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【改訂版】美良乃のモンスター交流日記 ~墓石の下には人外が集まるバーがありました~  作者: 柏井猫好
本編

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75. 12月18日 想定外の男、塁毒規則三亭顎【2】

 購入した車を美良乃の自宅のガレージに駐めた後、二人がオマハに到着したのは午後二時と、充分に買い物や食事を楽しめる時刻だった。


 初めてルイとデートした際は日本食レストランに行ったが、今回はネブラスカ州でも珍しく、牛以外の肉を使ったハンバーガーが食べられるレストランに向かった。すでに昼食の忙しい時間帯は終わったのか、店内に客の姿はまばらだ。


「凄い、色々な肉があるんだね」


 美良乃はメニューを見て目を白黒させた。まず、どんなバーガーにするかを選び、次にパティの肉を選べるらしい。ヘラジカ、ダチョウ、猪、バッファロー、牛肉、鶏肉、大豆ミートと種類が豊富だ。


 美良乃はヘラジカ肉のアボカドチーズバーガーにした。

 バンズとパティを受け取ったら、サラダバーのような所で自分でトッピングを自由に取ることができた。トマト、ピクルス、紫玉ねぎ、ブラックオリーブをパティの上に載せて、ケチャップとマスタードをかけた。ついでにランチドレッシングという、バターミルクを使った白いドレッシングも別添えにしておく。

 アメリカでは非常に人気のあるドレッシングだが、日本のスーパーでは見かけたことがない。フレンチドレッシングに近い見た目をしているだろうか。アメリカではこれを生野菜にかけたり、フライドポテトにつけたりして食べるのだ。


 ルイは猪肉のチーズバーガーにしたようだ。彼も色々とトッピングの野菜を取ってきて、ナイフで上品にハンバーガーを二つに切って食べやすいようにしている。


「そのままガブッといかないんだね。流石伯爵」


「あまり大きく口を開くと、牙が見えてしまうからね。昔は牙が露出しようものなら『吸血鬼だ!』と大騒ぎになったから、気を付けていたんだ。そうしているうちに、ひと口大に切らないと食べ辛くなってしまってね」


「へえ……。現代だと牙が見えても、『コスプレしてるんですか?』で済まされそうだけど、別の意味で注目を浴びそうだね」


 美良乃の呟きに、ルイの瞳がキラリと輝いた。


「ふむ。注目……。それもいいかもしれないねっ!」


 しまった。どうやら変なヒントを与えてしまったらしい。彼は目立つのが大好きなナルシストだったのを忘れていた。注目を集めるのは好きにしたらいいが、是非とも美良乃が横にいない時にやってほしい。


 美良乃はそのまま手でつかんで大口を開けて食べたが、手と口の周りがベトベトになってしまった。

 ルイはくすぐったいような笑顔を浮かべながら、甲斐甲斐しく美良乃の口をナプキンで拭ってくる。まるで親に世話を焼かれる幼子のようで、少々恥ずかしい思いをした。


「さっきはその、車を買ってくれてありがとう」


「こちらこそ、贈らせてくれてありがとう。君が何処へ行くにも僕の贈った車に乗って移動するのだと思うと、とても嬉しいよ」


「ルイにも何か素敵なものを贈りたいんだけど、見つかるといいな。モンスターショーの時は結局何も贈れなかったし」


「僕は君がくれるものなら、何でも嬉しいよ。食事が終わったら、先ずは君の服を見に行こう」


「うん。あ、そうだ。この近くに輸入雑貨の店があったよね。モールに行く前にあそこに寄りたいんだけど、いいかな?」


「もちろんだともっ!」


 二人はゆっくり食事を終えると、すぐ近くにある輸入品店へ向かった。

 家具から雑貨まで、他の店ではあまり見かけないようなエキゾチックなデザインや、シンプルながらもお洒落なデザインのものなど色々と取り揃えているので、民族衣装やエスニックなデザインが大好きな美良乃にとっては天国のようなところである。


「うわああ! 綺麗……」


 美良乃は南アジアを彷彿とさせるアクセサリーケースを手に取った。明るい黄色の小箱に小さな鏡の破片やビーズで装飾が施されたもので、見るだけで気分が高揚する。

 その他にも精密な刺繍が施されたクッションカバー、孔雀の羽を彷彿とさせるステンドグラスの壁飾りなどが目を愉しませる。


 いつになく上機嫌で店内をそわそわと歩き回る美良乃に、ルイは目尻を下げた。


「ふふっ。目がキラキラ輝いて、何て可愛らしいんだろう。君はこういった意匠のものが好きなのかい? そういえば、着ている服のデザインもどこか異国風なものが多い気がするね」


「そうなの。もしわたしがお金持ちで、独り暮らしをするようになったら、ここで家具とか寝具とか揃えたいもの」


「そうなのか。それはいいことを聞いた」


 ルイがぼそっと小さく零したが、美良乃にはよく聞き取れなかった。


「え? 何か言った?」

「いいや、何でもないよ。おや、この石鹸はいい匂いがするね」

「本当だ。ちょっと檜の匂いに似ているかも」


 ルイはその石鹸とお揃いのキャンドルも気に入ったようで、自宅用にと購入していた。美良乃は自分用に綺麗な刺繍が入った北アフリカのスリッパを購入して店を後にした。


 次に二人が向かったのはショッピングモールだった。二階建ての内部はクリスマスのデコレーションが華やかだ。店内のBGMもクリスマスソングだった。


「さて、君はどのブランドが好きなのだろう?」


「わたしが普段着ているのは、日本から持ってきたものが殆どなんだよね。実はあまり店で買わないの。アプリとか通販サイトで買っているから」


 美良乃は服の趣味が少し特殊なので、その辺の店で売っているものだとピンとこないことが多い。通販は便利なのだが、何せニッカ―はネブラスカ州というド田舎の中でも小か中程度の規模の町なので、国内のサイトから購入しても、商品が到着するまで軽く十日はかかるのが玉に瑕だ。


 二人は軽く店内を歩き回った。途中アメリカの先住民であるネイティブアメリカンのアクセサリーを売っている店で立ち止まって、食い入るようにターコイズとシルバーのバングルに見入ったが、あまりにも高価なので購入は諦めた。

 ルイがまたプレゼントしようとしてきたので全力で止めて、足早に歩き出す。

中途半端なところですが、長くなるので一旦ここで区切ります。次回に続きます。

誤字脱字は見つけ次第修正していきます。

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