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チサと大奥  作者: 五木カフィ
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大奥の防火訓練

間もなくお万の方が静かに現れた。

「お話しは済みましたか」

「はい ありがとうございます」

「では 奥に戻ることにしましょう」  何があったのかと聞かない。

お方様はやはり素晴らしい お人とチサは嬉しくなった。



その日から半年位たったある日

伊豆守よりチサに会いたいという知らせが お万の方を通してあった。

前回のようにお鈴廊下に近い控えの間で待っていると

「お待たせ致した」と 伊豆守が入って来た。

会うのも4回目になると 緊張もほぐれチサも

「どう解決なさいました」と 親しげに尋ねる。



「あの後 我等老中 若年寄などと協議致し 禄を失った者の扱いを

 いろいろ考えてござる。 おチサ様より聞いたことをそれがしの

 意見として持ち出し 寺子屋の件はまことに利にかなった事とみな一致致し

 上様に上申いたして順次取り計らっているところでござる」

「まぁ それは良かったこと」

「それと火消しの事でござるが それも急ぎ制度を取りまとめ

 今まで大名 旗本の屋敷を中心にしていた火事見廻りの者達を 改たに増員致し

 しかる後に町火消しの頭を定めて指導致す事にし申した。



 この城とて過去に幾度か 火災におうておりまする。

 城内からの出火もあれば 町方の火事が風にあおられ城に燃え移った

 事もござる」

「このお城も燃えた事が あるのですね」と チサは驚く。

「さよう 西の丸が全焼した事も本丸が全焼した事もござる」

「こんな土壁や瓦屋根のお城も燃えるのだったら

 町方の人はもっと大変でしょう。家といったらほとんど木造でしょ」

「さようでござる」



「町の中に土壁の家を増やしたり防火壁を 設けなければなりませんね」

「防火壁と申しますと?」

「町と町を仕切る所でもいいですし 大切な寺院がある所でもいいし

 とにかくその先まで 火が燃え広がらないように大きな土の壁を

 作る事です。私の記憶では町中の家の壁を土蔵にして火災を防いだ

 町があったはずですが 残念ながら江戸ではなかったと思います」



「町中の家となると それは無理でござるな。

 金がかかるしそれだけの土もないと思われる」

「そうでしょうね。それでは国中に人をやって調べさせたら

 いかがでしょうか。 今でも焼き物はあるのですから

 火に強い土はたくさんあるはずです。

 焼き物にするほど上質で無くてもいいですから

 全国から土を集めて実験  つまり焼いて試して見るのです。



 そうすればまた禄を失くした人を雇う事ができる。

 それを江戸だけで無く国の政策としたらいかがでしょうか。

 川を整備して舟で運べばいいと思いますから その人足を

 まとめる役人も必要になってきます」


「それは良いお考えかも 検討して見ようと存ずる」

「ぜひ そうして下さい。

 いつの時代でもそうですが 火事はすべてを失くしてしまいます。

 思い出も命も、、、、 大火事や地震の時 どこに逃げるかと

 いう所をあらかじめ決めておいて 日頃訓練しておくのも良いですよ

 


 私達の時代では学校 つまり寺子屋で教えます。

 避難する場所まで行く道も決まっていて 年に何回か練習

 するのです」

「それも良い事でござるな。 火避け地 早速検討を」

「このお城が燃えたら怖いですねぇ 私など外に出たことがないから

 いざとなったらどっちの方を向いて逃げたらいいのかも分かりません。

 お方様に申し上げて早速大奥でも 避難訓練するように

 しなければ」

「城内すべからく行ないましょう」と

言う事になって 本当に後日 大奥でも訓練をすることになった。

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