季のヴァウムガルト・ヘルだ。彼女はマンションの15階から飛び降りてきたのだ。

男はあわててその場から退避する。

そのわずか数秒後には、ヘルがコンクリートを粉々に粉砕しながらさっきまで男がいた場所に着地した。

ヘルは、片方の腕には超巨大な銃、バレットM82を、そしてもう片方の腕には同じ組織のメンバー、水無月みなづきのヴァルプルギス・ドーラを抱えている。


「I can fly.人間諦めなければどんな事でも実現可能なものね~。正直逝っちゃったかと思った…あら?ドーラどうしたっちゃの?お~ぃ…」

ヘルの腕に抱かれている軍服の少女、ドーラはヘルの問いかけには答えず、白目になって口から泡をブクブク吹かせている。

落ちたときの衝撃か恐怖で完全に気絶したようだ。


「脆い子ね…」

ヘルはドーラを降ろし、正面の集団を見据えて口端を歪める。


「口だけ達者な素人ばかり、よくもまぁ集められたものね~。案山子かかしに見た目が禿げときた…狂った変態野郎にしかその味はわからないわ~」

ヘルは銃を勢いよくコッキングする。


「来なさいよ、全部受け止めてあげるわ」


「やっ、野郎…」

男はこめかみに血管を浮かばせると、銃をヘルに向けて放つ。

その銃声を皮切りに周りにいた集団も一斉にヘルに銃弾を飛ばした。


「はっはははははは!野郎ハチの巣だぜぇ!!!」

男は笑いながら弾が切れるまで撃ち続けた。

そして、銃声が止んだころには目の前には穴だらけの肉塊が一つ……のはずだったが、


「なんで…生きてやがる!?」

驚愕の声をもらす男の前には肉塊になっているどころか、傷一つついていないヘルが…。


「さぁ、私はただ立っていただけよ?」

ヘルはケロッとした調子でつぶやくが、着ている黒のゴスロリは銃弾の嵐を諸にうけてズタズタになっており、確かに弾丸は命中していた。

ヘルは片腕で露わになってしまった胸を隠しつつ、もう片方の腕で銃を構える。


「そんなおもちゃでチマチマ攻撃しないでそろそろ本気で来れば?じゃないと死ぬわよ?」

直後ヘルの目の前にいた男の体が腰から真っ二つに分断された。

そして続けざまに周りにいた数人の男女も同様に体が分断される。

ヘルの反撃が始まった。

ただひたすらに銃を乱射する男の頭部を吹き飛ばした。

銃を投げ捨て、腕が突然刃のようなものに変身して切りかかる女の腹に大きな風穴を開けた。

背後から接近してきた老婆を裏拳で頭蓋骨を粉砕させた。

途中で逃げ出す者にも容赦はしなかった。ヘルはただひたすらにてきを再起不能にしていった。

しかし、ヘルは突然動きを止めると銃をおろした。

残り一人なってその動きを止めた。


「一人飛び切り変なのが混じってると思っていたら…貴方…ふふ」

ヘルは目の前にいる男の顔をまじまじと見つめ、やがて会心の笑みを作る。

対して眼前にいる男は無言のまま目を静かに周りにどす黒く、全体がドロドロとした感じの魔法陣を形成する。

やがて魔法陣が徐々に男を包んでいき、しばらくすると男は巨大な骸骨に姿を変えて現れた。

長身とかそんなレベルの話ではない。

男は周りに立ち並ぶビル程に巨大化したのだ。


「一度会って戦ってみたいと思っていたわ!ガシャドクロ!!」

ヘルはその姿を見て、声を弾ませる。

一方、男は髑髏の姿になっても相変わらず静かにヘルを見据えている。


「ふふふ、様々な死者の怨念の結晶…それを私は狩らずにはいられない」

ヘルは銃の弾倉を投げ捨て、新たに弾を入れ替える。

ガシャドクロも拳を大きく振り上げる。

そして構えようとしたとき、


「ちょっと待つかなヘル!」

と、突然の一声にヘルはガクッと体勢を崩してしまう。

さっきまで気を失っていたドーラが目を覚ましたのだ。


「ヘルには悪いんだけど…この子は私が相手するかな!」


「え!?でも私だって戦いた…」


「私が相手するかな!」

ドーラはグワァっと目を見開き、ヘルを怯ませる。


「わっ、分かったわよ…貴方に任せたわよ…グスン」

ヘルは地面を蹴り上げると、そのままジャンプしてビルの屋上まで一気に上昇した。


「なんだったのかな、今日のドーラ…私泣きそう…うぅ」

ビルの屋上から半分涙目のヘルはしぶしぶと観戦することにした。


「…お久しぶりかな、ガシャドクロ。まさか貴方がやってくるとはね…この前の部下の借りを返してあげるかな」

ドーラは静かに二人のやり取りを見てくれていたガシャドクロにそう言うと、首元につけていた鉄十字を取り外して、それを強く握る。


「狂気の産物の出番かな」

直後ドーラの着ている軍服が突然変化した。

漆黒の軍服に逆卍の腕章を付け、髑髏の紋章がある軍帽をかぶった姿に変化したのだ。


「……狂気の列車の登場かな」











都合により、長~く休載します。

どうかご了承ください。

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