まさか転生?
俗にいう転生とはどんなものだろうか…
私はよくそんなことを考えていた。なぜそんな不毛なことを考えているかって?暇だからだ。今はテストの監督をやっていて、凄く暇なのだ。
カンニングをするような子供たちでもないからそんなに気合を入れてみる必要もない。
そこで、長年愛読している転生物の小説について考えているという訳だ。
話を戻そう。
転生とは自分が赤ちゃんとして別の人物に生まれ変わるというものだ。私の好きな「ロストキングダム」というアニメ化された小説も、主人公が転生し失われた王国を復活させるという物語だ。
私はそういう「ありえない」ようなことが起こる小説が大好きだ。
そしてひそかに転生するならばとびっきり可愛い女性になってみたいと思っている。
具体的にはぼんきゅっぼんで、誰もが見とれてしまうような美貌と高い知性、武力もあればいいなって思っている。
まあそんなこと起きるわけもなく、だらだらと塾講師をしているわけだ。
そんな私の勤める塾は田舎の塾で、生徒数もそんなにいない。全員で30人くらいだ。今年受験の生徒が多く、テストにも気合が入っている。
「ああ、みんな無事に受かるといいなあ」
自分のような向上心のかけらもないような大人にならないためにも彼らにはぜひ合格してほしいものだ。
テストが終わり、生徒が全員帰宅した。静かな教室は思ったよりも落ち着く。家に帰っても小説を読むしかない私はよく塾に泊まって仕事をしている。
といっても〇付けや日誌など簡単な業務ばかりではあるが…
いつものように〇付けを済ませ、日誌に取り掛かろうとした時、視界の端に何か光るものが見えた。
「んん?なんだ?」
近づてみると小さなゲーム機のようなものだった。
「これゲームボーイじゃないか!なつかしいなあ」
ゲームボーイというのは私が子供の頃に大流行したゲーム機の名前で、当時は親に泣いてせがんだことがあるほどのものだった。
「今時こんなものを持っている子供がいるなんてなあ」
そう思いながらゲームボーイを手に取った。
「さて、何のゲームをしていたのかな?おお!これ○○コングじゃないか!私もよくやってたなあ。よし、久しぶりに本気見せちゃいますか!」
そうやって始めたはいいものの、さすがにこの年になってゲームに集中すると疲れてしまう。また、昨日もソファで寝たためあまり疲れがとれておらず、最後までクリアする頃には半分ねたような状態になってしまっていた。
「いけない。明日も仕事だからはやく寝よう。」
そう思ったはいいものの、眠すぎて動く気にもなれない。
「まあ机で寝ても一緒か」
そう思い、今座っている机で練ることにした。
「なんか学生の頃を思い出すな。まあいい思い出はあんまりないけど…」
あまり楽しい思い出が無い学生生活を振り返りながら私は眠りについた。
「ん―ー…、なんだあ?」
強い光を感じ目を開けるとそこには信じられない程の白い光が一面に広がっていた。
「なんだこれ。夢?」
そう思うも、なかなか夢は覚めてくれない。不思議に思っていると、急にその光がこちらにまで広がり始めた。
「え。ええええ。こわ。ちょっ、まっ…」
白い光に包まれ、私は意識を失った。