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目覚め


まぶしい日差しが、まだ開かない瞼を照らし俺は少し意識を取り戻す。

「ぅん…?ここは‥?」

まだ意識がはっきりしないが、ここはいったいどこだろうか?

どこかの民家のようであるがこのような場所は記憶にない。使い古された「知らない天井」という言葉が頭をよぎり、意外に冷静だな‥と独り言ちる。


「シン!!まだ寝ているの??いい加減に起きてきなさい!!」

知らない女性の怒声が聞こえた瞬間に頭が割れる様な痛みに襲われた。


「いや、マジで痛ぇ!!なんなんだよ‥こ‥れ‥」

頭痛が収まったと思ったら急に知らない情報があふれるように流れ込んできた。


「シン!!聞いているの?起きているなら返事なさい!」


「ごめん、母さん。起きてはいたんだけど、ぼーっとしてた」


「もうっ!とっくに朝食ができてるわよ?」


「ごめんって、すぐに下にいくよ」


ごく自然に母さんって出てきたけど、この記憶はなんだよ!俺は普通のしがないサラリーマンで‥だよな?あれ?あんま思い出せない?俺の名前は真‥いk‥あれ?俺はシンだよな?シェンパード村に住む8歳の少年‥。くそっ!なんか記憶が混乱してるぞ。

とりあえず腹減ったし食べてから考えるとするか。


「そういえば、さっきアリスちゃんが来てたわよ?今日約束してたんじゃないの?大分怒っていたけど‥」


そういえば今日は導きの森に探検に行くってアリスと約束してたっけ‥。でも記憶が曖昧だ。もう少しいろいろ整理しないとうまく返答できないぞ。


「昨日アリスと約束してたかも‥。とりあえずごはん食べたら謝りにいかないとなー」


「アリスちゃんかなり怒ってたわよ?あんたったら全く起きないんだから‥。きちんと謝ってきなさい」


「うん、じゃあ行ってくる」


そう言って俺は外に出た。


しかし、これはどういうことなんだろう?確か俺は女神の使途を懲りずにプレイしてて、気づいたらこんな状況になってるんだよな。自分の名前も真ってことしか思い出せないし、両親の顔も友人の顔も思い出せん‥。でも人以外のことは明確に思い出せるんだよな。普通にって言っていいかわからないけど、これって転生ってやつだよな?多分。まぁシンとして生きた8年分もしっかり覚えてるし転生して人格が入れ替わったってより前世の記憶を取り戻したって感じなのかね?まぁその辺はどうしようもないしどうでもいいか。8歳しか生きてないからこの世界の事情もよくわからないし、まずはその辺を把握してからこの先のふるまいを考えていこうとしよう。とりあえず、幼馴染のアリスの家にいってご機嫌伺わないと。マジで怒ると怖いしな‥。



「こんにちは、アリスいますか?」

アリスの家の前まで来た俺はドアをノックして声をかけた。


「あら?シンくん?アリスならあなたのお家に行ったと思ったんだけど‥。すれ違いになっちゃったのかしら?」


「あー‥、俺が寝坊しちゃってアリス怒ってどっか行っちゃったみたいなんですよ。家には帰ってないんですね?」


「あの子らしいわね‥。家には帰ってないからどこか寄ってるんじゃないかしら?今日は何する予定だったの?」


「今日は導きの森に探検に行く予定だったんですよ」


「なるほどね。あの子のことだから先に行ったんじゃないかしら?魔物も出ないし安全だとは思うけどあの性格はどうにかならないのかしら‥」


「アハハ…、確かにその可能性が一番高そうですね。導きの森に行ってみます」


「あんまり遅くならないようにね。あの子にもそう言ってちょうだい」


「わかりました」


まぁ、なんとなく予想は出来てたけどやっぱりアリスは先に森に行ったんだな。それにしてもこの辺の景色はなんか既視感あるんだよな。もちろん今世で生活してるんだから見慣れてるんだけど、それよりもデジタルな感じの景色で‥。でももっとさびれていたような気がするし、まぁこんな田舎の風景なんか珍しくないか。でも導きの森って大層な名前だよなー。ゲームに出てきそう…、ん?導きの森って【女神の使途】でも出てきたよな。確か主人公の幼少期に幼馴染の少女が呪いで感情を失う鬱イベント発生場所のはず。いや‥まさかな、その少女の名前もステラだったはずだ、確か。最終的に聖女になる少女で俺がハッピーエンドにするための中核の一人と思っている少女。そんな俺が名前を間違えるはずはない。それに村の名前だってシェンバードなんて名前じゃなかった。幼少期に滅ぼされた村の名前は‥ノーシェン。神のいない村‥。やめよう、変なこと考えるのは。


「あ!!シン!!ようやく起きたのね!私を待たせるなんていい度胸だわ」


「アリス、ごめん。寝坊しちゃったみたいで‥」


「またアリスって呼んでる!私のことはステラって呼びなさいって言ってるじゃない!」

「私は聖女アリステラなのよ?」


「また言ってるのか…。聖女って自称じゃないか」


「いいのよ、私が聖女になるのは確定なんだし」


「どうなったらそうなるん‥だ‥よ。おい!!アリス!!ステラって呼べと言ったのか!?」


「え?えぇ‥。いつも通りじゃない」


なんで忘れていた?主人公の幼馴染の少女は幼少期アリスと呼ばれていたが、女神の使途となることでテラ(星)の名を冠し聖女アリステラになる。常識レベルの知識じゃねーか!この聖女となることを確信しているのもやばい。この後来るイベントがわかっちまった。というか思い出した。あー、そうかよ!なんとなく気づいてたよ!8歳からやり直せばとか言ったもんな!だからって現実にすることねーだろーが!

「シン?どうしたの?大丈夫?」


「あー‥、ごめん大丈夫だよ」

まだ確信するには早い気もするけど、そういうつもりで動かなきゃ間に合わなくなる。13年も待ちわびたハッピーエンドにするチャンスだ。とことんやってやろうじゃねーか。

まずはこのすべての元凶となる鬱イベントのぶち壊しからだ。


「じゃあ、アリス森に行こうか」


「だから!ス・テ・ラだってば!」


誰かに見てもらえているなら連載していこうと思っています。

続きが気になる方いらっしゃれば感想などいただければ幸いです。

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