魔を採りこむ者と除く者
誤字脱字、意味不明な表現ありますがご了承ください。
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ク「毎度毎度の事だけど、今回も作者はバタバタしたものがあって、ちゃんと文章確認をしていないから本当に誤字脱字がひどい事になってるかもしれないさね」
仙「そんな事を伝えるくらいなら、現在進行形で確認をとったほうが良いと思うんだが……」
ク「そう思うのも山々だけど仙人、ゲシュタルト崩壊って言葉知ってるさね?」
仙「ゲシュタルト崩壊???」
ク「は~、やっぱりそのミニマム脳みそじゃこの言葉の意味は理解できないさね」
仙「悪かったな!ミニマム脳みそで!!!」
ク「そんなウマシカ野郎な仙人のためにも教えてあげるさね」
仙「ウマシカって……」
ク「簡単に説明すると、作業をしていくうちに、『ん?この漢字の意味はなんだっけ?』とか些細な疑問を抱き、それを何時間も見つめてると『ん?これは字なのか?』って、文字そのものも認識できなくなり、疑心暗鬼が芽生え、最終的に髪を掻き毟りながら、周りにある物を手当たり次第にぶん投げてしまう恐ろしい症状の事さね!」
仙「ゲシュタルト崩壊怖っ!!!」
ク「……とまぁ辞書を開けば一発解決しそうな些細な事に、何時間も苦しめられた作者はもうアップアップさね……あとゲシュタルト崩壊のちゃんとした意味を知りたいなら辞書を開くことさね」
仙「それじゃぁ今まで説明した意味ないじゃん、それ……」
ク「あくまで私が言ったのは例えの話さね!間違ってもこんな事を他の人に話したら次の日からウマシカ野郎扱いさね!」
仙「……」
ク「読者も作者みたいなウマシカ野郎になりたくなかったら、辞書ですぐ調べることをオススメするさね」
仙「……で、結局クリルは何を伝えたい?」
ク「うゅ?誤字脱字は見逃してほしいという言い訳さね」
仙「……」
花の盛りが過ぎた4月下旬の休日の午後、左目に仮面のような眼帯をつけたクリルは、喫茶店の近くにある駄菓子屋に来ていた。
クリルは、商品が置かれていた棚と睨めっこをしている最中である。
「む!カリカリ梅が無いさね!?ここの棚だけすっからかんさね!」
うぅ~、と呻き声をあげながら半泣きになるクリル。
クリルはよっぽど悲しかったのだろうか、その場でペタリとへたり込んでしまう。
「ごめんね~。最近キャンディとカリカリ梅の消費が激しすぎて入荷が間に合わないのよ」
そう言いながらクリルの前に現れたのは、この駄菓子屋を切り盛りするボス、通称『駄菓子屋のおばちゃん』。推定体重は優に80kgを越えているであろう見事な体格、パンチパーマで鼻のすぐ右上にはとても大きく立体的なホクロ。
なんだか妙に神々しいオーラを放っている駄菓子屋のおばちゃんは、クリルに牛乳の入ったビンを渡す。
「ほらオマケよ、そんな落ち込まない。明日には入荷しておくから」
「うぅ~」
クリルは、駄菓子屋のおばちゃんから何も買っていないにも関わらず貰ったオマケの牛乳をチビチビ飲みだす。
そしてそれと同じくらいのタイミングで
「え!キャンディが無い!?ここの棚だけすっからかんじゃないのぉ~!」
うぅ~と呻き声をあげながら半泣きになる少女。
少女はピンクの髪をしており身長は低く、それと反比例するかのように、背中には袋に包まれた大きな細長いモノを背負っている
少女はよっぽど悲しかったのだろうか、その場でペタリとへたり込んでしまう。
「ごめんね~。最近カリカリ梅とキャンディの消費が激しすぎて入荷が間に合わないのよ」
妙に神々しいオーラを放つ駄菓子屋のおばちゃんは、少女にコーヒー牛乳の入ったビンを渡す。
「ほらオマケよ、そんな落ち込まない。明日には入荷しておくから」
「うぅ~」
少女は、駄菓子屋のおばちゃんから何も買っていないのにも関わらず貰ったオマケのコーヒー牛乳をチビチビ飲みだす。
クリルは牛乳を3分の1ほど飲んだところで手を休め、目の前にあるお菓子を小さなカゴに適当に入れて、
「無いものはしょうがないさね。今日はこれ買って帰るさね~」
「あいよ、全部で1,870円ね」
「ういぁ~」
クリルは駄菓子屋を立ち去ろうとする。
すると今までチビチビとコーヒー牛乳を飲んでいた少女手を休め、
「飲みながら歩くのはあまり関心しないかな~」
「う?行儀悪いさね?」
「そういう事を言っているのではないの。たいがいの人間は飲み終わった後、それをそこらへんに投げ捨てるわ。もし貴方もそうする気なら、ここで飲んでから行きなさい」
クリルは少しの間黙り、それから
「別にポイ捨てはするつもり無いさね。安心するさね」
クリルは牛乳をチビチビ飲みながら、駄菓子屋から立ち去った。
「ふ~ん……」
少女は立ち去っていくクリルをしばし見て、それから小さなカゴにマシュマロを大量に詰め込み、駄菓子屋のおばちゃんに差し出す。
「あいよ、全部で443円ね」
「……私一人で食べきれるかしら……」
少女は小銭と空のビンを駄菓子屋のおばちゃんに渡し、その場から立ち去って行った。
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一方、休日の補習を終え、ウランと帰宅途中の仙人の前にはグルルルと、クリルのような唸り声を放ち、身構えている一匹の犬が。
白の毛並みに、渦を巻いたような勾玉のような眉。なんだか獅子みたいな変わった犬だ。
仙人は今ちょっとした危機に晒されていた。
「お~う。これはマズイ状況ってやつか、う~ん?」
そう言いながら葉巻をふかしているのは、ウラン。
仙人は片手で頭を軽く掻きながら、
「だが落ち着いて見れば、クリルの方が数段獣じみて見える」
ウランはケタケタと笑いながら
「獣か~。たしかにあいつは獰猛な性格だ。機嫌が悪い時にうっかり近づくと、噛み千切られるぞ~……んで、お前はこの犬と知り合いか?」
「犬に知り合いも、喧嘩売られるよう事もした覚えは無い」
「そうかい……んでどうする?」
「そんな事は決まっている」
そう言った途端、仙人は踵を返して全速力で走り出す。
「ほほ~う、お決まりの展開」
ウランはふわふわと飛びながら、仙人を追っていく。
仙人は路地を曲がり、そのまま全力疾走する。
いまどき犬なんかに追いかけられる高校生はなかなかいないだろう。
道行く人々は仙人を見て、笑いながら携帯で写真を撮っている学生もいれば、奇異な目を向け、わが子に「ああいう人間になっちゃいけませんよ」と、仙人を反面教師扱いするマダム達など多数いた。
「平日は四季の連中と追いかけっこ。そして休日はどこいらの犬との追いかけっこときた…これだから仙人は~」
「俺だってこんな事はしたかねえよ!」
「事実こうなってんだがな~ははは」
「くぅぅ、言いたい事いいやがって」
仙人は石階段を上り、神社の境内に入って行った。
神社は古びているが、それ故に神々しくも見える神社だった。
「はぁはぁはぁ、ッ!?本当にしつこい犬だな!」
鳥居の方を忌々しく振りかえる仙人。
犬はゆっくりと境内に入っていき、仙人を見据える。
するとウランがキョロキョロとあたりを見回し、
「ん?こいつぁ~……」
ウランはリュックから9mmパラベラム弾を使用する短機関銃、H&K MP5を取り出す。
「ん?」
「仙人、お前小太刀持ってるか?」
「あ?そりゃ持ってるけど……まさか?」
「そのまさかさ。構えろ」
「ッ!!」
仙人はとっさに鞄から小太刀を取り出す。
「……やれやれ、気付かれたか」
「やっぱりとは思ったけど、やっぱり喋るのか……」
仙人は小太刀を抜刀して、構える。
付け焼刃とはいえ、クリルから戦い方を学んだせいか、仙人の構えはしっかりとしたものになりつつある。
犬は周りに魔方陣を出現させる。
そしてそれが犬を包みこみ、辺りに白い煙のようなものが立ち込める。
「っ!?あれ?女!?」
「あれが本来の姿ってやつだ」
仙人の目の前に現れたのは、片手で日本刀を担ぎ、もう片方の手で髪を掻き上げている『巫女』だ。
純白と言ってもいいほど肌は白く、艶のある金髪、ところどころメッシュのように黒髪が混じっている。
同じ女性であってもチビでペッタンコなクリルと天と地程の差があるくらい、長身でナイスバディの持ち主であった。
女性は鞘に収まった日本刀をウランに向け、
「おい、そこのフクロウ。これが本来の姿ではない。これも本来の姿なのさ。単細胞の分際で知ったような口をきくんじゃないよ」
この一言にウランは銃を撃ちながら、
「誰が単細胞だテメエエエェェ!!!それに俺はフクロウでもねえええぇぇ!!!」
と叫ぶ。
銃にはサイレンサーが装備されており、弾丸はトゥトゥトゥと小さな音を立てながら巫女のすぐ手前に着弾し、周りに土を飛び散らす。
巫女はやる気のなさそうな気だるそうな調子の声で
「ふ~、私の名前はテメエじゃない、阿形だ。そ・れ・と・だ。神聖な場所に鉛弾をぶち込むんじゃないよ。万が一壊したらどうしてくれんのさ?」
「直せば問題ない!」
「いや、やめてウラン!神社の修理とか洒落にならないから!高校生と少女一人でどうにかできる金額じゃないから!」
「くぬぅぅ」
仙人は暴走寸前のウランを羽交い締めにして押さえつける。
ウランを押さえながら仙人は、
「名前は阿形だったな……一体俺たちに何の用だ?何が目的だ?」
「う~ん、目的ね~。強いて言うなら治安維持。何の用かといえば、そこの者を駆逐する妖怪退治ってとこかな」
「はぁ!?妖怪退治ぃ!?なら戦う相手が違うだろ!?俺は人間だぞ!?」
「ん?あんたは何か勘違いしてやいないかぃ?別にあんたに危害を加えるつもりはないよ」
「???」
「私が用があんのは、そこのフクロウさ」
「うん?俺か?」
(あ、今フクロウって認めた……)
心の中で仙人は思ったが、口にだすと体の風通しがよくなりそうなので止めた。
「最近この町で、妖怪による事件が多発してるっていうから調査しに来たんだけどね~。まさか人間に寄生して妖力を吸い取ってるとは……」
「ちょちょちょ!!!ちょっと待て!!!それは俺じゃねえ!!!そいつぁ~」
「はいはい、そういう事は三枚おろしになって貰ってからゆっくりと聞いてあげるから」
阿形は柄に手をかけ、構える。
「おぉぉぉぉう!?まったく話し合いの余地がねえぞぉ!?仙人なんとかしろぉぉい!!」
「なんとかって……」
仙人は小太刀を抜き、青白い魔方陣を出現させ構える。
魔方陣は徐々に形を崩していき、オーラのように仙人の周りに漂う。
「ん?せっかく見逃してやろうって言ってるのに、何考えてんだか……」
「今ここでウランを見捨てると、別の誰かさんに殺されそうなんでね」
「ふん」
阿形はつまらなそうに息を吐き、ゆっくりと鞘から刀身を抜く。
仙人は相手の出方を窺うため、その場で腰を低く下ろす。
すると不意に
「飛鳥時代に日本にやって来て以来、魔除けの狗として魔族から畏れられた狛狗。まさかこんな所でお目にかかれるとは思ってもなかったさね」
「くっクリル!?どうしてお前が此処にいるんだ?お菓子買いに行ったんじゃなかったのか?」
仙人が声のした方向に目を向けると、そこには桜の木の幹と、枝の重なっている部分に腰を下ろし、枝の上に足を伸ばしてビンに入った水あめを舐めて……もとい割り箸でしゃぶっているクリルがいた。
「忘れたさね仙人?私は仙人のボディガードさね。もっとも、そこの巫女さんがウランだけ標的にしてくれるって言ってるから、それに甘んじて帰ってれば私も余計な妖力使わなくて済んだのに、まったく面倒さね」
「そのセリフから察するに仙人が帰ったら、確実に俺を見捨てるつもりだったよな?だったよね!?」
「私はウランのボディガードじゃないさね~」
「おぉう!?それ本気で言ってるのか?」
「本気か冗談かはお任せするさね。」
クリルは割り箸で水あめを絡ませ、それを口に運ぶ。
「……顔中ベトベトした液体つけたお前がボディガードって……改めて不安になってきた」
「これ食べづらいさね……でも甘いさね♡」
本人は気に入っているようだが、クリルは水あめを口に運ぶたびに、顔面に盛大にひっかけ、ベトベトになっている。
どうやらまともに食べれないようだ。
「……境内には結界を貼っておいたのだが、一体どこから……」
阿形はクリルの出現に地味に驚いたようで、視線を仙人からクリルにうつした。
「さ~、どこからだと思うさね?」
クリルはニヤニヤした表情で水あめをペロペロ舐める。
「あ~、はいはい。別にもうどこからでも構わないよ。んで何の用だぃ?」
クリルはニヤニヤした表情のままで、
「強いて言うなら治安維持、何の用かといえば仙人を襲う狛犬退治さね」
そこまで言ってクリルは木の上で立とうとするのだが、立ち上がった瞬間にメキメキと枝から変な音が聞こえ、最後にはバキッ!!という音とともにクリルは、高さ5Mはある木の上から落ち、頭を思いっきり打ちつけた。
グチャッ!!!
ゴキッ!!!!
「イっタァァァァァァァァァァァ☆×○※」
首が変な音とともにおかしな方向へ曲がり、断末魔のような叫びが響いた。
「おい!?痛いで済むレベルじゃない音が聞こえてきたぞ!?」
仙人は両手で頭を押さえて蹲っているクリルの元へ駆け寄る。
仙人はクリルの肩に手をあて、
「おい、大丈夫か?」
と声をかけるが、クリルは両手で頭を押さえて蹲ったままである。
「あぅ……これで大丈夫に見えるようなら、火星まで吹き飛ばしてあげるさね」
クリルは首を押さえ、ゴキィィ!!!と無理やり方向を元に戻す。
その際、文字通りパックリ割れ、血が噴出していたクリルの頭は瞬時に再生していった。
「あぅ、せっかくの水あめが台無しさね。とりゃぁ!」
「ぼふっ!?」
クリルは小太刀を出現させ、それを思いっきり仙人の心臓を突き刺す。
そして小太刀を抜き、クリルはそれを口にくわえる。
「さてと仙人、危ないから少し離れてるさね……そして見るさね。今貴方が無謀にも戦おうとした化け物と貴方が妖力を与えている化け物との闘争を」
「……」
「その小太刀……あんた妖力を吸い取ったな?」
阿形はブワァ!!っと髪を本当に逆立て、日本刀を上段に構える。
「私にとって妖力は除くものでは無く、採りいれるものさね」
クリルは小太刀を二本出現させ、十字に構える。
「こいっ!!!」
妖怪と狛犬、相容れぬ両者は休日の町のど真ん中で衝突した。