早漏大学生、人生の岐路
だが、そこから数ヶ月間、『次回』はやってこなかった。
いくら検索しても梨花さんの名前はいつの日も表示されず、俺は待ち続けるしか無かった。
何か家族の事があって帰省でもしているのだろうか。
俺と梨花さんは直接連絡を取る方法はなく、いつもサイト経由でのやり取りだった。
つい生挿入して中出しするなんていうとんでもないことをしでかしてしかも気持ち良すぎて奥に出されて怖い思いをしているだろうから連絡もしづらいんじゃないかとも思った。
それから、梨花さんとの出来事も忘れかけた頃、メッセージアプリに突然見知らぬアカウントから連絡が入った。
『裕翔くん、こんにちは。梨花です。お話ししたいことがあるので、お時間作ってもらえますか?』
あの梨花さんだろうか。周りには梨花と言う名前の友人はおらず、俺はそのメッセージを梨花さんだと信じて疑わず返信した。
『お久しぶりです、裕翔です。お話したい事とはなんでしょうか?』
するとすぐに返事が返ってくる。
『私の家に来て欲しいんです。場所を添付しておきます』
『家?それはどういう……梨花さんは今どちらに?』
『ごめんなさい、詳しくは会ってから話します』
自分の本名は梨花さんに話したことはないのに梨花さんの方から会って話したいことがあるとなると、嫌な方向への妄想が膨らんでしまう。
あの日、中に出してしまいその後処理もしないでそれっきりになってしまっていることだろうか。
数日後、俺は梨花さん指定の場所まで向かう。
そこは梨花さんの自宅マンションだという建物の前に着く頃には緊張はピークに達していて、俺は恐る恐るマンションのオートロックを解除する鍵を教えるメッセージに記されていた部屋番号を押す。
暫くするとロックが解除されたのでエレベーターに乗り梨花さんが指定した部屋の前まで到着して呼び鈴を鳴らすと、家のドアを開け現れた人物を見て俺驚愕した。
「久しぶり、やっと会えたね」
「あの……どう言う事ですか?梨花さん……」
「その説明もしたいから、とりあえず中に入って?」
目の前に現れたのは、やはりあの梨花さんだった。
俺は言われるままに家へと上がり込み、そしてリビングでテーブルを挟むように座る。
「久しぶり、裕翔くん」
「お久しぶりです……でもどうして俺の名前を?」
「だって、サイトに登録する時に本名を登録してたじゃない」
そういえばそうだった。
もう数ヶ月前の話になるんだと思い出したが、それよりも久しぶりの再会に心躍ってしまい質問するよりも俺の想いを口にしたかった。
「あの時は、すみませんでした。なんか我に返ったら申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまって。本当にごめんな……」
「違うの、そうじゃないの!実はその……裕翔くんが中に出してくれた後、すぐに生理が来なくなって……」
「えっ……」
「さすがにまずいと思って検査したらね……赤ちゃんができてたの」
まさかの衝撃の言葉に動揺を隠しきれない。
梨花さんはベッドの上でスタイルが良い事が充分にわかるウエスト回りにも以前にも増して引き締まった完璧な容姿でおり、そういう仕事をしているからなのか、それとも妊娠したからなのか。
そんな梨花さんが俺の子どもを身籠もったなんて、俺は嬉しさのあまり梨花さんを強く抱きしめた。
「本当に……俺の子なんですか?」
「うん、そうだよ。裕翔くんの子。あの月はあまりお客さんと会うこともなくて基本本番なんてしないし、あの頃エッチしたのは裕翔くんしかいないのよ」
そんな報告をされた俺は、恐怖よりも不思議と喜びの方が大きかった。
「実は、梨花さんと連絡が取れなくなった後、俺もずっと後悔してました。でも、連絡が途絶えてしまったのは梨花さんの方じゃないですか。ずっともう一度会いたいと思ってたのに、予約することすらできなくなってたじゃないですか。俺はずっと待ってたんですよ?」
「ごめんね……実は早々につわりが始まっちゃって、仕事するのも難しくて。一回休業してたんだよね」
つわりの症状が如何に辛い事か大学生の俺にわからるわけがないのだが、視線を上げた俺は気づいてしまったことがある。
今ですら顔立ちが美しい女性であり道端ですれ違ったら思わず目で追ってしまいそうな容姿なのに、すでにお腹が大きくなっていてるのだ。
そして、その体には新たな生命が宿っていることを。
「会いたかったんです。俺と梨花さんの子、嬉しいです……産んで欲しいです」
あの時妊娠させられたにも関わらず、俺との対面を決めてくれた梨花さん。
「裕翔くんって本当に優しいよね。でも私も裕翔くんに抱かれてる時、すごい幸せだった。今までに感じたことのない気持ちで不思議と中に出された時もとにかく嬉しいって思えたの。だから中に出して欲しいて言ったあの時言葉、嘘じゃないんだよ」
梨花さんは、俺の目を見てこう言ってきた。
そんな想いを聞いた俺は思わず涙が溢れる。
「俺も、梨花さんと幸せになりたいです。こんな俺で良かったら、お腹の子のパパとしてしっかり支えたいです」
俺が告げた言葉に梨花さんも、静かに頷き返して言う。
「ありがとう、裕翔くん。よろしくお願いします」
そして俺と梨花さんは照れつつも、自然と誓いのキスをした。
そのキスはどんどん深く激しくなってしまい、段々と頭も興奮でフワフワとなって心地良くなる。
梨花さんの背中に手を回した俺は、ゆっくりと唇の位置を変えていくようにキスをし続けると我慢ができなくりその繰り返しの後、今度は指を絡め合わせる恋人繋ぎをしたまま濃厚なキスを続ける。
「んっ……ちゅっ、んふっ、んんっ」
そしてそのままベッドに押し倒した俺は梨花さんの胸を揉みながらキスをすると、自然と下半身へと手が伸びてゆく。
すると梨花さんもまた俺のモノをズボンの上から優しく握りながら言う。
「また、中出ししてくれる?」
「はい……でも今度は、ちゃんと外に出しますから。赤ちゃんのことも大事にしたいからね」
俺はキスをすると梨花さんもまたそれに応えるように舌を絡ませ、唇を重ねる。
すると梨花さんの手がズボンの中へと入ってきて、ガチガチになっている俺のモノに触れてきた。
そのキスを終えるとすぐ顔を離した梨花さんは、柔らかに笑いかけてくると触れていた手をゆっくりと上下に動かし始める。
そして俺もまた梨花さんの手に両手を重ね、さらに早く動かすように促した。
「あっ……んっはぁっ……あぁっ!梨花さん、好きです!」
「私も、裕翔くんのこと好き!あの日のナマでのセックスを忘れちゃうぐらい頑張って裕翔くんに奉仕したいよ……」
完全に興奮した俺たちは、脱がし合い互いに服が乱れるように体の上に乗る。
そして互いに裸になったところで梨花さんは俺のモノを再び手で握り、そして口に含むとゆっくりと舐め始める。
裸になった梨花さんのお腹は服を着ている時よりも想像以上に大きく、その大きなお腹を潰してしまわぬよう大切に抱いた。
「はぁっ……んっ……んちゅ……んんっ」
梨花さんを下にして覆い被さった俺は、その体をたっぷり愛撫し続けた。
すっかり戦闘態勢となり猛々しく聳え立った俺のモノを握り扱き、二人で互いの性器を可愛がった。
「んぁっ、んんっ……んふっ、むふっ、んんっ」
「梨花さん、もう挿れていいですか?」
「うん。それより裕翔くん、もうだいぶオチンチン強くなった感じじゃない?」
「次に梨花さんと会った時、もっと気持ち良くなれるように自分でもトレーニング、頑張ったんですよ」
そんなやり取りをした俺は、梨花さんを再びベッドに押し倒すとそのまま挿入する。
「あぁっ、あっ、当たってるぅ、あっ!」
「梨花さん、痛かったら言ってね」
「アンっ……いいっ!ソコぉ……」
これまでよりも強い力で俺の手を握ると、梨花さんは無言のまま強く頷いた。
それから子宮の奥まで押し込むと俺の動きは早々にラストスパートをかけた時の如く激しくなり、そして俺は梨花さんの中で果てたのだった。
「梨花さん……ごめん。相変わらずの早漏で……でも本当にありがとう。俺の子なんだって思うと泣けてくるよ」
「ううん、私の方こそ。裕翔くんの赤ちゃん産める日が楽しみだよ」
一戦を終え後始末までした後、俺達は裸のまま抱き合う。
初めての出会いからこれまでの数ヶ月間で、お互いこんなにも相手が好きになってしまった理由はたくさんあると思うが、広い世の中これだけ一致してしまう事はそうなんどないだろうと思う。
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そしてその日は突然やってきた。
「ねぇ、今お手洗い行ったら結構な出血があったの。大丈夫かな」
「大丈夫なわけないよね?今日って病院やってるの?」
「うん……今日は予約してる日じゃないからちゃんと診てもらえないかもだけど。とりあえず電話してみようかな。赤ちゃんのことも心配だから」
梨花さんがそういう。俺も初めての経験だしわからないことも多く、今お腹の子どものために出来うる事をしたいと思った。
俺たちの子は現在妊娠八ヶ月だ。あと数ヶ月で梨花さんと共に親になるわけだが、実はまだ恋人の関係を続けており入籍はしておらず、そして一緒に暮らすこともせず、今日はたまたま昨晩から俺の部屋に泊まりに来ていたという流れなのである。
当然互いの家族に報告は済ませたが、まだ付き合いが短いこともあり子どもが出来た事すらも父親になる事も認めない者もいた。
だが、それはこれからの俺次第だろう。
「裕翔くん、病院行くね。これから大学行くでしょ?終わったら連絡するね」
「いや、俺も一緒にくよ。梨花さん独りで産婦人科も不安だろうし。何よりそんな梨花さんを放っておけないよ」
今は何があろうと絶対に離れたくない。
車のない俺たちはタクシーを呼び産婦人科へと向かう。
その車内、梨花さんの様子が明らかにおかしい事に気付き、声を掛ける。
「どうかした?すごく辛そうだけど」
「なんか……まさかとは思ったけど……お腹が痛い。陣痛かも……まだ八ヶ月なのに」
「本当に?」
俺は梨花さんのお腹に手を置き、優しく撫でる。
すると少し痛みが引いたようで、梨花さんは俺に心配かけまいとお腹の上で二人の手を重ねた。
「今のでだいぶましになったみたい。こういう時って本当に女の方が痛みに強いみたいね」
自分達二人だけでなく既に新しい生命が梨花さんの体の中から出てこようとしている事実に、本来生まれてくる時期なら目一杯の嬉しさを感じていただろう。
だが、今は不安でいっぱいなのは俺も梨花さんも同じだと思う。
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「辛いよね、ごめんね」
「何で謝るの……赤ちゃんが生まれるためには必要な痛みなんだよ?裕翔くんが謝る事じゃないでしょ」
「梨花さんは強いね。本当にありがとう。一緒に頑張ろうね」
「また痛いの来た……お尻、お願い!」
今、俺と梨花さんは陣痛室という場所にいる。
出産という行為はてっきり分娩室で行われるものだと思っていたのだが、今まさに生まれるという状態になるまではこの陣痛室という場所で過ごすらしい。
『いきみ』という力を入れたい感覚があるらしいのだがそれは本能のままに従って良いわけではなく、助産師の許可をもって可能となるらしい。
その『いきみ』感を和らげるため、俺は梨花さんの肛門に握り拳を当ててかなりの力で圧を与えるのだ。
「このくらいでいい?」
「もっとぉ!もっと強くしてぇ!」
「こ、こうかな?」
「もっと下!!」
今までに言われたことの無いような口調で命令されるが、これまでに経験したことのないような痛みと、これからやってくる出産への不安を抱いていれば仕方のないことだろう。
この部屋に入って二時間くらい経った頃だろうか。
梨花さんの陣痛が強くなり始め、間隔も短くなってより辛そうな表情を見せるようになったのだ。
「内診するので膣に指を入れますね。力、抜いてくださいねー」
「……ぁぁ痛いっ!いたぁぁいん!」
「力を抜かないと内診できないですよ。足、パッカーンって開きましょう」
「梨花さん、がんばろ?」
「裕翔くんっ……助けて」
すると、助産師は思いがけない言葉を口にした。
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