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竜虎相搏つ

誤字脱字、意味不明な表現がありますがご了承ください。

ク「今回はチヌークっていうヘリについての説明さね」


仙「一つ質問!それは日本にあるのですか?」


ク「前回出てきたあのヘリは一体どこの領空を飛んでましか仙人く~ん?それすら分からないようならいろいろとリセットさせてやるさね」


仙「いや、現実に日本でも使われてるのかなって…」


ク「うぃ、それも含めての説明さね。」


ク「まず最初にチヌークっていうのは愛称で本当はCHー47っていう名前さね。そしてこのヘリの外見的な特徴は前と後ろに回転翼、つまり大きいプロペラが二枚ついてるヘリさね。内部まで細かく説明したらすんごいマニアックかつ面倒くさいから省くさね」


仙「毎回、説明途中ですっ飛ばしてないか…?」


ク「何事も浅く広くさね。あとこのヘリは日本の自衛隊でも使われているさね。震災の時の救助活動に大きく貢献したさね」


仙「ふむ…」


ク「何でも物は使いようって事さね。何でも……」







左右に僵尸が列をなし、その間をクリルはゆっくりと歩いてくる。

クリルはヘルとりんがいる所の3Mくらいのところで立ち止まり、


「さてさて、仙人を帰しに貰いに来たつもりなんだけど…………仙人、貴方誘拐されておいて何一人楽しんでるさね?それ何のプレイさね?」

クリルは縄や手錠でギチギチに拘束され、ヘルに抱きつかれている仙人を見て、目尻をピクピク震わせ、拳を思い切り握り締めながら牙をむき出しにして叫んだ。

するとヘルはニヤニヤしながら、


「いや~ね、この子が是非束縛(そう)して欲しいって言うもんだからしてあげたのよ。人質にも少しくらい良い思いさせてあげないとかわいそうでしょう?」

と、何やらとんでもないでたらめを言い放ち、それを真に受けたクリルは雷に打たれたような反応を示し、体を左右にゾンビのようにふらつかせながら、


「そういう性癖しゅみだった…さね………」

クリルはぶつぶつ何かを呟きながらゆっくりと小太刀を出現させる。


「いやっちょっと待てクリル!お前は絶対誤解をしている!!だからその手に持っている小太刀をこちらにっ!?投げんなああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

クリルは問答無用で小太刀をこうべを差し出す形の仙人めがけて全力で投げつけた。

幻覚だろうか、仙人にはクリルの後ろに物凄い形相の鬼の姿が見える。


「……ちょっと~。私の仙人に何してるのよ~」


「……仙人がいつ誰の物になったさね?」


「なっ!?」

仙人は目の前の光景に息をのむ。クリルが仙人に投げつけた小太刀をヘルは手のひらで防いだのだ。

小太刀はヘルの手のひらを貫き、真っ赤な液体をポタポタと地面に流れ落とした。


「この小太刀…妖力でできているのね…私が触れると普通に斬れるわ……」

ヘルが呟いた直後、りんは指をパチンとならし、合図を出す。

整列していた僵尸きょうし達は一斉に銃を構え、クリルに向けて銃弾を浴びせる。


「っ!?」

仙人はクリルが撃たれていくのを見ることしかできなかった。


「仙人、慣れてないならあまり見ないほうがいいわ。トラウマになりたくないでしょう?」

明らかにオーバーキルと思える銃撃は、クリルの四肢をすべてズタズタに引き裂き、頭を吹き飛ばし、体をグチャグチャにした。


しばらくして銃撃がやむと、周囲には血煙りとともに紅く細かく飛び散った肉片が散乱していた。もとの原型などない。


「うっぷ!!」

クリルの体の破片を頬にくっ付けた仙人は、火薬と一緒に混じった妙な臭いと異様な光景を見て胃液を漏らす。


「だから見ない方がいいって言ったじゃないの~、あ~あ~」

ヘルは仙人の背中をやさしくさする。


「さすがに狛犬こまいぬの時より衝撃すぎた~?」


「ッ!?お前っ、狛犬って…」


「神社の屋根の上から見てたわよ~」

ヘルは口端を吊り上げ、にやけながら答えた。


「……にしても銃弾を正面から避けることなく諸に喰らうなんておかしいわね……まさか妖力が癒えてなかった……それとも…」

ヘルは一人でブツブツ呟いたと思った矢先、目を細めりん


りん、構えなさい…奴はまだ死んでないわよ」


「なんじゃと!?」

ウランと一緒になってタバコをふかしていた燐は肉塊を確認して僵尸達に銃を構えさせる。

よく見ると、周りに飛び散っていた血液は一カ所に自ら流れていき、きりが発生している。


「んっふふふふ…成程、たいした威力さね……でも傀儡かいらいの分際で私は倒せないさね」


蝙蝠こうもり…?」

声がする方向へ振り返ると、仙人の目の前にゆらゆらと一匹の蝙蝠が舞い降りてきて霧の中に消えていく。

やがて霧は目の前が見えなくなるくらい濃くなり、視界は狭まる。


「撃て!!」

燐の号令で再び銃声が響き渡る。銃弾の嵐が襲うが霧の奥からはうっすらと、しかし確実に人影が構成されていき、無数の蝙蝠が飛び立った次の瞬間、銃弾の嵐を掻い潜って無数の小太刀が飛んでくる。


「っ!?」

放たれたそれは盾を構えていた前列の僵尸を串刺しにした。

前列が血飛沫をあげながら崩れ落ちるのを皮切りに、霧の中からクリルが飛び出てきた。

銃弾を浴びせられまた腕が千切れるが、瞬時に腕が再生し、小太刀をクロスさせ、同時に払うようにして僵尸の首を刎ね落とす。

あっという間に僵尸の部隊は壊滅寸前に追いやられる。


「ウランっ!、あそこのよろしくさね!!」

クリルが両方の小太刀を垂直に降ろしながら叫ぶ。


「お~う、俺に任せときな~」

ウランは適当な口調で答えると同時に、リュックから空薬莢を掴み取る。

それをウランは、クリルが最初に撃たれた血溜りの中へほうり込み、魔方陣を出現させる。


「我、滅びて尚この世をさまよう者なり。汝再び我の下より蘇り矛となれ。我を残し先に眠ることを許さず」

ウランは唱えるように何かを呟くと、血溜まりに浸かっていた空薬莢が膨れ上がり、5人の中世ヨーロッパのものと思える鎧を着た、騎乗した兵士が出現した。

兵士は槍を突き出し前進していき、チヌークに乗り込みドアガンを握っていた僵尸を貫いた。

クリルは飛んでいた残り二機のヘリを小太刀を投げ、回転翼を粉砕して撃墜する。


「貴様あのヘリが一体どれだけの値段がすると思っとるのじゃぁあぁあぁあぁあ!?」

燐は「給料がぁぁ」とか訳の分からないことを叫びながら青龍刀を振り上げ、クリルに斬りかかる。


「私の知った事じゃないさね!!!」

クリルは頭に血が上ったりんに対して冷静にあしらい、青龍刀を小太刀でぶち壊して燐の喉元に小太刀を突きたてる。


「なにっ!?」


Checkmate(王手)さね。スナイパーもウランが丁度片付けたさね……てか術者がノコノコ前に現れるのは相変わらず関心しないさね、ふん!!」

クリルはりんの顔面を蹴り飛ばし、気絶させる。

倒れた燐を静かに見据え、クリルは喉元目がけて小太刀を振り下ろした。

しかし、


「あぅっ!?」

ズドンという大きな音と同時に突如、クリルの小太刀は二本とも砕け散った。

クリルは仙人に相変わらず抱きついているヘルに向き直る。


「確かに術者がノコノコ前線に出るのは関心しないわね…でも自分の部隊が全滅させられたら無理もないじゃない?」

ヘルは片手でバレットM82を構え、ゆっくりと立ち上がる。


「そうさね。私も人の事は言えないさね」

クリルは小太刀を新たに出現させ、十字に構える。


「仙人を帰してもらうさね」


「私を殺せたら好きにしなさい」


「是非に…さね」

クリルは地面を蹴りあげヘルに斬りかかる。


「動きがとても単調ね…」

ヘルは突っ込んできたクリルの顔に銃を突きつけ、撃った。

バチンッ!という音とともに、クリルの頭がカボチャが弾けるようにして吹き飛ぶ。


「あら?」

ヘルは間の抜けた声を出した。目の前には頭を無くしたクリルが。

しかし、それは倒れることなくヘルの首に小太刀をクロスし刎ね落とす。


「ふん」

蝙蝠こうもりがクリルの頭部に集まって行き、頭を構成する。

クリルは仙人に近づき、仙人の目の前でしゃがむ。


「おまえ……大丈夫なのか?」


「重症もいいとこさね。てか見てなかったさね?私何回ぶっ殺されたと思ってるさねまったく……」

クリルは仙人の縄や手錠を外そうと試みるが、仙人は目の前の起こった出来事に目を見開き、


「っ!?クリル後ろっ!!」


「う?」

遅かった。

マジックペンよりも大きな弾丸がクリルの体を貫き両断する。


「なにっ!?」

クリルはすぐさま体を再生させ、横に飛び退くように回避運動をとりながら小太刀を出現させ、ヘルに投げつける。


「フフフ」

ヘルは小太刀を腕をクロスさせ防ぐ。

ヘルは腕に小太刀が刺さったまま銃を構え、クリルに向けて銃弾を飛ばす。


「自己再世能力さね!?」

弾丸を避けつつ、クリルはヘルの回復に驚きそして呟く。


「今の貴方に言われたくないわよ。そもそもそんな軟弱なものじゃないし……その体つきと一緒で発想まで貧相ひんそうね」

ヘルは両手を広げ、やれやれと言わんばかりに首を横に振る。


(それ言っちゃ駄目!!)

仙人は心の中でツッコムがそんな心の叫びはヘルには当然届かない訳で、ヘルは更に追い打ちをかける。


「だから貴方は貧乳ペタンコなのよ!!!」


(………遂に言っちゃった……禁句…)

仙人は芋虫のように這いながら、肩をピクピクさせているクリルから離れる。

ウランも知ってか知らずか、上空高く旋回せんかいし、そのまま消えていった。


「絶対に貴方にだけは言われたくなかったさね………」


「あら?脱いだら貴方とは比べ物にならないわよ?今確認して絶望してみる?」


「絶対ぶっ殺してやるさね!!」

クリルはヘルの周りに魔方陣を出現させ、そこから小太刀を飛び出させヘルの体を串刺しにする。


「がはっ!?」

ヘルの体中に小太刀が突き刺さる。


「これが鉄の処女アイアンメイデンていう異名の由来……成程」

しかしヘルは倒れることもなく平然と銃を構える。


「確か拷問道具に同じ名前のものがあったけど、本当にそのまんまね。全身穴だらけよ……でも……それだけ?」

ヘルは刺さっている小太刀をすべて払い、残弾があるにも関わらずリロードを行う。


出来損ないの吸血鬼ペタンコめ、この私が引導を渡してあげるわ」


「死亡フラグさね!」

クリルは一直線にヘルの懐深くまで突っ込む。


猪突猛進ちょとつもうしんね」

ヘルは後ろへ下がりながら、クリルの頭へ銃弾を放った。

今までとは少し違った発砲音。クリルは弾丸を喰らい左胸から肩にかけて大きな風穴があく。


「っ!?」

クリルはそれを無視してヘルの喉元まで小太刀を突き立てるが途中が動きが止まってしまう。


「あら、どうしたのかしら?再生して私のここを斬らないの?ほらここよ」

ヘルは喉を手でツンツンと指でつつきながらクリルの頬を軽く撫でる。


「ふふふ、殺したくとも動けない。対吸血鬼用の銀弾をまともに喰らえば再生したくともできない。ふふふ…キャハハハハハハ!!!!!!」

ヘルは固まっているクリルを蹴飛ばし、高らかに笑う。


「これが無季むき匹敵ひってきする実力を誇る化け物!?キャハハまるでお話にならない!所詮私にかなうものではなかったわ!!」

ヘルは倒れているクリルに向けて更に弾丸を放つ。

そして5人の鎧を着た兵士にも銃弾を撃ち込み消滅させる。


「私の名はヴァウムガルト・ヘル。我こそ死者を支配する唯一の者なり!!キャハハハハハ!!!」

クリルの体はシューと音をたてドロドロに溶けていきやがて消滅した。


「あら?……せめてつめだけは貰っときたかったんだけど…」

ヘルは何も無くなった地面を見据え、残念そうに呟く。


「まっ、仕方ないか」

ヘルは気絶しているりんのもとへ行き、背中をたたく。


「ほら起きなさいりん。帰るわよ」

しかし、燐は起きない。


「あらら、困ったわね~……ん?」

ヘルはある異変に気付き、仙人の方へ振り返る。


「仙人、どうやってそれ解いたの?しかも手錠まで」

ヘルはリロードを行い、その場で銃を構える。

そこには拘束具をすべて外し、小太刀を握っている仙人が。


「さぁな、どうやって解いたんだろうな」

仙人は小太刀を空高く放り投げる。


「???」

ヘルはこの行動の意味が分からなかった。

しかしすぐにそれは理解することになる。

空中高く舞い上がった小太刀が仙人の元へ落ちていき、その小太刀をクリル(・・・)がキャッチしてそれを仙人の心臓に貫いたのだ。


「対吸血鬼用の専用弾ね~。確かに私が『完璧な吸血鬼』なら確実に消滅してたさね」

クリルは小太刀を抜き、それを口の中に入れる。


「っ!?貴方は確かに私が消滅させたはずっ!?一体どうやって…」

ヘルはクリルに再び銀弾を放つ。

しかしクリルは瞬時に間合いに入っていきヘルの銃を蹴りあげる。


「トリックさね」

クリルはヘルの腕を銃ごと小太刀でを両断した。


「クッ!?」

ヘルは後ろにバックし距離をとる。


「トリックね……成程、少なくとも今の装備では貴方を殺しきれないことは分かったわ」

ヘルは腕を再生させ、倒れている燐を抱きかかえ呪符じゅふを空中にばら撒く。


「逃げるさね?」


「そうさせてもらうわ。本当はぶっ殺してあげたいんだけど……せいぜい仙人の妖力を蓄えておくことね」

そう言った直後、呪符がヘル達を包みこみ消えた。


「………はあぁぁぁぁ~」

クリルはヘルがいなくなった事を完全に確認して地面に倒れ込む。


「かなりしんどかったさね。まさかあんな物まで使ってくるなんて下手すりゃ本当に消滅してるところだったさね」

クリルはコロコロ転がりながら仙人の足元にぶつかる。


「……やっぱりお前は吸血鬼なのか?」


「そうさね~、たしかに妖怪の部類なら吸血鬼に入ると思うさね」


「思う?」


「うぃ、思うさね。あくまで思うさね…」

そう言ってクリルは話を終わらせ、仙人の膝を軽くたたく。


「動けなくなったさね……おんぶさね!」


「はい?」


「あちこち撃たれまくって疲労困憊ひろうこんぱいさね。帰って寝るさね」


「…あぁそうだな」

元はと言えばクリルが自分を助けるために来てくれたのだ。

そう考えた仙人はそれくらいの我儘わがままを受け入れる義務があると思い、クリルをおぶった。

触れた肌にはしっかりとした感触があり、体温が伝わる。


「足はしっかりとついてるさね。頭の上に輪っかも無いさね」

クリルは仙人が確認するようにチラチラ見てきたので苦笑いを浮かべながら答えた。


「いや、お前の場合足どころかいろんなところがぶっ飛んだような気がしたから……」


「フフそれもそうさね………」

クリルは顔を仙人の肩に乗せ、寝息を立て始める。


「………」

仙人はそれを見て、何も言わずに静かに家に戻っていった。

「…ん?ここは?」


「あら?やっと起きたの。お祭りはとっくに終わったわよ?」


「…すまぬ……してあ奴らをどうしたのじゃ?」


「どうもしてないわよ……銀弾が通用しないうえに、武器えものまでぶっ壊される始末……そこらの妖怪にすら殺されそうになってた二人が私を退けたのよまったく……」


「……」


「明日からまた面白くなるわよ~」


「楽しそうじゃな……」


「何にたいしても楽しまなきゃね」


「……」


「あの二人の存在がいずれこの組織を大きく変える……貴方も今のうちにどちらにつくか考えたほうがいいわよ……どちらかにね……」


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